資格・検定/資格の取り方・キャリアへの活かし方

資格の種類

一口に「資格」と言っても、国家資格や民間資格、歴史の長いものから新しいものまで様々。それぞれの特徴をよく知って、最大限に活かしましょう。

いぬかい はづき

執筆者:いぬかい はづき

仕事に活かせる資格ガイド

資格にはいろいろな種類がある

国家資格に民間資格、より効果があるのはどれ?

国家資格に民間資格、より効果があるのはどれ?

資格を認定レベルから分類すると、以下のようになります。

・国家資格
国が認定する資格。さらに、資格を持っていないとその仕事に就けない業務独占資格(例:医師、弁護士など)、有資格者でなくても仕事はできるが、取得者でなければ名乗ることのできない名称独占資格(例:中小企業診断士、マンション管理士など)、その仕事に就くにあたり基準となる任用資格などに分類できます。

・公的資格
財団法人や社団法人、日本商工会議所が実施し、管轄省庁が認定する資格。例)日商簿記検定、証券外務員資格、秘書技能検定など

・民間資格
民間企業や協会などの任意団体が認定する資格。 例)TOEIC(R)テスト、各種ベンダー資格など

国家資格なら安心?

一般に、資格としての安心感があるのは国家資格や公的資格。ただし、国家資格なら何でも役に立つかというといえば、必ずしもそうではありません。

国家資格を取得しても、取得後に「その資格に関連する仕事をしなければならない」わけではありません。例えば、私のクライエントのBさんは、「旅行が好き」という理由だけで、一般旅行業務取扱主任者を5年前に取得しましたが、その後旅行業界に転職はしていません。見る人が見れば、宝の持ち腐れ状態。たとえ民間資格でも、その資格を活かして仕事で活躍できるなら、そちらの方が価値があると言えるでしょう。

また、国家資格の中でも、税理士、公認会計士、社会保険労務士など、いわゆる「士業」と呼ばれる職業は、難易度は高いものの、それに見合った効果や権威への期待から今も昔も人気を集めています。しかし、ここ数年は「士業」を巡る状況も様変わり。従来なら、安定した仕事が約束されていた司法試験や公認会計士でさえ、就職難が取りざたされています。既に、どんな国家資格であっても、「これさえあれば確実」とは言えない時代に突入しているのです。
 

新しい資格の効果は? 

ここ数年の資格ブームに乗って、あらゆる分野で多くの資格・検定が誕生していますが、就・転職やキャリアアップを考えるビジネスパーソンにとっては、その効果が気になるところでしょう。新資格を取るメリットは、何と言っても希少性にあります。まだまだ取得者も少なく、他の人よりも一歩先を行くイメージは、既存資格にはない魅力です。

一方で、歴史が浅く取得者が少ないということは、その分知名度が低く、その資格自体評価も定まっていないということ。これは一目でアピールできることが求められる履歴書や職務経歴書に書く上では大きなデメリットと言えます。特に既にメジャーな定番資格がある分野では、わざわざそれ以外の新資格を取ってもあまり意味はありませんし、かえって意欲を疑われてしまうこともあるのです。

それでは、新資格を取得してもあまり意味がないのかというとそうではありません。新資格の実力を十分に発揮できるパターンが3つあります。

・パターン1:定番資格に新しい資格をプラスする
例えば経理職なら定番の日商簿記検定がありますが、必ずしも実務能力を的確に測定するための試験ではありません。そこで、実務能力の評価のために企業を中心に考案された民間検定の経理・財務スキル検定(FASS)を組み合わせると、基本の経理知識にプラスして実務能力を効果的にアピールすることができます。FASSは、TOEICなどと同じスコア方式で結果が出、一定の条件を満たせば繰り返しの受験も可能。常にスキルアップを怠らない勤勉さも同時にアピールできるのです。

・パターン2:資格がなかった分野に誕生した新資格
例えば、企業の広報職初の本格的な資格制度となった民間資格のPRプランナーは、自分のスキルを客観的に証明したくともできなかった広報分野のビジネスパーソンにとって待ちに待った資格。もともと比較の対象となる資格がなかった分野では、新資格を取得することで他との差別化をはかることができるのです。

・パターン3:社会や時代のニーズで生まれた新資格
2008年に生まれた公的資格の登録販売員はこの好例。薬販売の法律が改正されたことにより、2種の薬品販売に登録販売員資格が必須になったことを受け、ドラッグストアや新たに薬販売に進出したいコンビニエンスストアなどを中心に資格取得者のニーズが急激に高まりました。ただし、このパターンでは、しばらく過ぎれば人材ニーズも落ち着いてしまうので、なるべく早めに資格取得に動いた方が資格の恩恵を受けやすくなります。

このように歴史の浅い新資格も、目的に応じて上手に活用すれば、立派な武器になるのです。
 

資格を活かすのはあなた次第

私のかつてのクライエントに、「資格マニア」や「資格オタク」とでも呼ぶべき方がいらっしゃいました。その方は、確かにご自分なりの学習メソッドをお持ちで、効率よく合格のために必要な知識を身につけることに長けています。しかし、取得した資格は、分野、難易度、種類ともばらばらで、実際に仕事に使っているものはごくわずかでした。つまり、その方にとって、大半の資格は仕事に活かせない資格なのです。

資格を選ぶ際に持つべき視点は、「『これからのあなた』にとって『役に立つ』ものかどうか」。この視点が欠けていると、せっかく取った資格がペーパー資格化、宝の持ち腐れ化してしまう可能性があります。

車の免許がいい例でしょう。その名の通り「ペーパードライバー」は、みなさんの周りにもたくさんいるはずです。車の免許は、2、30万円のコストはかかりますが、取得すれば基本的に一生、本人確認のための書類になるものですから、「ペーパー」であってもよい、と考えることもできます。

しかし、ビジネスパーソンにとって、資格を取るということは、その資格を単に本人確認証として使う、という以上の意味を持たせるべきものだと私は考えます。

それでは、巷で言う「この資格で収入アップ!」がうたい文句の資格はどうでしょう? 確かに、そういった資格が収入増につながるケースはあるはずです。しかし、あなたの場合はどうでしょうか?その資格を使って仕事をしている自分自身が、くっきりとイメージできるでしょうか?

いまや国家資格でも民間資格でも「これさえ取れば絶対安泰」という資格はありません。資格を取る決断は、少し大げさに言えば、自分の将来と人生を考え直してみるきっかけでもあると思います。流行に流されることなく、冷静な判断をしましょう。
 

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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