テクノポップ/アーティストインタヴュー

サナエちゃんの関東MUSIC

関東MUSICという壮大な名前の女子ひとりユニットとして活動するサナエちゃんが登場! テクノポップ~シティポップを愛しつつも、吉葉早苗として演劇女優としても活躍する彼女に、演劇、デビュー作そして神話に至るまで語って頂きました。7月12日はぽらぽら。ちゃんとツーマンライヴ。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

kawaiiネーミングの誘惑を振り払い

ガイド:
吉葉早苗(サナエ)さん、はじめまして。先ずは発表されたアルバム『関東MUSIC』の話をする前に、サナエさんについて教えてください。事情聴取のようになったら、黙秘権を使って頂いても構いません。

サナエ:
sanae-kantomusic

サナエ(関東MUSIC)

四方さん、はじめまして。テクノポップに関する記事をこれまで楽しく読ませて頂いておりました。こうしてインタヴューされる側になる機会に恵まれ光栄です。よろしくお願いします! 私、サナエは関東MUSICという名前の音楽プロジェクトでヴォーカル、作詞作曲編曲などをしています。ほかに「吉葉早苗」として女優活動もしてます。

 

ガイド:
では、なれなれしく、サナエちゃんと呼ばせてもらいます。関東MUSICは現在、サナエちゃんのひとりユニットと考えていいのでしょうか?

サナエ:
関東MUSICはひとりユニットです。基本ひとりですが、その時々に巡り合って、音楽的に共感した人たちと一緒に制作しています。最近では、優れたシティポップのシンガーソングライターである関美彦さんの参加がありました。

ガイド:
Roxy Music、New Musik、Nice Musicなどミュージックで終わる名前はあるのですが、女性ひとりユニットとしては珍しい名前ですね。しかもかなりエリアとしては広大なる関東。もう少し女子っぽい名前にしようという誘惑に駆られませんでしたか?

サナエ:
kawaiiネーミングの誘惑はありましたよ、一時「セミロング」という名前が上がっていました。創立時のヘアスタイルがセミロングだったのです(笑)。そこから、もっとオリジナルな音楽をやりたい、もっと様々なことを歌いたいと思っていたので、関東MUSICにしました。仰る通りのRoxy Musicから引っぱって来ています!”Roxy”は地名じゃなくて映画館の名前らしいです。

ガイド:
埼玉出身だから、埼玉MUSICという選択肢もあったんでは? いや、それでは勘違いされそうですね(笑)。

サナエ:
埼玉ミュージック!いい響きですねー!そうしようとも考えた時は本当にありました!だけどあまりに限定されているし、私は現在東京都在住だし、自己表現にならないなぁってなりました。そこで関東っていいなと。時たま、「広東ミュージック?」とか聞き返される時あります(笑)。

「宝島」で暴れん坊ジムとなる

ガイド:
音楽活動と並んで、演劇女優もされているんですね。演劇に興味をもったきっかけとあれば、教えてください。

サナエ:

演劇の原点としては、1999年NHKドキュメンタリー「金魚KABUKI」という作品(エミー賞ノミネート作品)で、六本木金魚Aプロジェクトの故・谷本捷三会長の少年時代を演じたのが原点です。

更に興味を持ったきっかけは、美輪明宏さんです。美輪さんは歌が軸で音楽会以外にも、独自の美意識で主演・演出する演劇公演の活動と、様々に活動されていらっしゃって、そんな姿に憧れていました。ですので、ProjectNyx(以下ニクス)の「宝島」で声をかけて頂いた時は、ぜひとも挑戦してみたいと思いました。初め私は歌の活動を中心にしている中の、初の演劇舞台という事だったので、内心戸惑いがありました。でもそれまでに、何度か観劇しているニクスの宇野亜喜良さんの美々しいセットと、演出家の金守珍さんの大胆で思い切った演出方法、女優でプロデューサーの水嶋カンナさんの熱い人柄、そこに寺山修司と来たら、ここでやらずにいつ女になるんだ!と思い、参加させていただきました。

宝島 (ProjectNyx)

ガイド:
その「宝島」でジムという役を演じられたんですよね。ジムは少年だと思いますが、どのような役どころだったのですか?

サナエ:
sanaeyoshiba-takarajima

吉葉早苗(中央:「宝島」より)

ジムの役どころは、海に憧れ、船乗りになりたいと”情熱的に”願っている少年です。今回は、スティーブンソンの「宝島」を、寺山修司が換骨奪胎し、子供向けに書かれた異色の戯曲「宝島」に参加しました。

寺山修司のジム少年らしいエピソードがあります。ジム少年は体が弱かったけど、なぜだか海に憧れていました。そして病気で臥せっているベッドからお母さんに「海を持って来て下さい!」と頼みます。するとお母さんは、”バケツに海を持って来てくれた”のです!そしてバケツを持ってその中の海をみて、ジム少年は言います「でも、バケツの中の海は青くなかった」と言い、歌い出します。

最初は病弱だった感じを強調した性格で役作りしていたのですが、熱い演劇人たちに囲まれて稽古している内に、パッショネイトなジムが出てきました! このシーンに加え、海賊との戦いの殺陣(闘う立ち回りのこと)が2シーンあったり、カンフーを披露したりと、気付いたら結構、暴れていました(笑)。小さい怪我が絶えなくて痛かったですが、楽しかったです。

 

ガイド:
暴れん坊サナエちゃん、いや暴れん坊ジムなんですね。

 

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