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ビットコイン事件の裏に隠されている重大な謎

マウント・ゴックスの破綻によって浮かび上がったインターネット上のバーチャル通貨ビットコイン。その謎もあいまって事態は複雑になっている。しかしこの事件を取引所の破綻や単純な投資詐欺事件と捉えてしまうと、本質を見誤りかねない。なぜなら、事件後の動きを見ると、そこには「バーチャル通貨VS既存の通貨」という、経済の支配権争いが見えてくるからだ。

松井 政就

執筆者:松井 政就

社会ニュースガイド

単純な経営問題でも詐欺事件でもない何か

マウント・ゴックスの事件は、四重構造からなっている。

マウント・ゴックスの事件は、四重構造からなっている。

インターネット上のバーチャル通貨「ビットコイン」の取引所マウント・ゴックスが経営破綻した。これによりビットコインというものの存在が一気に知られることとなった。

ビットコインが何なのかについてはすでに様々なメディアが解説しているのでそちらに譲るが、それらに混じって、今回の事件を過去の投資詐欺事件と同列で報じているものがあることが事態を混乱させている

なぜならそんな単純な話ではないからだ。


事件の四重構造

今回の事件は四重構造になっている。

「第一のポイント」はビットコインという資産の消失だ。何者かがマウント・ゴックスのシステムの欠陥を突き、所有するビットコインを消失させ、契約者への返還も補償もできなくなった。

これは一つの銀行が倒産し、預けていたお金が取り戻せなくなったのとほぼ同質のもの。

こんな時、銀行の経営責任は問われても、通貨の信用は問われないように、本来はマウント・ゴックスの経営破綻とビットコインの信用は切り離して考えなければならない

しかし事態は逆の方向に動いていく。


問題点のすり替え

麻生太郎財務相が「こんなものは長く続かないと思っていた。どこかで破綻すると思っていた」と発言。これに呼応するかのように評論家も「国が保証していない通貨はごらんのように信用できない」と口を揃える。

つまりマウント・ゴックスのセキュリティの問題が、いつの間にかビットコインの危険性の問題にすり替わっているのだ。これが「第二のポイント」

たとえば株のようなものであれば、お金として使用するには通貨に交換しなければならない。それは通貨の力を借りることを意味し、通貨の敵とはみなされない。

しかしビットコインは現金化の必要がなく、そのまま決済に使える。つまり通貨を管理する側にとっては大変な脅威となりうるのだ。


犯人はとてつもなく大きな存在かもしれない

犯人は未だ不明だが、この事件が「ビットコインVS国家(政府または中央銀行)発行の通貨」という図式に書き換えられていることを考えると、バーチャル通貨で経済活動をされては困るような、ある巨大な存在が関わっている可能性が否定できなくなる。それが「第三のポイント」

それが何なのか、いずれウィキリークスが突き止めるかもしれないが、今回の事件ではもう一つ重大な問題が忘れられている。

マウント・ゴックスが銀行口座に預けていた現金が何者かによって盗まれたと主張している点だ。これが「第四のポイント」


銀行のセキュリティを破ることなど本当にできるのだろうか?

もしそれが事実だとすれば、世界一安全が確保されているはずの銀行のセキュリティが何者かによって破られたことになり、金融の信用を根底から揺るがす大事件だ。

何十億円というお金が、ある日こっそり銀行口座から盗まれるなんてことが本当にあるのだろうか。もしあったとすれば、詐欺や経営破綻どころの話では終わらない。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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