世界遺産/ヨーロッパの世界遺産

ヒエラポリス - パムッカレ/トルコ(2ページ目)

紀元前から伝わる温泉の湯煙にフワフワと揺れる綿の城パムッカレ。100以上も連なる不思議な石灰棚の上にはローマ時代の円形劇場が旅情を誘う。今回はトルコの複合遺産「ヒエラポリス - パムッカレ」を紹介する。

長谷川 大

執筆者:長谷川 大

世界遺産ガイド

複合遺産「ヒエラポリス - パムッカレ」の魅力

神秘的な色で魅せる石灰棚の湯。ここで泳ぐことはできなくなったが、一部裸足で入れる場所も確保されている ©牧哲雄

神秘的な色で魅せる石灰棚の湯。藻が大量に発生して石灰棚を汚してしまった経験からここで泳ぐことはできなくなったが、一部裸足で入れる場所が確保されている ©牧哲雄

美しい石灰棚の曲線 ©牧哲雄

美しい石灰棚の曲線 ©牧哲雄

パムッカレは先述したように、鍾乳石でできたお城のようなまっ白な台地のこと。この石灰棚は、石灰の純白と空の青、水の透明度が混じり合った独特な乳白色がとても美しい。

広大な棚の一部は観光客に開放されており、石灰棚を眺めながら足湯につかることができる。水の流れが数千年もかけて作り出した造形美を、足湯につかりながらボケーっと眺める。いい時間だ。

そして台地の上にあるのがローマ遺跡ヒエラポリスだ。ローマ時代の浴場や列柱、神殿跡が残されており、特に円形劇場はトルコにあるものの中でもっとも保存状態がよいといわれている。

 

ヒエラポリスに残るローマ時代の遺構 ©牧哲雄

ヒエラポリスに残るローマ時代の遺構 ©牧哲雄

いつも思うのだが、太古の遺跡というのは、崩れているのにどうしてあんなにも美しいのだろう? なぜ完成した姿より美しく見えたりするのだろうか? 丘の上でそんな思いに浸りながら円形劇場の上からこれまたボケーっと景色を眺める。とてもいい時間だ。

そして石灰棚・ヒエラポリスと並ぶパムッカレの名所が遺跡プール(パムッカレ・テルメル)だ。透明度が高く美しい鉱泉にローマ時代の遺跡が沈む巨大なプールで、遺跡に腰掛けて鉱泉に浸かったり、その源泉で泳いだりすることができる。

遺跡の魅力と温泉の魅力が結びついた世界でもっとも神秘的な温泉のひとつでのんびり温泉三昧。最高の時間だ。

 

パムッカレの石灰棚ができるまで

パムッカレの美しい石灰棚。棚の総数は100以上にもなり、いまも増えつつある ©牧哲雄

パムッカレの美しい石灰棚。棚の総数は100以上にもなり、いまも増えつつある ©牧哲雄

パムッカレといえば石炭棚。どうしてこんなへんてこな石灰棚ができたのだろう?

雨水は地中で様々な地層に触れて、いろいろなミネラルを含んでミネラル・ウォーターとなる。パムッカレ周辺は石灰層が強く、炭酸カルシウムをたくさん含んだ鉱泉になる。鉱泉は地熱で温められ、圧力を加えられて大地に湧き出して温泉となる。

こちらも石灰棚 ©牧哲雄

こちらも石灰棚 ©牧哲雄

湧き出した水は地表を流れるが、流れていくうちに石を転がし、集まった石が所々で水をせき止める。せき止められた小石は止まった場所でコロコロと回転するうちに小さな穴を掘り、その穴に別の石が落ち込んで、穴はさらに大きく広がっていく。

水がせき止められているうちに溶けていた炭酸カルシウムが沈殿し、これが何年も何年も積み重って壁になり、やがて大きな棚へと成長する。現在このような棚が100以上確認されているという。

棚から落ちた水滴は、ゆっくりゆっくり落ちるうちにわずかずつ炭酸カルシウムを沈殿させて、つららのようなつらら石を作り出す。下に落ちた水滴からも少しずつ炭酸カルシウムが沈殿し、盛り上がって石筍(せきじゅん)となる。つらら石と石筍がくっつくと石柱となり、滝のような不思議なオブジェができあがる。
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