マネジメント/マネジメント事例

コンプライアンス危機 減らぬ情報漏えい問題を考える

社会的な組織である以上、企業はその公的な責任から逃れることができません。今、ベネッセの個人情報漏えい問題が世間を賑わしています。これにとどまらず、個人情報の漏えいは折に触れてニュースになっています。一向になくならないこの問題から企業マネジメントで求められるコンプライアンスとは何か、考えてみます。

大関 暁夫

執筆者:大関 暁夫

組織マネジメントガイド

コンプライアンスとは

コンプライアンスとは何か、まずはじめにその定義から見ていきましょう。

企業のコンプライアンスとは、「合法であるか否かにかかわらず、企業モラルの観点から、許されない行動をしないよう組織をコントロールする仕組み」です(詳細はこちらの記事)。

解説

コンプライアンスは法令+企業倫理

90年代に続発した企業の不祥事を受けて、わが国に登場したこの用語は、当初は「最低限の法令を守ること」として定義されていました。

その後「企業の社会的責任=CSR」という考え方の浸透とともに、コンプライアンスはより広範な考え方を含むものとしての理解が広まります。今では必ずしも法令順守にとどまることのない、企業のモラルの問題としての定義が一般的です。

私自身がオフィサー登録をしている(社)コンプライアンス推進機構も、「コンプライアンスは単に法令順守だけを意味するものでなく、ビジネス活動における倫理と誠実性はコンプライアンスに不可欠な基本概念である」と、これを定義しています。

問われる企業倫理

法令を超えた部分、その根底を支える考え方が「企業倫理」です。

アメリカで言われるところのBusiness Ethicsがそれにあたります。具体的には、「企業が自らの仕事の進め方が社会に受け入れられる性質の行動か否かを自らに問いかけ、YESと答えられる行動のみを採択する価値基準」(コンプライアンス推進機構「企業経営と企業倫理」)ということになります。

企業のコンプライアンスと倫理については次のようなニュースも記憶に新しいでしょう。船場吉兆の「食材使い回し事件」や昨年世間をにぎわせたホテルや百貨店での「メニュー偽装事件」など。明確にどの法令に違反するというものではないものの、顧客相手の商売として、また一企業のビジネス姿勢としていかがなものか、という倫理的観点から強く非難を受けました。
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