新築マンション/マンションニュースの読み方

初心者は見つけにくい「新築と中古」の違い

新築マンションか、中古マンションか。最近では、初めからから区別せず並行検討する人が多いよう。とはいえ、どちらを選択するかは古くて新しい永遠のテーマともいえる。最新動向に見る「初心者には見つけにくい違い」を記しておこう。

坂根 康裕

執筆者:坂根 康裕

高級マンションガイド

 
初めにお断りしておくが、新築と中古を概念として比較することにあまり意味はないと思っている。結局のところ、最後は「物件次第」。大切なのは、新築と中古のそれぞれの特性を正しく把握すること。また、その「特性」は時代とともに変化する。近年の傾向から留意点を取り上げてみる。

中古マンションのメリット

イメージフォト

イメージフォト

国土交通省のデータによれば、全国の既存マンションは2010年の時点で約571万戸。増加の一途を辿る分譲マンションのストック戸数は中古市場の拡大と同義である。ちなみに、首都圏では1994年から年間8万戸前後の大量供給が10年近く続いた。それらが今後中古マンションと化して、再び市場にあらわれる。比較的築浅の物件が「売却予備軍」として貯まり続けているのだ。

選択肢の豊富さ、は量だけに非ず。住宅性能評価制度(2000年)、24時間換気の義務化(2003年)、省エネ性能の充実(トップランナー方式導入1999年)など品質向上が図られたのも丁度この頃。競争過多のおかげで優れた商品企画が花開いた時期でもあった。地価の底(2002年前後)では今では考えられないような高級感を備えた物件も多かった。中古ならではの、発掘の楽しみも味わえるだろう。

新築は青田売りが主流。したがって、中古マンションのメリットのひとつは実物を確認できるという点にある。価格も新築よりは安い(ことが多い)。(売主が個人なら)消費増税も無関係。

まだある。中古マンションは新築マンションより価格弾力性が高いということだ。とくに好景気のトレンド化にある昨今の市場では、新築物件が値引きや価格改定(値下げ)を行うことはまず考えにくい。だが、中古は違う。相場とは別に売主の事情によって取引価格が決まることから、(もちろん逆の「上振れ」ケースもあるわけだが)掘り出しモノに出会う可能性を孕んでいる。

管理面のアドバンテージにも触れておこう。新築の管理はそのクオリティが(入居日までは管理組合が組織化されないという意味で)未知数だ。が、既存マンションではそれが事前に確認できる。最近は、スケール(戸数)による管理スキルの違いをお互いに共有しようという自主的な動きや自ら公式サイトを立ち上げ資産価値を高めようとする例なども見られる。つまり、こうした努力を惜しまない組合の中古物件を購入することは「管理意識が醸成しにくいリスク」の排除に等しい。安心感を享受できるわけだ。(大規模マンションの管理組合<公式サイト添付>参照)

新築マンションのメリット

イメージフォト

イメージフォト

かたや新築の魅力は購入者に心理的、時間的な負荷が低減できる点にある。品質(耐震性、耐久性、省エネ性など)の心配がいらず、カスタマイズ(カラーセレクト、キッチン設備の選択など)の満足感が得られ、複雑な手続きやスケジュール管理などそのほとんどが売主であるデベロッパー(または販売会社)1社とのやりとりで完結できる。そして、何より「まっさらの家に住む」という気分。入居後の細かな微調整もアフターサービスの対応期間であれば基本無償で手直ししてもらえる。

コミュニティ面では、すでに有機的関係が構築されている中古もメリットとして持ち合わせてはいるものの、新築は新築で、一からスタートするところから「居合わせている」優位性を保持できる。一体感というとやや重苦しいニュアンスを与えるかもしれないが、竣工・引渡しといった長い人生でそう経験できることではないイベントの「共通体験」は、自然発生的なコミュニケーションを創造するようだ。

初心者は見つけにくい「新築と中古」の違い

イメージフォト

イメージフォト

最後に、初心者にはわかりにくいであろう新築マンションと中古マンションの違いを述べる。これは、昨年(2013年)辺りから強く感じはじめたことで、先日「リフォーム事例集」を眺めていてあらためて確信した。それは、躯体だ。専有部から見た躯体とは、天井高(階高)、柱や梁の出っ張り、窓の大きさ、バルコニーの仕上げなど。以下、少しノウハウ的に解説してみよう。

モデルルームやオープンルームに出かけた際、リビングダイニングの入り口付近に立って、メイン開口側に体を向けてみる(正面はおもにバルコニーの場合が多い)。そこでまずは、天井高と梁をチェック。天井は一番高いところの数値だけを見比べるのではなく、凸凹とのかけあわせで判断しなくてはならない。次に、柱。出っ張りは家具配置のハンディ(不利)になる。サッシの高さとバルコニーも記憶しておくこと。バルコニーの立ち上がりは、コンクリートならプライバシーが守られている感があるが、明るさという点ではガラス手すりが有利だろう。好みの問題だが、違いは歴然だから意識して見よう。

万事気にならない人もいるだろう。だが一方で、閉塞感とは言わないまでも快適性の違いが理解できたという人もいるはず。躯体の改良はここ4~5年の間で急速に普及した感がある。高さ制限の厳しい土地は階高にゆとりを持たせるには限界があるが、梁を抑え天井を極力平らに(あわせてバルコニーをガラス手すりに)することで開放感は格段に上がる。中古でも、水回り設備などは自由に替えられるが、躯体を替えることは(ほぼ)不可能だから留意したい。

【関連記事】
湾岸タワーマンションを選ぶときの注意点

【フェイスブック】
高級マンション

Copyright(C)2006 MH3 Inc. All rights reserved.

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます