貯蓄/平均貯蓄額などの気になるデータ

単身世帯の平均貯蓄は前年よりも215万円増

金融広報中央委員会(日本銀行)が年1回公表する「家計の金融行動に関する世論調査」があります。家計の金融行動に関する世論調査では統計データ以外に、家計の行動分析が行われていますが、前回2人以上世帯の調査内容を見ました。今回は、単身世帯の調査を見ることにしましょう。調査の平均年齢は42歳です。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

お金の悩みに答えるマネープランクリニックガイド

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単身世帯は2人以上世帯より資産増、平均は1274万円

2013年調査の金融資産の保有額は、平均値で798万円、中央値で100万円となり、前年調査と比較して平均値では78万円もの増加となりましたが、中央値は前年と変わりませんでした。金融資産を保有している世帯だけに限ると、保有額の平均は1274万円、中央値500万円です。前年調査と比較して平均値で215万円、中央値でも100万円の増加です。保有総額は2人以上世帯より少ないものの、増加額は単身世帯の方が多くなっています。

金融資産を保有していない世帯は増加し37.2%

ただ、金融資産を保有していない世帯は、調査した世帯の37.2%と2人以上世帯よりも6.2%も多くなっていますが、前年と比較すると3.4%の増加に留まっています。前年調査からの1年に限れば、単身世帯よりも2人以上世帯の方が厳しかった1年といえるのでしょうが、金融資産を保有していない世帯が4割を越えるのも遠くはないと考えられますので、由々しき問題といえるでしょう。

金融資産保有世帯においては、前年と比較して現金や流動性の高い預貯金から、長期運用型やリスク資産に振り向けた世帯は10.6%と2人以上世帯の約倍、長期運用型やリスク資産から、現金や流動性の高い預貯金に振り向けた世帯も6.1%と、いずれも2人以上世帯よりもその割合は高くなりました。

投資を控えた世帯は、投資を行った世帯より少ないことから、アベノミクス効果があったように感じられます。さらに同世帯では、金融資産の残高が1年前と比較して減った世帯は22.6%と前年と比較して10.1%低下しました。他方、金融資産が増えた世帯は44.6%と前年と比較して9.9%の増加となりました。単身世帯の方2人以上世帯よりもアベノミクスによる株高、円安の恩恵を受けたことがうかがえます。

金融資産の保有目的と選択

金融資産の保有目的では、「老後の生活資金」が51.3%と最も高く前年と比較して4.2%の増加であることから、単身世帯ほどより老後を心配されているようです。

次いで「病気や不時の災害への備え」が45.2%となりましたが、1年前と比較して0.9%の低下となりました。単身世帯は、長年続いた「病気や不時の災害への備え」が前年の調査から第2位となり、2年続けて老後の生活資金がトップとなりました。金融資産の保有目的は、単身世帯が2人以上世帯を先行しているのかもしれません。

金融商品を選ぶ際に最も重視しているのは、「元本が保証されているから」が25.4%と前年と比較して1.8%増加しました。次いで「利回りが良いから」が20.1%と前年比0.6%の増加、「少額でも預け入れや引き出しが自由にできるから」が13.1%と前年と比較して3.1%の減少と続いています。

これを金融資産の3大特性である「安全性」「流動性」「収益性」に分けると、安全性重視が34.5%(2人以上世帯は47.0%)、流動性重視が20.3%(2人以上世帯は25.0%)でした。一方、「収益性」は30.0%と2人以上世帯の14.7%の倍以上もあることから、資産運用における積極性がアベノミクスの恩恵をより受けた背景と考えられます。2人以上世帯はまとまったお金が必要となるライフイベントが多いことから、積極的な運用ができないのは致し方ないのかもしれません。

今後保有を希望する金融商品は、預貯金が46.6%と最も多かったことは2人以上世帯と変わらないのですが、前年と比較して2.4%低下しました。反面、債券、株式、投資信託のいずれかの有価証券の保有を希望している世帯は前年と比較して2.0%増の23.8%となりました。ここでも単身世帯の積極性がうかがえますが、有価証券の保有を希望している割合の増加は2人以上世帯のほうが多くなっています。2人以上世帯の方が、アベノミクスというバスに乗り遅れたと感じているのかもしれません。

ただし、元本割れを起こす可能性があるが、収益性の高いと見込まれる金融商品の保有について「そうした商品を保有しようとは全く思わない」が、前年より0.9%も増加して最も高い63.5%あります。「そうした商品についても、一部は保有しようと思っている」は、前年と比較して2.1%上昇して9.7%になったことが、単身世帯でも救いと言えそうですが、表面上は積極性を取りながらも本音は意外と堅実と言えるかもしれません。

2014年はNISA(少額投資非課税制度)が始まることから、投資に対する考え方などがどのように変化するのか来年の「家計の金融行動に関する世論調査」の結果に興味津々となってきました。

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