ベルギー/アントワープ

アントワープのレストラン・カフェ

欧州屈指の港町アントワープ。ダイヤやファッションの都としても知られるアントワープの人々は、おしゃれで、好奇心旺盛。当然、美食へのこだわりも抜群。クラシックなフランス料理からクリエーター好みの尖ったコンテンポラリーまで垂涎の町です。

栗田 路子

執筆者:栗田 路子

ベルギーガイド

クラシックな美食と斬新なグルメが共存する
アントワープのレストラン

アントワープのシンボル大聖堂

新旧が集まるアントワープ

アントワープは15世紀末以降、ブリュージュに代わって、貿易港として繁栄してきた欧州屈指の貿易都市。港町特有の、開放的で気さくな風土が特徴。「城」と異名をとるアントワープ駅は近年大規模な改装工事が終わり、19世紀の優美な建築とハイテクを駆使した近代建築の粋を極めた一見の価値ある傑作。世界に流通するダイヤの7割が取引されるダイヤ地区は、この壮美なアントワープ駅に隣接しています。

しかし、グルメという切り口で言えば、駅付近は今ひとつ。再開発が進められたものの、今でもやや雑然としていて、ぜひにと言うところがありません。グルメは旧市街や郊外を目指すべし。アントワープに限らず、ベルギーでは、地元のこだわり派は、郊外の住宅地やのどかな牧草地が望める田舎に立地するゆったりしたレストランを好むのですが、外国人観光客には行きにくい……。なので、旧市街を中心に解説しましょう。

アントワープの西側には、南北にスヘルデ運河が通っており、その向こう側(地元では、西岸、対岸と呼びます)はここ数十年の間に、アントワープで働く人々の手頃な住宅地として開発された地域で、グルメや文化的にはやはり魅力薄。魅力溢れるレストランは、ごく限られた旧市街地区に集中しています。旧市街には、日本人には「フランダースの犬」で有名な大聖堂を初めとした重厚な歴史的建造物が多く、アンティークや古い装飾品などを扱う店が数多く見られますが、同時に、90年代以降、個性豊なファッションデザイナーを数多く輩出して来ただけに、一味違うデザイナー・ブティックやセレクトショップのウィンドーも目立ちます。スヘルデ運河に沿って北側の元港湾地区や南側でもここ数年、再開発が進み、東京のお台場やスカイツリー周辺のような、超近代的な建物や斬新な文化圏が広がっています。

アントワープは、オランダ語を話す北部フランダース地域最大の商業都市であり、フランダース独立運動の旗頭である右翼の本拠地でもありますが、歴史的に外国人が多く居住し、道行く人々の話す言語は多彩。アントワープ・グルメの特徴もまた、クラシックな高級フランス料理から、多国籍料理、クリエーター達が好むコンテンポラリーな店など、幅広いレパートリーが楽しめることと言えるでしょう。

高級シックに決めてみたいなら

石畳の小路を探そう

ひっそりと隠れ家のような入り口

アントワープを代表する、老舗フランス料理の店といえば、誰もが最初に挙げるのがSir Anthony Van Dijck(サー・アントニー・ヴァンダイク)。旧市街のランドマーク、アントワープ大聖堂の目と鼻の先にありながら、旅慣れない人には見つけにくい隠れ家。ひっそりとして袋小路のような小道Vlaeykensgangを探り当てると、そこは別世界。本物は高級でも高ぶらない、しなやかなもてなしごと堪能してください。

<DATA>
■Sir Anthony Van Dijck(サー・アントニー・ヴァンダイク)
住所:Vlaeykensgang, Oude Koornmarkt 16, 2000 Antwerpen
TEL:+32(0)3 231 6170
定休:日曜および祭日
営業時間:ランチは12:00~13:30までにオーダー、夕食は18:30以降
予算の目安:ランチコース40ユーロ、ガストロノミーコース60ユーロ

都市のど真ん中で、緑に囲まれた郊外のセッティングを楽しませてくれるのは、カリスマ・パティシエとして著名になったロジェ・ヴァンダーム氏のHet Gebaar(ヘット・ヘバール)。植物園に隣接し、緑溢れるお庭に囲まれ、ベルギーらしいゆったりした空間で、洗練されたランチとデザートを楽しめます。ミシュラン一つ星ですが、夕食時間は営業していないので注意!


<DATA>
Het Gebaar (ヘット・へバール)
住所:Leopoldstraat 24, 2000 Antwerpen
TEL:+32(0)3 232 3710
定休:日曜・月曜・祭日
営業時間:11:00~18:00
予算の目安:ランチコース40ユーロ、デザート20ユーロ

スヘルデ運河沿い北部の再開発地区にできた複合ミュージアムMAS(Museum aan de Stroom)。郊外の町から、この最上階に移って腕を振るうのは、ミシュラン二つ星のヴィキ・グーンズ氏。歴史あるアントワープの絶景をパノラマで楽しめるのはアントワープ中でもここだけ。グルメと絶景の料金は決して安くはないけれど、忘れられない思い出になることは確実です。ちょっと予算が……という方には、地上階のブラッスリーStormもお奨めです。

<DATA>
最上階と地上階にあり

MAS博物館は美味しい店が2つ

‘t Zilte (テゥ・ズィルテ)
住所:Hanzestedenplaats 1, 2000 Antwerpen
TEL:+32(0)3 338 4400
定休:土日・祭日および月曜昼
営業時間:月曜日19:00より、火曜~金曜は昼12:00~、19:00~
予算の目安:ディナーコース150ユーロ、ランチコース100ユーロ
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