不動産売買の法律・制度/不動産売買ワンポイントアドバイス

道路幅員の調べ方と注意点

住宅や土地を購入する際には、敷地前面の道路幅員をしっかりと確認することが重要です。仲介業者による調査に不備がないか見極めるためにも、道路幅員の調べ方の基本やその注意点を知っておきましょう。(2018年改訂版、初出:2014年7月)

執筆者:平野 雅之

【不動産売買ワンポイントアドバイス No.046】

道路幅員の原則的な測り方

道路幅員は原則として側溝の端から端まで。ただし、例外も多い


住宅など建築物の敷地にとって、道路はたいへん重要な意味をもちます。接する道路が建築基準法で認められたものか否か、そして道路幅員がどれくらいかといった点にはとくに注意しなければなりません。

都市計画区域(および準都市計画区域)内において、建築物の敷地は建築基準法で認められた道路に2m以上接していなければならず、これを「接道義務」といいます。しかし、この義務を満たしている敷地でも、道路幅員によって一定の制限を受けることがあるのです。

【前面道路の幅員が4m未満の場合】
原則としてセットバック(敷地後退)が必要です。

【前面道路の幅員が12m未満で、指定された容積率が200%以上の場合】
道路幅員に応じて、指定された容積率を下回る制限が適用されることもあります。

【位置指定道路の場合】
指定された道路幅員よりも現況のほうが狭ければ、その復元を求められる場合があります。

敷地が接する前面道路の種別と幅員については、購入の契約をする前に宅地建物取引士が行なう重要事項説明で言及され、その調査自体も宅地建物取引業者が実施するはずです。

しかし、土地や一戸建て住宅(とくに中古住宅)を購入する際には、その調査や説明が十分なのか、慎重に見極めなければなりません。そのためには道路幅員の調べ方などについても、基本的なポイントを理解しておきましょう。

道路幅員の確認は、市区町村の役所に備えられた道路台帳など各種の資料や図面による調査と、物件現地における調査の両方が必要です。

ただし、役所が管理しているのは公道に関する資料であり、原則として私道については分かりません。私道の幅員を記載した台帳を備えている役所もありますが、その信頼性は低いと考えるべきでしょう。

なお、私道のうち「位置指定道路」に関しては、申請時の図面などが役所に保管されています。また、幅員が4m未満のいわゆる「法42条2項道路」(公道、私道を問わず)については、過去に認定した際の調査資料の写しを交付してくれる役所もあります。

物件の現地では、敷地と道路の間の境界標識(石やプレート)などで境界線が明確になっていれば、その間の距離を測ります。そうでない場合には原則として、道路両端に設置された側溝(U字溝やL字溝)または縁石などの外側から外側までを道路幅員として測ります。

ただし、何らかの事情で側溝などが敷地境界線から離れて設置されている場合もありますから、現地の状況をしっかりと確認することが必要です。

また、道路の端が蓋のないU字溝の場合、水路の場合、あるいは水路を暗渠にした遊歩道の場合などには、これらを道路幅員に含めるかどうか、自治体によって対応が異なることもあるので注意しなければなりません。

ちなみに、道路の両側または一方が斜面(法敷=のりじき)になっているとき、この部分は原則として道路幅員に含まれませんが、「道路敷」の幅には含まれます。

道路と敷地の境界線が直線状の場合には、敷地に向かって右端と左端の2か所の幅員を測れば十分でしょう。しかし、途中で幅が異なる不整形の道路は最も狭い部分、最も広い部分など、細かく調べることが必要となってきます。

敷地前面の道路幅員が位置によって違うとき、容積率の制限において適用するのが「平均」なのか「最大値」なのか、あるいは「最小値」なのか、自治体によって取り扱いが異なりますから、その規定なども含めてしっかりと確認しなければなりません。

また、前面道路が公道のとき、役所による認定幅員と現地で測った現況幅員が異なる場合も十分な注意が必要です。現況のほうが狭い場合には、たとえ4m以上の幅員があっても敷地後退を求められることがあります。

また、宅地建物取引業者が売買契約前の調査として現地で測った道路幅員はあくまでも仮のものであり、建築などの際には改めて正式な測量が必要となることもあるでしょう。業者側に重大なミスがないかぎり、その結果が大きく異なることはないはずですが……。


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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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