不動産売買の法律・制度/不動産売買ワンポイントアドバイス

ルーフバルコニーの注意点

広いルーフバルコニーが付いたマンションの部屋は魅力的ですが、その使い勝手は向きなどによって異なります。また、どんなに広くても好き勝手に使えるわけではありません。ルーフバルコニーの特長や注意点などについて考えてみましょう。その「下の部屋」を購入する場合にも一定の注意が必要です。(2017年改訂版、初出:2013年10月)

執筆者:平野 雅之

【不動産売買ワンポイントアドバイス No.020】

ルーフバルコニーの例

ルーフバルコニーの使い勝手がよいかどうかはマンションによって異なる


ルーフバルコニーとは、下階の住戸の屋根を利用したバルコニーのことです。通常のバルコニーよりもだいぶ大きく、なかには部屋の面積を上回る広さのものもあるでしょう。ただし、その使い勝手はマンションによって大きく異なります。

傾斜地を利用して建てられたマンションなどでは、南向きで日当たりのよいルーフバルコニーが多くみられ、2階以上のすべての住戸にルーフバルコニーが付設している場合もあります。

それに対して、北側斜線制限などの建築規制によって上階が削られた結果として生まれたルーフバルコニーは、北向きの場合が少なくありません。日が当たらなければ、夏季以外はあまり使えないことになるでしょう。

通常のバルコニーと同じく、ルーフバルコニーはマンションの共用部分であり、そこに接する部屋の所有者(または賃借人)が専用使用権にもとづいて利用するものです。

利用価値が高いかどうかは別にして、ルーフバルコニーでは広さに応じた専用使用料を支払わなければならないことが大半です。通常のバルコニーは各戸平等だから無償、ルーフバルコニーは一部の部屋だけのものだから有償といった考え方です。

しかし、毎月お金を支払うからといってまったく自由に使えるというわけではありません。物置や重量物など容易に動かせないものを置いてはいけないほか、庭園を作るなど下階への水漏れの原因となりやすい行為も禁止されています。

鉢植えを置く程度のことは問題ないとしても、どこまでが大丈夫なのかは管理規約や使用細則を事前にしっかりと確認するべきです。下階への音の配慮もしなければなりません。

だいぶ前のことですが、私がお客様を案内した東京都心の中古マンションでは、かなり広いルーフバルコニーに大きなサンルームが増築されていました。

私のお客様では契約に至らなかったのですが、その後に聞いた話では売買を機に管理組合から指導を受け、サンルームは撤去されたようです。それまで黙認されていたものが、売買をちょうどよい機会と捉えて管理組合や管理会社から是正を求められたのでしょう。

仮に同じような中古マンションがあったとしても、「ルール違反で作られたものは使えない」と考えて、売主の費用負担で撤去してもらうように交渉をすることが必要です。

また、ルーフバルコニーでは水漏れや雨漏りにも気をつけなければなりません。

ルーフバルコニーを使用する側としては、排水口を詰まらせて水はけを悪くしたり、大量の水を撒いたりしないように心掛けるべきですが、防水処理の劣化に対するメンテナンスが適切にできていないマンションだと雨漏りが生じることもあります。

その被害を受けるのは下の階の住人であり、購入時に注意が必要なのは「ルーフバルコニーの下の部屋を買う場合」ですが……。

防水の不良によって生じた雨漏りなどには管理組合が対処することになりますが、管理が行き届いていない中古マンションでは補修が遅れがちになることも考えなければなりません。


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マンションの専有部分とは?

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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