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PM2.5対策とマンションの空調換気

2014年2月26日、大阪府で初めてPM2.5の大気汚染による注意喚起が促された。人体に与える影響を最小限に抑えるのはどのような対策が必要なのだろう。花粉や粉じんに強いマンションは果たしてあるのか。

坂根 康裕

執筆者:坂根 康裕

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PM2.5濃度の環境基準  

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微小粒子物質(PM2.5)は「1年の平均値が15ug(マイクログラム)/立米以下」「1日の平均値は35ug/立米以下」と環境基準*で定められている。専門家会合は「1日の平均値が70ug/立米、1時間の平均値が85ug/立米を超える場合は地方自治体が注意喚起を行う」ことを推奨。

1日の平均値は翌日にならないと結果が出ないため、大阪府では午前5時~7時のPM2.5濃度が85ug/立米を超えた場合、あるいは午前5時~12時までの濃度が80ug/立米を超えた場合には、注意喚起のための情報発信を行うとしている。2014年2月26日、後者の基準を超えたため初の注意喚起を実施することになった。

注意喚起とは「屋外での長時間の激しい運動や外出をできるだけ減らす」「屋内でも換気や窓の開閉に注意する」「特に、呼吸器系や循環器系の疾患のある方、子どもや高齢者は体調に応じて、屋外活動や不急の外出を控えるなど、より慎重に行動するように」というものである。

ちなみに、翌日(27日)は早朝の値が35.7ug/立米、午前の値が31.9ug/立米。日によって、値が大きく上下することがお分かりいただけると思う。東京都では注意喚起の目安を特に設定していない。東京都環境局では1時間おきに47地点の大気汚染濃度の値をホームページで公開している。

*環境基準とは環境省が「人の健康の保護及び生活環境の保全のうえで維持されることが望ましい基準として、終局的に、大気、水、土壌、騒音をどの程度に保つことを目標に施策を実施していくのかという目標を定めたもの。環境基準は「維持されることが望ましい基準」であり、行政上の政策目標である。これは人の健康等を維持するための最低限度としてではなく、より積極的に維持されることが望ましい目標として、その確保を図っていこうとするものである。(環境省公式サイト)

PM2.5とは

PM2.5とは、粒子の大きさが2.5um(マイクロメートル)以下の小さな粒子のこと。マイクロメートルは、10のマイナス6乗である。0.001mm。人体への影響としては、肺の奥まで入りやすいことから、ぜんそくや気管支炎、肺がんリスクの影響などが指摘されている。

冬から春にかけて、中国の大気汚染が海を渡って日本列島に降りかかっていることが騒がれているが、そもそも都市活動における粉じんも起因することを忘れてはならない。大阪で注意喚起を促した26日のPM2.5が、翌(27)日東京の空に及んでいるようで、前述の東京のホームページを閲覧すると23区が非常に高い数値を示しているが、西に位置する八王子などは数値が低い。

住まいのPM2.5対策

住居内における対策は気密性の向上と換気である。隙間風が入るようであれば、まずそこを塞ぐ必要があるだろう。換気においては、2003年より24時間換気が義務付けられているが、外気を直接取り込むタイプであれば換気事態を極力控えるか空気清浄機の導入を検討する必要があるかもしれない。(換気の種類については、こちらのサイト「換気経路の設定」をご参照ください。)

全館空調『エアロテック』が「PM2.5対応キット」を開発

エアロテックのフィルターにおける平均捕集性能  (出典:三菱地所ホーム)

エアロテックのフィルターにおける平均捕集性能 (出典:三菱地所ホーム)

快適な室内環境を保つ手段のひとつに、全館空調がある。冷暖房と換気を24時間365日コントロールしてくれる設備だ。全館空調を導入する場合は、エネルギーを無駄に消費しないよう気密性を高めているため、大気汚染対策としては優れた選択といえるだろう。

全館空調「エアロテック」を特色にする三菱地所ホームでは、PM2.5の注意喚起が促された時のために、三菱電機と共同で「微小粒子用高性能フィルター」(「PM2.5対応キット」)を開発。「微小粒子用高性能フィルター」は、空調設備(「エアロテック」)に通常備え付けられている「高性能除塵フィルター」を差し換えることで、PM2.5レベルの粉じんを99%捕集可能にする(右図参照)。

「エアロテック」を搭載した分譲マンションの実績はまだ10棟に満たない。「今後の発売予定は未定」(三菱地所レジデンス関係者)。すべての空間で壁掛けの室内機が出現しないことから、インテリア性も有利な点が全館空調の利点でもある。


【参考コンテンツ】
<プロが厳選>2014年注目のマンション


※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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