世界遺産/ヨーロッパの世界遺産

ポルト歴史地区/ポルトガル(3ページ目)

ローマ時代から港町ポルトゥス・カレとして栄えたポルトの街。そしてポルトゥス・カレの国=ポルトガルの歴史はこの町からはじまった。15世紀にインド航路を発見すると、ポルトガルはアフリカからアジアにかけての海を独占し、世界にその名をとどろかせた。この繁栄を支えたのがポルトであり、ポルトのワイン=ポートワインだ。今回はポルト二大名物トリッパとポートワインを絡めつつ、世界遺産「ポルト歴史地区」を紹介する。

長谷川 大

執筆者:長谷川 大

世界遺産ガイド

世界遺産「ポルト歴史地区」の見所

ドウロ川沿いの家並み

パステルカラーがかわいらしいドウロ川沿いの家並み。何気ない建物もアズレージョや花々で飾られている

世界遺産「ポルト歴史地区」は、サン・ベント駅、クレリゴス教会、ボルサ宮とドウロ川で囲まれた地域に加えて、対岸のヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアにあるノッサ・セニョーラ・ド・ピラール修道院から成っている。主な見所を紹介しよう。

■サン・ベント駅
サン・ベント駅

ポルトの陸路の入り口、サン・ベント駅。到着してすぐにこのアズレージョたちが出迎えてくれる

ポルトの陸の玄関口。世界でもっとも美しいといわれる駅のひとつで、先述した「セウタ攻略」をはじめとするポルトガル史上の名場面が2万枚のアズレージョ(装飾タイル)によって描かれている。

■クレリゴス教会
18世紀に建てられたバロック式の教会。大理石造りのファサード(正面)は重厚で、バロックの特徴である楕円と豪奢な装飾が確認できる。高さ76mにもなる塔はポルトの象徴だ。

 

■ボルサ宮
ボルサ宮

ボルサ宮。この正面にエンリケ航海王子広場が広がっており、裏にサン・フランシスコ教会が立っている

19世紀に建築された建物で、宮殿というよりポルトの商業組合の公館。内部にはスペインのアルハンブラ宮殿を模した「アラブの間」、裁判が行われていた「法廷の間」などの部屋がある。

■ポルト大聖堂
12世紀頃に建てられ、たびたび改修・増築されてきたカテドラル。ロマネスクの双塔やバラ窓、バロックの玄関、ゴシックの回廊・礼拝堂など、さまざまな建築様式が混在している。内部には数多くのアズレージョが飾られている。

 

■サン・フランシスコ教会
サン・フランシスコ教会のカタコンベ

サン・フランシスコ教会のカタコンベ。周囲も足下も四角い縁取りのあるものはすべて棺

14世紀に建てられたゴシック建築を17世紀にバロック式に増改築した教会。内部はバロック式の重厚な彫刻で彩られており、特に礼拝堂は黄金によって装飾されている(金泥細工)。カタコンベ(地下墓地)も見所のひとつ。

■ドン・ルイス1世橋
19世紀に設置された高さは約45m・二階建て構造の鉄橋で、一階部分は車道と歩道、二階部分は鉄道と歩道が走っている。アーチは美しく、クレリゴスの塔と並ぶポルトのランドマークとして知られる。

 

■アルマス礼拝堂、カルモ教会、サント・イルデ・フォンソ教会
カルモ教会

カルモ教会。サイドのアズレージョは20世紀に入ってから制作されたもので、ポルトでも最大規模

いずれもアズレージョに覆われた外観がなんとも美しいポルトならではの教会。特に、ほぼ全面を覆われたアルマス礼拝堂は圧巻だ(写真は次のページ)。いずれも世界遺産の歴史地区を少し外れた位置にある。

■ノッサ・セニョーラ・ド・ピラール修道院
ヴィラ・ノヴァ・デ・ガイア地区にある修道院。展望台はドン・ルイス1世橋やポルト歴史地区を見下ろす絶景ポイントになっている。
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