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併用住宅市場、盛り上がる7つの理由

大手ハウスメーカーを中心に、自宅・賃貸・店舗などの併用住宅市場が盛り上がっています。消費税駆け込み反動により一戸建では各社やや苦戦を強いられている中、次なる旗手として期待されているのが、相続税対策等の切り札が使える「併用住宅」。相続税以外にもトレンド期待の様々な要因があるようです。ポイントを7つに絞って見ていきます。

河名 紀子

執筆者:河名 紀子

家づくりトレンド情報ガイド

大手ハウスメーカーを中心に、自宅・賃貸・店舗などの併用住宅市場が盛り上がっています。消費税駆け込み反動により一戸建では各社やや苦戦を強いられている中、次なる旗手として期待されているのが、相続税対策等の切り札が使える「併用住宅」。相続税以外にもトレンド期待の様々な要因があるようです。ポイントを7つに絞って解説していきます。

併用住宅は戸建の定着トレンドに

街並み

土地の有効利用が叫ばれてから併用住宅は1つの流れに

自宅・賃貸・店舗などの併用住宅。なにも最近に始まったトレンドでなく、1階が店舗で2階に店主が住んでいる形態は都市部や商店街にも以前からありました。一時、地価や物価が高騰したバブル時代にも、地価の高い狭小地をいかに有効利用するかという観点で盛り上がりましたし、その後、土地神話が崩れて地価が右肩下がりになる中でも「土地の有効利用」「ローン返済の短縮化」「副収入」などの点で一つの定着した流れになっています。

では、なぜまた最近盛り上がっているのか。ガイドが業界を見聞した中からいくつかのポイントを挙げてみたいと思います。

理由1: 地価上昇に立ち向かう家

長らく続いた右肩下がりの地価が、アベノミクスで底を打ちつつあるという報道が各方面で流れました。たとえば野村不動産アーバンネットの調べによると、2013年1-12月の年間ベースで住宅地は「値上がり」は50.7%(前年42.1%)で、「横ばい」が37.1%(同35%)で、前年より確実に上昇傾向に。
地価調査

値下がり地点が減少、値上がり地点と横ばい地点が増加し、東京都区部、東京都下、神奈川がプラスに(野村不動産アーバンネット調査「2014.1.1時点の首都圏住宅地価格」より)

そもそも何故「地価上昇トレンド」が併用住宅建築を後押しするのか。それは後述する相続税ともからみますが、税金が増えるからです。地価が上昇すれば土地分の固定資産税が増えるほか、相続で土地を譲り受ける際にも評価額(固定資産税評価額)が跳ね上がります。地価上昇は個人の力では止められないにせよ、ならば「住むだけの家」よりは「儲ける家」を建てて増税分をそこでまかないたいというのは、ごく自然の流れでしょう。

理由2:賃貸併用は相続税節税に

賃貸併用

併用住宅でポピュラーなのは賃貸併用(写真はイメージ。積水ハウスの賃貸併用マンション「ベレオ」)

平成27年1月1日より、相続税増税が実施されることは周知のことと思います。基礎控除が3000万円+600万円×法定相続人の数に引き下げられるほか、相続税率も一部相続金額帯で5%ほどアップします。土地や建物の不動産や金融資産を含めた全相続資産が
5000万~1億円の場合…30%
1億~2億円の場合…40%
2億~3億円の場合…45%(今回改正でここが増税)
となりますが、親が住んでいた土地や建物が広かったり、いくつか畑をもっていたりすると、意外にもこの額に達してしまう人も少なくないことでしょう。

だからこそ、関係業界ではちょっとした騒動になっているわけですが、賃貸併用住宅を自己所有地の土地に建設する場合、貸家部分の面積比に応じて『貸家建付地評価減』という特典受けられるのです。具体的には、
●自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合) 時価の5~7割程度が目安
●自用家屋の評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)自用家屋の6~7割程度が目安
と、かなりの評価額引き下げにつながるほか…、

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