貯蓄/平均貯蓄額などの気になるデータ

働く世帯の負債額平均は740万円!大幅増に

総務省が発表した調査報告から負債額、年齢別の貯蓄現在高などを見ていくことにしましょう。家計管理、資産運用などにおいては、資産と負債のバランスが重要になります。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

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負債は増えたものの無理はしていない

2人以上世帯の1世帯あたり負債現在高の平均値は499万円で、2012年と比較して30万円、6.4%の増加となりました。このうち勤労者世帯に限ってみると、負債現在高は740万円、2012年と比較して45万円、6.5%の増加となっています。 消費税引き上げに伴う駆け込み需要、あるいは物件価格の上昇によるものと推測される反面、2人以上世帯に占める負債保有世帯の割合は38.7%で、2012年と比較して0.2%の低下です。リタイア世代はしっかり完済にこぎつけた人が多かったのでしょう。

しかし、勤労者世帯に限ってみると、負債保有世帯の割合は54%で、2012年と比較して0.5%上昇となりました。勤労者世帯に限れば、消費税引き上げ前に駆け込みでマイホームを購入した人が多かったと考えられます。

負債保有世帯に限れば、負債保有世帯の平均値1291万円を下回る世帯の割合が58.2%を占め、このうち勤労者世帯に限っても、負債保有世帯の平均値1369万円を下回る世帯の割合が54.9%を占めています。あくまでも調査に回答した範囲では、無理をしてまでマイホームの購入を行ったわけではないようです。

世帯属性別にみた貯蓄・負債の状況

2人以上世帯について世帯主の年齢階級別に1世帯あたりの貯蓄現在高をみると、30歳未満288万円、30~39歳未満628万円、40~49歳未満1049万円、50~59歳未満1595万円、60歳以上2384万円と、年齢階級が高くなるにしたがって貯蓄現在高が多くなっています。

前回の記事では、年齢階級別の貯蓄現在高を記載しませんでしたので、同年代はどのくらいの金融資産を保有しているのかを比較するには、この平均値を参照されるとよいでしょう。一方、1世帯当たりの年齢階級別の負債現在高は30歳未満333万円、30~39歳未満1011万円、40~49歳未満994万円、50~59歳未満607万円、60歳以上148万円と、30~39歳未満が最も多くなっています。

負債現在高こそ30~39歳未満が最も多い、言い換えれば30代でマイホームを購入する世帯が最も多いと考えられますが、負債を保有している世帯の割合は、30歳未満39.2%、30~39歳58.2%、40~49歳61.8%、50~59歳54.9%、60歳以上18.9%というように、40~49歳が最も高くなっています。ただ、50~59歳でも半分を超える世帯が負債を抱えていることから、50代は住宅ローンの返済、子供がいる世帯は教育費の負担が重なる厳しい世帯であることに間違いはないようです。

また、純貯蓄額を見ると40~49歳で早くも貯蓄現在高が負債現在高を55万円上回っており、60歳以上では2236万円もの貯蓄超過額となっています。

負債現在高が意外と少ないと思われたかもしれませんが、この数字は負債を保有してない世帯も含まれている数字なので、負債を保有している世帯に限った数字を見てみましょう。

負債保有世帯のみの数字が現実的

2人以上世帯のうち負債を保有している世帯に限ると、負債現在高、貯蓄現在高も異なった数字が見えてきます。

2人以上世帯について勤労者に限った世帯主の年齢階級別に1世帯あたりの貯蓄現在高をみると、30歳未満197万円、30~39歳未満502万円、40~49歳未満867万円、50~59歳未満1232万円、60歳以上1553万円と、年齢階級が高くなるにしたがって貯蓄現在高が多くなっていることに変わりはありません。

同様に年齢階級別に1世帯あたりの負債現在高をみると、30歳未満860万円、30~39歳未満1735万円、40~49歳未満1609万円、50~59歳未満1107万円、60歳以上781万円となっています。こちらの数字の方が私たちの生活実感に近い数字と言えるでしょう。

純貯蓄額も50~59歳で貯蓄現在高が負債現在高を125万円上回るというように、10年遅くなるうえ、60歳以上でも772万円もの貯蓄超過額に過ぎないのです。マイホームの購入、いかに上手に住宅ローンを組むのか(=返済するか)が、その後の貯蓄現在高に大きく影響する気がしてなりません。

リタイア世帯の格差は大きい

2人以上世帯のうちの世帯主が60歳以上の世帯(2人以上の世帯に占める割合49.1%)では、貯蓄現在高階級別の世帯分布によれば、現役世代と同じように貯蓄現在高の低い階級に偏っていることがわかります。どの金額で切るのが妥当かはわかりませんが、貯蓄現在高100万円未満6.5%、同300万円未満13.6%、同500万円未満21.1%になっています。

しかしながら、世帯主60歳以上の平均値は2384万円、貯蓄保有世帯の中央値も1578万円あるうえ、2500万円以上の貯蓄現在高を保有する世帯も31.9%と全体の3分の1を占めています。どの世代にも持つ者と持たざる者がいるようですが、リタイア世代の方が格差はより大きい気がしてなりません。

これからリタイアを迎える現役世代にとっては、公的年金が現在のリタイア層ほど期待できない以上、個々人がしっかり老後の準備をしなければならないことは言うまでもありません。「老後難民」は他人事ではないのです。
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