国債・債券/債券関連情報

NISAで債券投資が可能に?2016年がターニングポイント

2014年1月募集(発行)から、個人向け国債は毎月募集となりましたが、新窓販国債を含め、金利には当面期待できそうにありません。少しでも高い金利を確保したいと思えば、個人向け社債に目を向けるべきでしょう。しかし、先を見通せば債券に投資する環境は、足下以上に悪くなることはないと考えられるのです。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

お金の悩みに答えるマネープランクリニックガイド

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2014年、債券投資には厳しい局面が続く

2014年が始まったばかりに悲観的なことを述べるのは心苦しいのですが、この1年も債券、預貯金などの確定利付きの金融商品の金利は期待できそうにありません。年後半には、景気回復にともない市場金利が上昇しそうですが、その上昇が100%、個人向け国債や預貯金に反映されるわけではないからです。

新窓販国債、個人向け国債、個人向け社債の金利は、市場金利の上昇に伴い多少は上昇するでしょうが、預貯金については預入期間が5年以上の物は多少金利が上がる位で、預入期間5年未満の金利が上がることはほとんどないように思えます。

少しでも好金利を確保したいならば、情報のアンテナを張り巡らして個人向け社債を購入するのが得策と言えますが、少し先、正確には約2年先を見越せば債券投資の環境ががらっと変わる予定なのです。

2016年1月から債券の課税は上場株式と同じに

2014年度の税制改正大綱が、2013年12月に政権与党から公表されましたが、実は2013年度税制改正で債券の課税関係は大きく変わることが決まっているのです。

2016年1月より、債券の課税関係は上場株式等と同じになるのです。利子、償還差益、売却益のすべてが、20.315%の申告分離課税扱いになるのです。ただし、利子、償還差益については、20.315%の税金が特別徴収という形で自動的に差し引かれることになります(株式の配当金や株式投資信託の普通分配金と同じ扱い)。

上場株式等と同じ課税関係になることから、2016年1月からは債券の利子や売却益と、上場株式等(ETF、J-REIT、株式投資信託)の損失と通算することができるようになるのです(逆も可能です)。

さらに、2016年1月以降に購入した債券については、「特定口座」に入れることも可能になります。特定口座、正確には同口座の「源泉徴収選択口座(源泉徴収あり)」の口座に入れれば、金融機関が損益通算を行ってくれることになるのです。

上場株式等と同一の課税関係になるわけですから、債券も上場株式「等」の等に含まれることになり、結果として2016年1月からはNISA(少額投資非課税制度)の対象商品になると考えられるのです。

物価連動国債も2016年に販売予定

NISAが始まって間もないのですが、これまでのNISAに関する税制改正を見ていると、2016年1月から債券をNISAに入れられるようになるのは、既定路線とも言えるのです。

2013年度の税制改正において、NISAの投資金額は300万円から500万円に、投資期間は3年から5年になりました。さらに、1度乗り換え(継続)することで、最長10年間非課税投資ができるようになった経緯があります。

同時に、1年ごとに取扱い金融機関を変えることができる、債券をNISAに入れることができるというのは、検討課題となりました。翌2014年度の税制改正では、大綱に1年ごとに取扱い金融機関を変えることが記載され、事実上、金融機関の変更は1年ごとに可能となったのです。

とすれば、2015年度の税制改正大綱には、債券をNISAの対象商品とすることが盛り込まれると考えるのが自然でしょう。先に述べたように、上場株式等に債券も含まれることになるのですから、債券だけがNISAの対象とならないでは税制上の整合性が取れないことになるのです。

さらに、現在は直接購入することができない「物価連動国債」が、2016年には個人投資家向けに販売を行うことが検討されているです。物価連動国債は、2013年度から発行が再開されましたが、元本保証が付加されたことから、安全性は格段に高くなっているのです。

アベノミクスにより物価の上昇率2.0%が目標と掲げられていることから、個人向けに物価連動国債が販売されれば、物価上昇局面の有力な投資先になることでしょう。しかも、NISAに入れることができるとなれば、利子、売却益、償還差益も非課税となる(すべての債券共通)、言い換えれば「マル優」の復活となるのです。

NISAで盛り上がっているところに水を差すようですが、2016年からNISAを取り巻く環境は180度変わると思われてなりません。貯蓄から投資へではなく、貯蓄から国債へと変わる可能性が大なのです。
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