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トイレの寿命は?便器戦争の行方~リフォーム現場から

便器の寿命をご存知ですか?耐用年数が長いだけに、交換時期を見極めるのが難しく感じる人も多いことでしょう。トイレリフォーム戦線は、今しれつな戦いの真っ最中です。名付けて便器戦争!勝利をするのはどこのメーカーでしょうか。

尾間 紫/Yuu

執筆者:尾間 紫/Yuu

リフォームガイド

リフォーム相談でよく受けるのが、トイレの便器の寿命はいつ?というものです。物理的な耐用年数もさることながら、大事なのは生活寿命がいつかということ。そこでそのイニシアチブを取ろうと、各メーカーは今しれつな戦いの真っ最中!名付けて便器戦争です。

便器の寿命はいつ?耐用年数は100年以上

トイレ

陶器の便器なら割れない限り100年でも使えるが、快適かはまた別。

さて便器の寿命はいつでしょう。陶器製ならヒビが入らない限り使えますので、耐用年数で言えば100年以上ということになります。しかし、タンクの中に使われている部品は10年、部品のパッキンや配管は20年程度で寿命がきます。

ではトイレのリフォームのタイミングは?と言うと、配管の寿命や他の水まわりの時期と合わせて行うのが効率的ですから、築20年程度が目安になります。

便器はまだ使えるのに?と思うかもしれませんが、年月が経ち古くなってくると、汚れやすくなったり、傷や黄ばみが目についたり、掃除のしにくさにもストレスを感じるようになります。

実際のところを言えば、キッチンにしても洗面台にしても、使おうと思えば50年でも使えます。でも汚くなってきたから、使いにくいから、機能が劣るから、いろいろな理由でリフォームをしたくなることはありませんか?このような不便を実感するようになった時を、ガイドは生活面での寿命と呼んでいます。

 

生活寿命を感じたら、そろそろ交換時期

ドレスルーム

もっと快適に便利に暮らしたいという思いがリフォームのキッカケになっている。

まだ壊れてはいなくても、時期が来たら、もっと快適に、もっと便利に、もっと素敵に暮らしたいという欲求がわいてきます。

つまり物理面での寿命もさることながら、生活面で寿命が来たと感じた時も、リフォームのタイミングと言えます。

しかしトイレの場合は、古くても新しくても便器の見た目があまり変わらないので、リフォームのタイミングを見失っている人をよく見かけます。寿命についての質問が多いのは、純粋な耐用年数ではなく、見失ったタイミングを知りたいという人が多いので、それなら20年程度ですよとお答えしています。

 

暮らしに直結する掃除のしやすさと省エネ性能が大きく進化

水栓金具

見た目はそれほど変わらないが、昔と今の便器は大きく変わっている。

さて便器は、今も昔もそれほど変化したようには見えませんが、近年これほど大きな進化をとげた住宅設備は無いかもしれません。

特に暮らしに直結する掃除のしやすさと節水性能は劇的に進化し、例えば一見同じように見える陶器も、表面加工や焼成方法、混ぜる材質の変化によって、目に見えないないほどの細かいレベルでツルツルになり、汚れがこびりつき難くなっています。

また流す水も、水流の設計技術の進化によって1回に使う水量が10リットル近く少なくなっています。トイレは家族全員で毎日使うものですから、これは相当量の節水になります。

カタチもよく見れば昔とはだいぶ変わっています。まるで卵か新幹線のようにつるりとした流線形で、とにかく掃除が楽に、そして節水にと、急速な進化を遂げました。それに伴って勃発したのが、名付けて便器戦争です。

 

見分けが付く?差別化に必死な各メーカーの便器たち

日本の家庭用便器の主メーカーは3社、TOTO、パナソニック、LIXILです。まずトップ企業は何と言ってもTOTOでしょう。現在、全ての便器のシェアはダントツ1位です。しかし家庭用の一体型、いわゆるタンクレストイレに限って言えば、様相が変わってきました。

まずパナソニックが、陶器ではなくガラス樹脂製の製品を開発、中性洗剤を入れるだけで自動洗浄を可能にしたタイプを発売し、急速にシェアを伸ばしました。そこにLIXILが加わり、タンクレストイレのシェアは三つ巴状態です。LIXILは元INAX、もともと陶器の会社ですから、メーカーとしても歴史が長く、質の高い衛生陶器を作ります。

さてどれを選べばいいでしょうか?ここにTOTO、パナソニック、LIXILの家庭用一体型便器の写真があります。じっくりご覧になってみて下さい。区別がつきますでしょうか。

ネオレスト

TOTOの家庭用一体型便器。きれい除菌水で便器の中をいつも清潔に保つ。1回の洗浄水量は3.8リットル。


アラウーノ

パナソニックの家庭用一体型便器。陶器ではなくガラス樹脂。中性洗剤を入れておくと流すたびに自動洗浄してくれる。1回の洗浄水量は4.8リットル。


サティス

LIXILの家庭用一体型便器。便座が持ち上がるお掃除リフトアップ機能は特許。100年クリーンのアクアセラミック製。1回の洗浄水量は4リットル。


いかがでしたでしょうか?そうなのです。よく見れば細かい違いはありますが、それほど変わりません。本体があって便座があって、フタがあって。お尻を洗ってくれるのも、便座が暖かいのもどれも同じです。

見た目はそう変わらないものを差別化して売る必要があるわけですから、メーカー側も必死です。このそっくりな便器たちの中で、自社の商品を消費者に選んでもらうために、様々な付加価値が創造されています。

便器戦争の勝者は?パナソニックが躍進、王者TOTOが迎え撃つ

トイレ掃除

ガイドYuuはもっともっと掃除を楽にしてくれたらうれしい。

各メーカー、似ているようでいて、それぞれに特徴がありますので、選ぶ側としては、その性能をじっくり見極める必要があります。自分にとってどの機能が必要で、どの機能が不要か?中にはオーバークオリティと感じるものもありますので、確認が必要です。

パナソニックがシェアを伸ばした理由は、自動洗浄装置のおかげです。中性洗剤を横から入れるだけで、流すたびに内部を自動洗浄してくれます。節水ではTOTOに負けますが、消費者の家事をラクにしたいと思う気持ちをがっちり捉えました。

もちろんTOTOも負けていません。使用前に内部にミストを吹きかけて汚れを付きにくくし、さらに使用後と8時間使用しない時には除菌水が自動で散布されます。この除菌水は洗剤を入れる必要はなく、水道水で自動で作り、時間がたつと水に戻ります。

LIXILは便座が持ち上がるお掃除リフトアップ機能で特許を取りました。また100年経ってもツルツルがはげ落ちない、汚れがつるりと落ちるアクアセラミックを開発しています。

さて、この便器戦争、今後はどちらへ向かうのでしょうか。ズボラなガイドYuuは個人的には、もっともっと掃除が楽になる方向を目指してもらいたいと思っています。内部だけキレイにするのではなく、便座の裏やスキマ、フタも丸ごと全て自動洗浄、除菌してくれる製品が出てくるのを心待ちにしています。

 

じっくり比較すると意外な違いが見えてくる

ちなみに、上の3つの便器の実物を並べて比較したことがあります。ガイドがセミナーの講師を務めたリフォームイベントで、各メーカーが展示を行ったのですが、主催者の粋な計らいで、3台を1列にずらりと並べて展示しました。

メーカーの担当者の方々はちょっと困っていたようでしたが、バラバラに見ていた時と違って、とにかく違いが一目瞭然!素材感、デザイン、操作性などの特徴をくまなく比較することができました。ぜひ皆さんも、イベントやショールームで実物にじっくり触れてみて下さい。きっと意外な違いが見えてきます。

また便器の選び方でトイレリフォームの費用は大きく変わります。成功のポイントと注意点は下記で詳しくご紹介していますので、あわせてご覧下さい。
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