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2030年の住スタイル考~シェアハウス

これまで当サイトでは主に現在の業界や住宅動向をご紹介してきましたが、人口動態や住まい観、それに伴う家づくりの考え方やあり方などが急速に変化してきていることから、中長期的な未来予測としての一考もしていきたいと考えています。今回は、昨今ブームのシェアハウスについて。

河名 紀子

執筆者:河名 紀子

家づくりトレンド情報ガイド

なぜ今、この近未来企画?

単身

自立し成熟した単身層の受け皿となる住まいとは?(写真はイメージ)

家づくりのトレンドをウォッチしてきた当サイトでは、主に足元の業界や住宅動向をご紹介していますが、急進する少子高齢化や住まい観の変化、それに伴う家づくりの考え方やあり方などが急速に変化していることをガイドは感じています。

こうした観点から、これまでの現在情報に加え、中長期的な未来予測としての家づくりを考える一考もしていきたいと考えています。住まい方の新しい形や生活者の思考変化などは「個住集住」シリーズでも展開してきましたが、これをさらに大きな流れである「2030年の住スタイル考」シリーズに合流させ、今後も引き続き記事展開していこうと思います。今回は、昨今ブームのシェアハウスについて。

シェアハウス

シェアハウスに公式の定義はない

まず、シェアハウスとは何かですが、公式な定義はなく、共有する部分がバス・トイレだったり、リビングダイニングだったり、サロンや庭だったりという空間を共有するものを指したり、入居者同士の交流を主に指したりするものまで様々です。

シェアハウス専門のポータルサイトを営む「ひつじ不動産」の定義によると、「入居者同士の交流を十分に楽しむことができる、屋内の共用設備を備えた住まい」が一般的なイメージのようです。

ラシーネ

ハウスメーカー業界でもキッチンでの料理をシェアする価値を提供する試みが行われている(写真はパナホームの「ラシーネ井の頭」)

「ひつじ不動産」の創業は2005年でそれ以前からもシェアハウスは連綿と存在し続けてきました。厳密に言えば、江戸の庶民の家や戦前の長屋、そして現代の学生寮なども、バストイレ・食堂などを共有してきた「元祖シェアハウス」だったわけですが、若者の新しいライフスタイルやTVドラマの影響などでブームになったのはここ数年のことで、現在全国で2万戸あるといいます。

東京R不動産などキーワードに見られるリノベーションブームが2000年頃から始まり、それに重なるかのように2008年頃から、古い団地やアパートをリノーベーションしてシェアハウスなどに付加価値化する流れが出てきました。

たとえば大量の公団賃貸を有するUR都市機構では、東京R不動産や無印良品などとコラボし、団地自体がグッドデザイン賞を受賞するなど注力しています。子育て家族のコミュニティづくりに重点を置き、ウェルカムパーティや共同菜園ライフを提供する多摩平団地プロジェクト(ブルースタジオ)もTV東京「カンブリア宮殿」等多く取り上げられました。

なぜシェアハウスが増えているのか

登録数

シェアハウス登録数は年々伸びている

この賃貸や団地の付加価値化の背景にあるのが、賃貸の空室率の上昇。URをはじめ民間賃貸が+αの賃貸を演出することにより、入居者争奪にしのぎを削っており、その入居者を呼び込む解決策の一つが、シェアハウスということで、実は供給側の戦略としても増える背景はあるのです。

ここでは、以前からあるシェアハウスではなく、ここ数年で伸びているシェアハウスの動向と意味について、先日行われた賃貸住宅フェアでのセミナー内容も交えながらレビューしていきたいと思います。

戦前から日本にあったシェアハウスですが、なぜここ数年で伸びてきているのか。セミナーで講演した若者のライフスタイルに詳しいカルチャースタディーズ研究所の三浦展氏は、少子高齢化による社会の変化が最大の理由として挙げています。
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