/ピル(OC)・経口避妊薬

緊急避妊薬(アフターピル)の種類・効果・副作用

【薬剤師が解説】緊急避妊薬は、「緊急避妊ピル」または「(モーニング)アフターピル」と呼ばれています。望まない妊娠を避けるために開発されており、性交後72時間以内に服用することで妊娠する確率を大幅に減らすことができます。緊急避妊薬の種類や効果、副作用をまとめます。

三上 彰貴子

執筆者:三上 彰貴子

薬剤師 / 薬ガイド

※当記事に関しては、色々なご意見があるかと思いますが、なるべく中立的な立場で紹介させていただきます。

緊急避妊薬(アフターピル)とは……2種類のアフターピル

寝そべる女性

医療機関を受診して妊娠に異常がないことを確認するなど医師の診察を受けてください。

ヒトの性交は、妊娠の目的だけでなく、コミュニケーションとして行われることがあります。妊娠を望まない場合は避妊をすることになります。 ただ、さまざまな理由により避妊ができなかったり、コンドームが外れてしまうなどの理由で避妊に失敗してしまうこともあります。

また、それ以外にも、大変残念なことですが強姦などの事件を含め、性交の強要により避妊ができなかったというケースもあります。

何らかの事情で避妊に失敗し、望まない妊娠を避けるために、緊急避妊薬(アフターピル)という薬があります。

このアフターピルには、2つの種類があります。

1.「緊急避妊薬」という薬で、レボノルゲストレルを有効成分とする薬(SOH-075)のことです。これは、フランスで開発され、「ノルレボ」という名で約60カ国で販売されていますが、2010年3月現在、日本では販売されておらず、あすか製薬の100 %子会社である株式会社そーせいが治験を終了し承認申請をしている状況です(ただし、2006年4月から強姦事件の被害者は緊急避妊薬を公費で得られるようになっています)。

2.もうひとつは、「モーニングアフターピル」と称し、緊急避妊薬と同じ効果が得られるホルモン濃度の量の経口避妊薬(ピル)を服用するというパターンです。これには、製剤に含まれるホルモン量の関係から、低用量よりも中用量の経口避妊薬が使われることがあります。

なお、緊急避妊ピルは、着床成立前に避妊目的で服用する薬剤ですので、着床し妊娠が分かってから行う中絶とは全く目的が異なります。そして、日本は、先進国として緊急避妊を承認していない唯一の国になっています。

緊急避妊薬の服用法・使い方

まず、前述のような、強姦事件や母体保護法の中絶事由(身体的、経済的な要因など)が前提だと思いますが、避妊ができずに性交に至ったり、避妊に失敗した場合は、すぐに産婦人科を受診しましょう。電話などで事前に問い合わせておくと確実です。

服用は医師の判断に従っていただければと思いますが、原則的には、避妊できなかった性交後、72時間以内に緊急避妊薬(レボノルゲストレル含有)を1回飲み、その12時間後にもう1度薬を服用します。

または、経口避妊薬の場合は、避妊が期待できるホルモン濃度と同じになるように72時間以内に1回、その12時間後に1回飲みます。

ただし、経口避妊薬で行う場合は、経口避妊薬によって含まれるホルモンとその含有量が異なり、飲む個数や飲む錠剤の部分(経口避妊薬は21錠の中で含有量が異なるものがあります)が変わりますので、きちんと医師に相談して判断を仰ぐなど自己判断は避けるようにしてください。

なお、経口避妊薬で行うより緊急避妊薬の方が避妊効果は高いのですが、100%ではありませんので、避妊効果が得られなかった場合や、72時間以内に緊急避妊薬の服用ができなかった場合も、医師に相談するようにしてください。

緊急避妊薬の副作用

主な副作用はつわりのような吐き気や、生理痛のような腹痛。緊急避妊薬の方が、経口避妊薬で行う緊急避妊より副作用の発症は低いようです。

また、緊急避妊が失敗して妊娠したとしても、胎児には影響がないとの報告がなされています。理由は、妊娠時には身体から緊急避妊薬の10倍以上の女性ホルモンが分泌されるため。緊急避妊薬(経口避妊薬も同様)程度の女性ホルモン量では、胎児に与える影響はほとんどないとのことです。

緊急避妊薬は、あくまでも「緊急的な」避妊に用いる薬です。倫理的にも色々な側面があると感じておりますので、安易に用いず、普段から経口避妊薬や、コンドームなどの方法で避妊することが大切です。

そのためにも、パートナーと色々話しあえるような良い関係を築いてくださいませ。

最後に……日本での薬局での取り扱いをすべきかの賛否

最近、日本でも性交以後72時間以内に服用することで効果を発揮する緊急避妊薬を薬局でも買えるようにするべきかという議論がされています。実は緊急避妊薬は、ほとんどの先進国において、薬局で薬剤師を通じて買えたり、保健室のようなところで手に入れられるものなのです。

これに関しては様々な見解があると思いますが、望まれない妊娠や体に負荷のかかる堕胎手術のことを考えると、日本でも今よりは手に入れやすい方法が設けられることも、一つの選択肢なのかもしれません。今後の状況が変わりましたらまた追って情報を更新したいと思います。

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