不動産売買の法律・制度/ガイド:平野の私的不動産用語集

買付証明書

「買付証明書」についての用語解説です。不動産の取引で使われることの多い「買付証明書」または「購入申込書」について、その意味合いをよく理解しておくことが大切です。(2017年改訂版、初出:2006年8月)

執筆者:平野 雅之


買付証明書

【かいつけしょうめいしょ】

不動産物件の購入希望者が売主(所有者または所有者となる予定の第三者)に宛てて発行する書面のこと。物件を特定するための表示のほか、購入希望価格、支払い方法と支払い時期、その他の希望条件などを記載して署名押印する。

「買付証明書」は主に中古物件や土地など媒介業者が介在する取引に使われることが多く、新築物件など売主またはその代理業者が直接販売する物件では「購入申込書」とすることが多いものの、実務上の取り扱いはどちらも同じである。

また、最近では中古物件などの場合でも書面の名称を「購入申込書」とする不動産業者が、大手を中心に増えつつあるようだ。

「買付証明書」と「購入申込書」のいずれであっても、購入希望者の確定的意思表示ではなく、書面の発行によって購入あるいは契約の義務を負うものではない。

したがって、発行者(購入希望者)は売買契約締結前であればいつでも「買付証明書」などを取り消すことができ、ペナルティを課せられることもないが、安易な発行とその取り消しは顧客としての信用を失うことになる。

ちなみに、購入見込み客からやたらと「買付証明書」ばかり取ってくるものの、なかなか売買契約には至らない営業担当者もいるが、当然ながら社内では信用されないだろう。

なお、ほぼ同一の条件で購入希望者が競合した場合には、「買付証明書」の発行順(売主側担当者への到着順)に優先権を与えることが多い(買付優先)。購入希望価格が異なる場合には高値のほうが優先される(金額優先)。

しかし、売主側担当者の利害関係による裏操作も否定できず、常に公明正大に取り扱われるとは言い難い面もある。


>> 売渡承諾書

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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