乳児育児/赤ちゃん育児のお悩み解決

新生児の育児は不安なことだらけ?赤ちゃん誕生後の不安解消のコツ

赤ちゃんが産まれて幸せなはずなのに、これからの成長や育児に強い不安を感じてしまうケースがあります。そんな新生児に対しての不安な気持ちを放置することは、これからの育児やお母さん自身の体調にもよくありません。不安に向き合い、解消の糸口を探りましょう。

執筆者:千葉 美奈子

新生児の育児「不安で仕方がない」?待望の赤ちゃん誕生!

新生児に対しての不安解消のコツ

新生児に対しての不安解消のコツ

赤ちゃんが元気に誕生して幸せなはずなのに、赤ちゃんの成長や育児に強い不安を感じてしまう場合があります。

「妊娠経過やお産の過程でトラブルがあった」「赤ちゃんが小さめに生まれた」「誕生後の検査で引っかかった」などの具体的な要因があるわけでなく、客観的に見て何も心配事はないような状態でも、お母さんの心理状況として「不安でたまらない」ということがあるのです。

不安な気持ちを放置すると、その後の育児にもお母さん自身の体調にも大きく影響してしまいます。24時間休みがない赤ちゃんのお世話に追われている時期にこそ、不安がどこから来ているのかに向き合い、なるべく早めに不安解消の糸口を探ってしまいましょう。
   

「守るべき存在が増えた」ことによる当然の不安

フニャフニャの新生児。抱っこも一苦労。

フニャフニャの新生児。抱っこも一苦労。

出産で胎盤が母体の外に出ると、妊娠中に多く分泌されていたホルモンが急激に減り、母乳ホルモンが分泌されるなど、体内環境が劇的に変わります。そのため、ただでさえ不安を感じがちな精神状態に陥りやすくなります。出産直後から1週間前後に見られる「マタニティブルーズ」、出産後数週間から数ヵ月の間に見られる「産後うつ」はいずれも、産後の女性の10~20%に現れる可能性があります。

特に初めての赤ちゃんを迎えた時に大きな不安を感じがちなのは、抱っこするのにもコツがいるほどフニャフニャした新生児を前にしたとき。まだ自分では何もできない赤ちゃんを見て、「これから病気や事故もなく、私に無事に育てられるのだろうか」という気持ちになるお母さんは少なくないようです。これは、たとえ初めての赤ちゃんでなくても、新生児を前にしたお母さんが、本能的に感じる不安だと思います。新しい家族という「これからずっと守っていくべき存在」が増えるということは、人生の中でも非常に劇的な環境の変化であり、大きな精神的重圧も伴います。

生後1ヵ月ほどたち、眠っていることが多かった赤ちゃんが起きている時間が長くなってきても、いつになったら目がしっかり合うのだろうか、いつになったら目の前で動かすおもちゃを目で追うようになるのだろうかと、不安を感じることもあるでしょう。赤ちゃんがちゃんと呼吸をしているか、何度も何度も確かめてしまうかもしれません。こういった不安は、赤ちゃんの首がすわって少しお世話がしやすくなり、こちらのあやしに対する赤ちゃんの反応や表情が次第に豊かになってくるにつれ、少しずつ薄らいでいくことも多いものです。産後3~4ヵ月すると、赤ちゃんのお世話にも慣れ、精神的にだいぶ落ち着いてきたという声も多く聞きます。

しかし、この時期は逆に、今まで気を張ってきた分、身体的・精神的疲労が一気に出てくる時期でもあります。赤ちゃんが健やかに成長しているのにも関わらず、不安感が変わらず大きい場合は、誰もが陥る可能性のある産後うつになりかけている場合もあります。不安が極端に強かったり、周囲の「大丈夫だよ」という言葉がスムーズに受け入れられなかったりする場合には、産後の家庭訪問に来てくれる助産師さんや保健師さん、3~4ヵ月児健診で会う医師や保健師さんに、不安な気持ちを話してみましょう。第三者である専門家に客観的に赤ちゃんの成長をチェックしてもらい、「心配ないですよ」との言葉をもらうことで、不安が解消される場合もあります。
 

成長の個人差がイメージできていないことによる不安

寝返りは、ある日突然のことも。

寝返りは、ある日突然のことも。

初めての赤ちゃんを迎えた場合に特に陥りやすい、「他の赤ちゃんとの比較」。0~1歳の時期の、身体面の成長や精神面・運動面の発達は、本当に個人差が大きいものです。そして、今できなかったことが、数週間後と言わず、数日後にいきなりできるようになることも、しばしばあります。出張などで数日間赤ちゃんに会わなかったお父さんが、短い期間の赤ちゃんの表情や動きの成長に驚くこともあるでしょう。しかし、24時間常に一緒にいるお母さんは、不安を大きく感じるものなのです。

初めての育児では、育児書を常に見たり、インターネットで同じ月齢の赤ちゃんの様子をしばしば検索したりすることもあると思います。昔からある『家庭の医学』に代表されるような本を読んでいると、病気の症状の多くが自分にも当てはまるような気持ちに陥ることがありますが、育児書やネットの育児情報を読んでいると、多くの「標準的な」項目が、我が子には当てはまらないような気持ちになることがあります。しかし、育児情報はあくまでも、「こういう流れで成長・発達していく赤ちゃんが多い」という目安に過ぎません。母乳やミルクを飲む量も、夜中に起きる回数も、昼夜の区別のつき方も、大きな個性があります。飲む量が少なくてもごきげんで活発な赤ちゃんもいますし、生後2カ月前後でほぼ首がすわる赤ちゃんもいれば、5ヵ月前後になってようやくしっかりする赤ちゃんもいます。首すわりが遅めの場合は、その後の寝返りやずりばい、ハイハイなども遅れがちになる傾向がありますが、その子のペースで新しいことができるようになっている場合は、心配ないことがほとんどです。

ハイハイをしっかりしないと、あんよに影響を与えるということも言われますが、これもケースバイケースです。ずりばいしかせずに歩き出す子もいれば、おすわりが大好きで、座ったまま体を揺らして場所移動をする赤ちゃんもいます。私自身の5人の子どもたちだけを見てもさまざまで、歩き始めの遅かった子が歩き始めてから転びやすいということもなく、2歳近くになると、こちらが息を切らして追いかけなくてはならないぐらい、元気に走り回るようになりました。

健診などでの医師や保健師の言葉に安心できる場合もあれば、落ち込むこともあるかもしれません。そういったとき、赤ちゃんがたくさん集まる場に参加してみて、他のお母さんたちと育児の様子を共有してみることで、「大丈夫なんだ」とホッとできることもあるでしょう。育児には、同じぐらいの月齢の子どもを持つお母さんや、少し育児の先輩であるお母さんから、育児書や専門家のアドバイスにはない色々なパターンの体験談を聞くことが、励みになることも多くあります。
 

赤ちゃん以外の要因が育児に与える不安

赤ちゃんに対して不安を感じているように見えて、その裏には、赤ちゃん以外の要因がある場合もあります。

赤ちゃんのお世話をしっかりしなければと感じる一方で、産後の体調不良をいつまでも感じるケースも。育児に追われているお母さんは、自分の健康状態は二の次になり、健診なども受けないまま時が過ぎていってしまいます。例えば、産後1ヵ月健診で、妊娠中からの血圧が高い状態や尿タンパク値が高い状態を指摘され、経過観察を指示されても、放置してしまうこともあるでしょう。そういった状態が、育児の中での不安として、無意識のうちにくすぶり続けることもあります。お母さんの健康は、家族全体の問題です。子どものお父さんでもある旦那さんは、赤ちゃんが誕生したことで安心してしまいがち。お母さんが感じている体調の不安まで想像するのは難しいものです。まずはお母さんがお父さんをはじめとする家族に不安を伝え、3ヵ月後、6ヵ月後など、節目を決めて受診して、漠然とした不安を取り除いたり、取りうる対策をしっかり取ることも、家庭生活の基盤となります。

これから長く続く子育ての中で、育児家事の分担体制は、ぜひ、妊娠中や産後間もない時期にこそ、家族間で話し合っていただきたいと思います。子育てはイメージ通りには進まず、子どもの成長や生活環境の変化によって、次々に新しい課題が出てきます。何度話し合っても足りることはないというのが現実かもしれません。しかし、育児方針について夫婦で話す時間を持つことを習慣づけるのは、早いに越したことはありません。「育児を手伝う」のではなく「育児を分担する」習慣をつけることにもつながります。
 

新生児の不安……育児の心配することをプラスにとらえる

そもそも、無力で泣くこと以外に自分で主張することができない赤ちゃんの育児に不安を感じることは、大切なことです。さらに、自分が心配性だと感じている方が、赤ちゃんという、か弱い存在を前に、不安を感じないことも不可能です。抵抗力、免疫力が低く、寝返りやハイハイで自ら移動することを獲得し始めた赤ちゃんの周りには、興味深いものと同時に、危険がいっぱいです。家の中では一瞬目を離しても大丈夫なことが大半でも、まさかの事態は、「家の中で一瞬目を離した」時に起こるものです。一瞬を大切にとらえて育児に向き合うことで、「安全」や「大丈夫」を積み重ねていく中で自信をつけ、不安の加減を自分の中で調整していくのも育児なのだと思います。

生まれたての赤ちゃんを前にして色々試行錯誤していく中で、丁寧な育児がマイナスになることはありません。常にお世話している目の前の赤ちゃんを前に、不安も含めてご自身の直感を大切にしていくことは、育児の大きな経験と大きな自信につながると思います。解決の手だてが取れる不安と、時間や赤ちゃんの成長によって解決される不安の、両方と上手に向き合い、育児を楽しんでください。


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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。

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