防犯/子どもを犯罪から守る

“リベンジポルノ”だけじゃない! ネットのコワさ

ネットの便利さのかげで個人情報が危うくなっています。リベンジポルノもしかり、ネット上で何気なくつぶやいたひとことが思わぬ波紋を広げることもあります。今一度、危険性を認識して、自分の身の安全を守りましょう。

佐伯 幸子

執筆者:佐伯 幸子

防犯ガイド

 リベンジポルノを防ぐ手段はあるか!?

ケンカ別れした後で……

ケンカ別れした後で……

別れた後で、振られた腹いせやいやがらせとして、元交際相手の他人には見せられないような画像をネット上に公開するという悪質かつ陰湿な行為は「リベンジポルノ(復讐ポルノ)」と呼ばれています。世界的にも社会問題となっており、アメリカのカリフォルニア州議会では、今年の10月に「いやがらせを意図してヌード写真を流通させた者に対して、最大6か月の禁固刑もしくは1000ドルの罰金を科す法案」を成立させました。

これにより、相手を特定できるヌード写真や動画を被写体の許可なしにインターネット上に投稿することが禁止されたのです。

日本では、「名誉棄損罪」(刑法230条1項。3年以下の懲役もしくは禁錮 または50万円以下の罰金)や「侮辱罪」(刑法231条。拘留または科料)、または「プライバシー権」の侵害を理由に、民事裁判で損害賠償請求をしていくことも可能です。画像の内容によっては、「わいせつ物頒布罪」(2年以下の懲役もしくは250万円以下の罰金もしくは科料、または懲役と罰金の併科(刑法175条1項)の対象となります。

もし、被写体が18歳未満の場合は、「児童買春・児童ポルノ禁止法」により(5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金または併科。同法7条4号)となります。また年齢を問わず、こうした画像や映像を公開すると脅せば、「脅迫罪」(刑法第222条  生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する)にもなり得るでしょう。

このように、法律で禁止されていることをしてしまうのが、「リベンジ=復讐」たるゆえんかもしれませんが、被害者となり得る側の意識がこうした結果を招くか否か、ということになります。

蜜月状態にあるときの交際では、別れた後のことなど考えずに行動してしまいがちです。そのときには「大丈夫」「好きだから」「相手が望むから」と応じてしまっても、画像や映像として残されてしまった場合、後日、「リベンジポルノ」の被害に遭う危険性があるのです。

被害を防ぐには、「撮らない」「撮らせない」しかありません。存在しない物を公開することは出来ませんから、この世に存在させないことが重要なのです。「相手の画像も撮っておき、牽制する」という強者もいるようですが、これは個人の考え方によるでしょう。中には顔写真をコラージュして、たとえば他の人のわいせつな画像に被害者となり得る人物があたかも当人のように作成して公開するといったような手口もあるようです。

ネット社会は、情報を得ることにはかつてないほど便利になっています。しかし、逆に考えれば、一個人の情報でも瞬時に世界中に流布され、永遠にネット上をさまよい、削除するのが困難であるということでもあります。削除を要請しても費用(一件5万円前後)がかかったり、いたちごっこのように一つ一つつぶしていくという大変な作業であったりと、一度でもネット上に出てしまうことの大変さを理解しておく必要があります。

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