大学生の就職活動/就職活動の選考対策

学歴フィルターは本当に存在するのか?

就活生の間でよく使われる言葉で「学歴フィルター」というものがある。企業が応募してきた学生を一旦所属する大学や学部で選別し、特定の大学や学部のみを選考で通すというもの。果たして本当に企業は学歴で学生の合否を判断しているのだろうか?今回は「学歴」と「就活」の関係について企業の採用活動の実態に触れながらお伝えする。

小寺 良二

執筆者:小寺 良二

ライフキャリアガイド

有名大学出身だからという理由で選考が通るわけではない

先日私のブログや記事を見たという関西の大学に在学中の学生からこんな相談がきた。

「私は高校時代受験に失敗してしまい、関西にある今の大学に入学しました。偏差値も低く決して知名度もある訳ではないので、就活で損をするのではないかと不安を感じ他大学への編入も検討しています。学歴は就活にどのように影響するのでしょうか?」

有名大学の学生は本当に就活で有利なのか?

有名大学の学生は本当に就活で有利なのか?

学生の間では「学歴フィルター」という言葉が使われるくらい「出身大学」は「就活」に強く影響しているように思われている。確かに有名大学出身者の方が、企業は選考で優遇しそうなイメージがあるのは確かにわからないでもない。

ただ学生を勇気付けることだけを考えると「学歴は就職活動にはまったく影響しないから大丈夫!安心して!」と言いたいところだが、人事担当者に採用の戦略設計や研修を実施している私の立場から言うと、そんな無責任なことは言えない。逆に「ちゃんと影響するから自分なりに考えて行動しなきゃダメだよ!」と言いたい。

最も大切なことは「影響するか、しないか」ということに頭を悩ますのではなく、「もし影響するのであれば実際どのような影響があり、そのためにはどうするか?」ということを考えることである。

実は多くの企業では採用活動の中で「ターゲット大学」というものを設定することが多い。ターゲット大学とはその名の通り積極的に採用していきたい大学群で、HR総合研究所の調査では新卒採用活動をしている全体の約8割近い企業はどこかしらのターゲット大学を設定しているという結果が出来ている。

ただここで学生に勘違いしてほしくないのは、企業がターゲット大学を設定しているからといって決してそれは「偏差値の高い有名大学の学生しか採用しない」という意味ではないということだ。

ターゲット大学とは実際に過去の採用活動を振り返った時に、毎年採用している学生が出ている実績のある大学であることが多い。企業はより多くの学生に会いたいという気持ちはあるものの、採用担当者の数も会社説明会の回数も限られているので最も採用につながり易い大学の学生と会うことで効率化を図っている。

これは決して学生にとっても悪いことではなく、理系しか採用しない企業がむやみやたらに文系学生と会って大量の不合格者を出すよりも、しっかり採用可能性の高い学生に絞って会ってくれる方が無駄な応募が少なくて済む。

もし企業が本当に「学歴」や「大学名」のみを重視しているのであれば、すべての会社が「東京大学」をターゲット大学に指定しているはずなのだが、実際はそんなことはない。逆に言えば自分の大学の知名度が高くなくても、もし今年自分自身が採用されれば来年からその企業にとっては「ターゲット大学」に指定されることになるかもしれない。

企業は決して「有名大学」にアプローチしているわけでなく、「実績上採用可能性が高い大学」にアプローチしている。

では「学生自身の能力はまったく関係ないのか」というと決してそんなことはない。
実は有名大学の学生は受験勉強を通じて「ある能力」を培っている可能性が高いのだ。

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