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日本勢が出遅れているダウンサイジングターボとは?

今や世界の流れは「ダウンサイジング過給」と呼ばれるターボを装着した小排気量エンジンを搭載すること。しかし残念ながら、このタイプのエンジンでは日本勢は大きく出遅れてしまっている。いったいどんなエンジンなのか、解説してみよう。

国沢 光宏

執筆者:国沢 光宏

車ガイド

今やエンジンはダウンサイジングの時代に

レクサスNX

レクサスNX200t "F SPORT"

トヨタは北京ショーで新しい2リッター4気筒ターボエンジンを発表した。御存知の通りヨーロッパもアメリカも、今や「ダウンサイジング過給」と呼ばれるターボを装着した小排気量エンジンが主力になりつつあります。このタイプのエンジン、残念なことに日本勢は大きく出遅れてしまっている。果たしてどんなエンジンなのか?

スペックを見ると、最高出力238馬力/最大トルク35.7kgm。ターボ無しの3.5リッターV6エンジンと同等。エンジン効率だけでなく、軽量化まで行えるから一石二鳥である。重くて大きいV6より70kg前後軽くなると思っていいだろう。北京ショーには『レクサスNX』というトヨタだとハリアー級のボディに搭載されていた。

エンジン型式を見ると『8AR』になっており、最近のトヨタの主力である『AR系』の兄弟。その気になればクラウンやレクサスIS/GSなどにも搭載出来る。今やクラウン級のクルマに2リッターターボエンジンを搭載するのが世界の流れ。ベンツEクラスやBMW5シリーズ、キャデラックCTSなど全て2リッターターボだ。

逆に考えれば前述の通り世界の流れから大きく離れてしまったワケです。ちなみに採用されている技術は、ひと昔前に日本で流行った「燃費より馬力」のターボより大幅に進化している。直噴化し、排気系まで水冷とすることで圧縮比を高く取り効率(燃費)稼ぐ。タービンもアクセル踏んだ時の反応を重視した小型タイプ。

米フォードはこのタイプの2リッターターボエンジンを、車重2.2トンのSUV(エクスプローラー)まで採用。ヨーロッパだってジャガーXJに搭載している。ただし。残念ながらドチラのエンジンも技術レベルの問題なんだろう。実用燃費はイマイチ。燃費まで向上しているダウンサイジングターボって、ベンツとBMW、VWだけです。

日本勢のダウンサイジングに取り組む本気度は?

スカイライン

5月下旬に2リッター4気筒ターボを搭載したグレードが追加されるスカイライン

果たしてトヨタのダウンサイジングターボは流行に終わるのか、それとも本当に優れた熱効率を持つのかお手並み拝見と言ったところ。参考までに書いておくと、スバル・レヴォーグのターボエンジンは、小型/軽量というダウンサイジングのメリットを持っていない。レヴォーグについては市販された後、実用燃費を計ってみたいと思う。

また、スカイラインにも5月下旬に2リッター4気筒ターボを搭載したグレードが追加される。日産製エンジンでなくEクラスなどにも搭載されているベンツ製。最高出力214馬力/最大トルク32.6kgmと、Eクラスより若干トルク少ない(3リッターターボ無しエンジン級)。日本向けと言うことでレギュラー仕様になっているんだと思う。

今後、ホンダからも1リッター3気筒ターボエンジンが出てくる予定ながら、日本勢の動きを見てると、依然としてダウンサイジングターボはホンキで取り組んでいるように見えない(だからこそ日産もベンツからエンジン買う)。本来なら1.2リッター級のターボエンジンを搭載したミニバンなど増えてもいいと思います。
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