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ベルリンサブカルチャー発信地、裏ハッケシャーホーフ

ベルリン・ミッテで人気の観光スポット「ハッケシャー・ホーフ」のすぐそばにある、知る人ぞ知る裏ホーフ「ハウス・シュヴァルツェンベルク」は、ベルリンのサブカルチャー発信地のひとつ。ナチスからユダヤ人を守ろうとしたオットー・ヴァイトの博物館やアンネ・フランク・センターもあり、歴史と向き合うためにもぜひ訪れたい場所です。

坪井 由美子

執筆者:坪井 由美子

ドイツガイド

もうひとつのハッケシャー・ホーフ?! 「ハウス・シュヴァルツェンベルク」

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独特の雰囲気が漂うハウス・シュヴァルツェンベルクの中庭。巨大なブリキのオブジェはコインを入れると動く仕掛け

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入口からグラフィティでいっぱい

ベルリン・ミッテの人気観光スポットといえば、8つの中庭からなる「ハッケシャー・ホーフ」が有名ですが、じつはそのすぐそばにひっそりと、もう1つのホーフ(中庭)があります。どんどん小奇麗になっていくこの界隈には珍しく、古くてアンダーグラウンドな雰囲気ムンムンのこの建物の名は「ハウス・シュヴァルツェンベルク」。あえて修復を加えず残された建物で、文化財に指定されています。

中庭にはグラフィティやアートがあふれ、ボロボロの建物にはオルタナティブなギャラリーや映画館、ナチス支配下の様子を伝える博物館などが入居。アーティストたちの居場所であり発表の場となっているこの場所は、ベルリンのサブカルチャーの発信地。と同時に、人類の負の歴史と向き合う場所でもあります。ある意味、お隣のハッケシャー・ホーフよりもベルリンらしい場所かもしれません。

歴史と向き合い、アートを感じる「裏庭」

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アンネ・フランク・センターもひっそりと存在。小さな入口の前には彼女を描いたグラフィティが

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壁のグラフィティの一部

ここでぜひ見ておきたいのが、「オットー・ヴァイト視覚障害者作業所博物館(Museum Blindenwerkstatt Otto Weidt)」。オットー・ヴァイトとは、ナチス支配下の第二次世界大戦中、自身の運営するブラシ工房(※)で、聴覚や視覚障害のあるユダヤ人を雇い、彼らを救うために尽力した「ベルリンのシンドラー」といわれる人物です。その小さな作業所が博物館として公開され、当時の隠し部屋なども見ることができます。また、中庭の入口近くに2008年にオープンした「Gedenkstätte Stille Helden」では、オットー・ヴァイトと同じように、ナチス支配下でユダヤ人を救おうとした「無名の英雄たち」にスポットが当てられています。どちらも入場無料なので、ぜひ多くの人に訪れてほしい場所です。

 

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カフェもいい味だしてます

アート好きなら、インディペンデントなアートスペース&ショップ「neurotitan」も見逃せません。無名の芸術家たちに発表の場を提供しよう、と始まったここは、まさにベルリンのサブカルチャーが感じられる場所。同じ建物の中には、日本の現代アートを扱うギャラリー「MURATA&Friends」など興味深いアートスペースが潜んでいます。

さらに、この中庭の一角には「アンネ・フランク・センター(Annne Frank Zentrum)」があり、アンネの日記の現物が展示されるなど、小規模ながらとても深い内容となっています。アンネ自身はベルリンに住んだ事はありませんが、かつてこの辺り一帯がユダヤ人街だったことからここへ置かれることになりました。

この他にもベルリンでは、かつての過ちに向き合い、忘れないための「警告」が、いたるところで見られます。

※ドイツでは昔から視覚障害者がブラシを作るという伝統があり、オットー・ヴァイト自身もその一人でした。

こちらの記事も参考にどうぞ>>>ベルリンの人気観光スポット ハッケシャー・ホーフ

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Haus Schwarzenberg
住所:Rosenthalerstraße39  10178 Berlin
アクセス:Hackesher Markt 駅または Weinmeister駅から徒歩2分
営業時間や連絡先は下記の各施設HPをご参照ください。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

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