北京/北京のグルメ・レストラン・屋台・カフェ

西太后が絶賛した肉まん屋 狗不理/北京

狗不理の包子は、二、三口でいただける小ぶりのサイズで、ほどよくボリューム感のある皮に、肉汁がジュワーッと広がる逸品! さすが、かつて西太后がひいきにしていたといわれる老舗店の包子です。前門観光をしながら「ランチはどこにしよう?」と迷った時は、ここ狗不理へぜひどうぞ。

鈴木 晶子

執筆者:鈴木 晶子

中国ガイド

創業150を誇る北京の老舗店の包子(肉まん)

狗不理包子「猪肉包(豚まん)」

「猪肉包(豚まん)」46元(1セイロ8個)。あつあつのうちにほうばって!

狗不理の包子(パオズ/中華肉まん)は、二、三口でいただける小ぶりのサイズで、ほどよくボリューム感のある皮に、肉汁がジュワーッと広がる逸品! さすが、かつて西太后がひいきにしていたといわれる、創業150年の老舗店の包子です。北京前門観光をしながら「ランチはどこにしよう?」と迷った時は、ここ狗不理がおすすめです。

「狗不理=犬も相手にしない」という店名の由来と店の歴史

狗不理包子「職人の実演」

店内では職人による包子創りの実演が行われている

狗不理包子「店内」

狗不理包子前門店の店内。どこか懐かしいレトロな中華風インテリア

狗不理包子という店名はその由来を知らないと、「え? 犬も相手にしない肉まん?」とちょっと不思議に思うもの。実はこの店名、創始者が命名したものではなく、あるエピソードのよって生まれたものなのです。

狗不理包子の創始者は河北出身の高貴友という男性なのですが、彼は父親が40になってから授かった子で、なんとか無事に育って欲しい、犬のように育てやすい子であって欲しいという願いを込めて、「狗子(犬の子)」という幼名をつけられました。狗子は14歳の時、天津の包子店に奉公へ出ます。手先の器用な狗子は熱心に包子作りの修行に励み、腕前をどんどんあげて、3年後の1858年に自分の店をだし「徳聚号」と名付けました。

狗子の作る包子はふっくらやわらかで、脂っこくなく、形は菊の花のように美しい。生真面目な彼の商売はとても誠実で、店は客で溢れかえり、狗子は忙しく客と話す暇もありませんでした。そんな彼を見て人々は「(狗子売包子,不理人)狗子は包子を売る時は、客の相手をしない」と言いました。それが転じて彼のことを「狗不理」と呼ぶようになり、彼の作る包子は「狗不理包子」と呼ばれるようになり、本当の店名はしだいに忘れられてしまったというわけです。

 

西太后をもとりこにした狗不理包子

狗不理包子「前門店」

店の前にある像。西太后に包子を献上する高貴友

清朝末期、天津で陸軍の洋式化を推し進めていた袁世凱が、狗不理包子を西太后に献上しました。それを食べた西太后は大変喜び、「山中走獣雲中雁、陸地牛羊海底鮮、不及狗不理香矣,食之長寿也(山中を走る獣も、雲の中を飛ぶ雁も、陸地の牛羊も、海底の海鮮も、狗不理の美味しさには及ばず。これを食せば長生きする)」と褒め称えました。そのことをきっかけに、狗不理包子の名声は更に高まり、各地で分店を開くまでになりました。

狗不理のこだわり包子(肉まん)

狗不理包子「猪肉包(豚まん)」

最高級のカニみそまんは18元/個! 高すぎるとの声も多いが味は抜群

狗不理包子「猪肉包(豚まん)」

ジュワーッと口に広がる肉汁が最高に美味!

創始者・高貴友が生み出した包子は素材や製造法にこだわり抜いた名品。具は豚肉に適量の水、豚骨スープ、上質なごま油、特製醤油、すりおろし生姜、長ネギのみじん切りなどを混ぜ合わせます。そして、半発酵させた小麦を、均一な厚さの約8.5センチの円形に伸ばした皮に具をつめ、包みこんでいきます。この際、ひだの数は18個で、その間隔は均一。白菊のような美しい仕上がりだったと伝わっています。

狗不理には現在、包子以外にも北京ダックや冷菜や炒め物など、様々なメニューが用意されていますが、ここのイチオシはなんといっても包子です。包子をメインに冷菜を1、2品というのが賢いでしょう。包子は猪肉包(豚まん)、三鮮包(三鮮まん)、什【人偏+十】素包(野菜まん)、蟹黄包(カニみそまん)、海鮮包(海鮮まん)とありますが、昔ながらの猪肉包(豚まん)がおすすめです。

 

値段は高めでも、一食の価値あり!

狗不理包子「猪肉包(豚まん)」

オープンキッチン内で次々作られる包子。そのスピーディな手さばきに圧巻!

値段は約50~150元(1セイロ8個入り)とかなり高め。特に中国人にとって包子は軽食であり、安価な店では1個1元ぐらいなものなので、ここ狗不理のメニューを見て「ありえない……」と驚く人は少なくありません。ただ、実際に食べてみると「ああ、やっぱり違うな」と実感できます。

実は、狗不理包子は一時期かなり味が落ちてしまい、地元の人に「まさに狗不理!」と揶揄されたこともありました。それが近年、伝統の味を蘇らせようと努力をしたようで、「やっぱり老舗だな」と思える味に復活しています。値段は高めですが、一食の価値あり! 前門にお越しの際はぜひトライしてみてくださいね。

<DATA>
■狗不理前門店
住所:西城区大柵欄街31号
TEL:010-6353-3338
営業時間:9:00~21:00
アクセス:地下鉄2号線「前門」駅徒歩約8分

王府井店も人気です
■狗不理王府井店
住所:東城区帥府?胡同24号(全聚徳対面)
TEL:010-6525-7314
営業時間:7:00~22:00
アクセス:地下鉄1号線「王府井」駅徒歩約5分
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます