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ヤ軍・田中が右肘靭帯部分断裂で長期離脱。最悪手術も

ヤンキース・田中将大投手が、右ヒジ靭帯損傷(部分断裂)で全治6週間の離脱を余儀なくされた。治療がうまくいけば8月下旬の復帰も可能とのことだが、手術を受ける可能性は否定できない。

瀬戸口 仁

執筆者:瀬戸口 仁

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8月下旬の復帰を目指すが……

治療がうまくいけば8月下旬に復帰できるとされているが、手術を受ける可能性も否定できない。

治療がうまくいけば8月下旬に復帰できるとされているが、手術を受ける可能性も否定できない。

まず、ヤンキース・田中将大投手(25)の右ヒジ痛についての経緯を説明しなければならないだろう。7月8日(日本時間9日)、クリーブランドで行われたインディアンズ戦で6回2/3を投げ、ともに自己ワーストとなる10安打、5失点で4敗目(12勝)を喫した。その試合後、右ヒジの痛みを訴え、9日(同10日)にニューヨークへ戻り、MRI(磁気共鳴画像装置)検査を受けた。15日間のDL(故障者リスト)入りした田中は10日(同11日)、整形外科医の学会が行われているシアトルへ飛び、ヤンキースのチームドクターであるクリス・アーメッド医師、ドジャースのチームドクターのニール・エルアトラッシュ医師、さらにメッツのチームドクターのデビット・アルシェク医師というスポーツ医学の専門家3人の診断を仰いだのだ。

結果は、右ヒジ靭帯損傷(部分断裂)で全治6週間。ヤ軍のブライアン・キャッシュマンGMは次のように説明した。「医師3人は、靭帯部分に小さな傷を確認している。そして、診断とリハビリの方法ですべて合意した。我々はその勧告に従うつもりだ。3人とも現段階での手術は勧めてきていない。もしも、治療がうまくいけば、だいたい6週間で復帰できることを願っている」。現段階では保存療法を選択し、PRP(プレートレット・リッチ・プラズマ)皮膚再生療法という自らの血液から抽出した多血小板血漿を注射する方法で治療を進めるという。ヒジを休ませ、回復状態を見て、練習再開という流れで、早ければ8月下旬の復帰を目指す。

問題は、痛みが消えない場合である。「もしも彼のリハビリが失敗に終われば、トミー・ジョン手術を勧められる可能性は否定できない。もしも痛みが消えなければ、もしくは現在の痛みが続くようなら、リハビリ方法と医師からの治療方法の提案も変わってくるだろう」とキャッシュマンGM。手術を受ける可能性は否定できないどころか、過去の例から考えるとかなり大きいだろう。そうなると、今季絶望はもちろん、復帰が早くても来シーズン後半になるのは間違いない。

トミー・ジョン手術とは、損傷したヒジの靭帯を切除し、他の部位から正常な腱を移植する手術で、復帰まで約1年を要する。1970年代にフランク・ジョーブ博士によって考案され、当時ドジャースのトミー・ジョン投手が初めて受けた(1974年)ことからこう呼ばれる。90%以上の確率で成功し、復帰後の方が球速が増す投手もいる。日本人では、村田兆治氏を始め、桑田真澄氏、松坂大輔(メッツ)、和田毅(カブス)、藤川球児(カブス)らが手術を受けた。

原因はいろいろと考えられる。楽天時代、基本的に中6日で投げていた田中が、メジャーでは先発18試合のうち8試合が中4日での登板だったため、今までにない疲労は蓄積する。メジャーのボールは日本のそれよりやや大きく(重く)、滑りやすいため、しっかりと握らなければならない。また、多投したスプリットもフォークほどではないにしろ抜けやすいため、やはりしっかり握らなければならない。しっかり握るとはそれだけヒジに負担がかかることを意味する。日本では1度も右ヒジを痛めていないことを考えると、このあたりが故障の原因かもしれない。

手術を回避して早期に復帰できることが最も望ましいストーリー。しかし、復帰後にまた発症して手術を受けた投手もいる。リハビリ中も田中の右ヒジに日米中の注目が集まるのは必至だ。
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