注文住宅/家づくりのイメージづくり・アイデア

理想の土地と出会う方法 前編

「住まいを通じて幸せになる家族が家づくりで実践していること」の中でも、特に家づくりにかかる前の準備段階(何からはじめて、どうやって設計までに至ればいいか)を7つのステップで紹介していきます。今回はステップその7前編 です。

八納 啓造

執筆者:八納 啓造

幸せになる家づくりガイド

「幸せな家づくり7つのステップ【準備編】その7 前編」

ダイジェストでお伝えした「幸せな家づくり7つのステップ【準備編】」ですが、前回は「ステップ6 家づくりの順序を知る その2 家の総予算を算出する」をお伝えしました。
26坪の土地に建つ家

30年後の資産性も考慮しながら、郊外か街中のどちらに家を建てるか?という視点も重要です


今回は、ステップ7として「家造りの順番を知る その3 土地を探す」の前編を紹介します。

なぜ、土地をはじめに探してしまうのか?

今回の【準備編】では、総額を算出する→家の予算を算出する→その差額で最後に土地を探す、という話をしてきました。しかし、それでもはじめに土地を探そうとする方もいるでしょう。なぜ、人は家づくりを考えるときに土地をはじめに探してしまうのでしょうか?

それは、土地だけが目に見えて実際にイメージしやすいからです。お金の総額やまだ建っていない家をイメージするというのは、一般的に難しいものです。そのために、「土地が明確になればお金や家もイメージしやすくなる」と考え、まずたたき台になる土地を探そうとしてしまいます。これは人間の心理からいっても自然な動きでしょう。

そのことを理解している専門家は、「どんな場所に住みたいか?という話も重要ですが、どんな家に住みたいか?を先に明確にすることで、土地と家にバランスよくお金をかけることが出来ますよ」とアドバイスしてくれます。

幸せな家を手に入れている家族は、建主目線で心配りをしてくれる専門家との出会いが必ずあります。やはり家づくりを考えるときには「土地が決まっていませんが、ある程度の家の総額を先に算出してくれますか?」という希望を聞いてもらえる専門家と組んで家づくりに取り掛かりたいものです。

気になるハザードマップについて

「最近のゲリラ豪雨を見ると、どうしてもハザードマップが気になります」
「希望しているエリアが軟弱地盤だと聞いたのですが大丈夫でしょうか?」
という質問を近年よく受けます。地球規模での気候変動の影響もあり、日本も夏が亜熱帯化してきたことが、1つの要因でしょう。

ハザードマップは市町村の役所など入手&見ることが可能です。ハザードマップには、「洪水時に浸水しやすいエリア」、「豪雨時の土石流の危険エリア」などが詳細に示されています。最近では、東日本大震災クラスの津波が来た場合、それぞれのエリアでどれくらいの高さになるか、というデータも公開されています。このようにハザードマップなどは、見れば見るほど悩ましい部分がありますが、その土地の性格を知った上で土地を購入することはとても重要です。

また希望しているエリアのハザードマップなどが気になる場合は、相談している専門家に、「このエリアはハザードマップ的に大丈夫でしょうか?専門家から見てどうでしょうか?」などと聞いてみましょう。

地震と軟弱地盤、断層の関係について

軟弱地盤に関してよく質問されますが、軟弱地盤とは「直接家の基礎をその土地の上に乗せた時に、沈下していく恐れがある地盤」のことを言います。軟弱地盤は地震時に液状化現象というものを生じる場合があります。阪神淡路大震災の時にも話題になりましたが、杭などの地盤補強をしている部分(例:家)と補強をしていない部分(例:玄関ポーチ)で段差が生じることがあります。

合わせて地震のことで押さえておきたいことは、断層です。これまでの大地震の時は、断層付近の建物の倒壊などが多くみられました。地震時の倒壊などを考えると、断層の位置をあらかじめ調べておくことが重要です。

断層の位置に関しても、各市町村の役所で情報が公開されています。直接市町村に問い合わせすれば、資料を提示してくれます。土地のエリアを選定する場合は、これらの情報も合わせて持ち合わせてみましょう。

気候変動と土地の関係について

地球温暖化白書では、このまま地球温暖化が進むと2100年までに約50cmの海面上昇を起こすと発表しています。また、日本近海では潮位の関係でそれが80cm近くにもなると言われています。このことから考えると、海抜0m地域の治水対策が今後どう行われるかは、日本最大の急務になってくるでしょう。

しかし、現段階でその対策として治水に取り組んでいる地方自治体はまだ多くありません。もし、海抜0m地域での土地の購入を考えている場合は、各市町村の役所に治水計画がどのように立てられているかを聞いてみると良いでしょう。役所の総合窓口で聞けば、その管轄の課を紹介してくれます。また相談している専門家にサポートしてもらうことも1つです。気になる部分は心残りが無いよう調べてみましょう。

その地域の30年後をイメージしましょう

前編の最後にお伝えするのは、「その地域の30年後の姿が与える影響を把握しましょう」ということです。日本は2008年を境に人口減少のサイクルに入りました。まだイメージが湧かない人もいることと思いますが、地方都市になればなるほど、過疎化が急激に進む可能性があります。

例えば、古い住宅団地で、バスが1時間に2本来ていたエリアが、そのエリアの過疎化が進んでバスが無くなった、というケースも実際に発生しています。現在、若い世帯が中心に住んでいるエリアなども30年後、同じような現象が生まれる可能性があります。公共交通機関がなくても生活するのに不自由しないかどうかも視野に入れておきましょう。

もう1つ押さえておきたいのは、車のガソリン代や家の光熱費です。2014年現在のガソリンや電気代は、これからの30年で2倍~3倍ぐらいになる可能性も出てきています。例えば、現在通勤などにガソリン代を月2万円、光熱費に月3万円費やしていたとしましょう。もし2倍になったら、家計からの負担が5万円増えます。住む地域によっては、こういった可能性も十分でてきます。具体的に土地を探しはじめるときには、これらの可能性も含めてFPに支出計画を立ててもらいましょう。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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