そば/東京のそば屋

一日一組限定 そば工房玉江(駒込)

そば工房玉江は、そば道具職人が始めた蕎麦屋で一日一組限定である。せいろは常陸秋そばを端正に切り揃えた細打ちの見事な蕎麦。ふわりと蕎麦の香りがうれしい。蕎麦の存在感がしっかりしていて、そのままで美味しい。添えられた藻塩を付けながらいただくのもおすすめ。

前島 敏正

執筆者:前島 敏正

そばガイド

常陸秋そばを端正に切り揃えた細打ちの見事な蕎麦

玉江は一日一組限定の蕎麦屋である。人気店のため予約が二年待ちとなる。それだけに訪問する楽しみは格別である。駒込駅前の商店街を抜け、細い道を10分も進むと、マンションの一階に看板が見えてくる。自宅のリビングのような小さなお店で8名掛けのテーブルが2つ並んでいる。テーブルには参加者の「名前」入りの献立表が、席表代わりに置かれている。

もともとご主人の中村進さんは道具職人であったそうだ。最初は手打ちの蕎麦道具の販売をしていたが、特別に予約のみで蕎麦を提供するようになった。特殊ではあるが、組み立てられる麺棒は、出張そば打ち、旅行用に重宝されているようだ。

店名の「玉」は埼玉から、「江」はもともと久喜市に合併する前の江面村から一文字ずつ取った。ご主人はその久喜市の畑で蕎麦の栽培をされている。
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玉江の玄関

蕎麦クレープ

味付けは肉味噌などが用いられる。見事に切り揃えられた胡瓜、葱、貝割れ大根、錦糸卵。滑らかに薄く焼かれたそば粉のクレープ。肉みそが添えられる。この味噌は見た目ほどにしょっぱくない。お聞きすると豚肉と野菜がたっぷり入っているとのこと。中華の豚まんの餡のような深みのある味わい。    
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蕎麦クレープ


早蕎麦

早蕎麦は蕎麦がきの一種で長野の郷土料理の一つである。切り蕎麦は時間がかかるので、農作業の時にすぐに用意が出来る、早く食べられると言う事で広まったものである。このお店では千切りの大根が練りこんであり、温かいそば汁に刻み海苔と葱、そして山葵でキリッと引き締められ、なんとも美味い。
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早蕎麦


蕎麦法度

かつて蕎麦を食べるのを禁止された時代に、蕎麦を味噌汁や汁物に隠して食べたのが由来だとの説明があった。米の年貢を取り損ねた領主が、稗や粟、蕎麦まで取ろうとしていた時代に、百姓が隠してそれを食べていた事が由来らしい。法度は「ほうとう」がなまったという説と、東北の「ほっと料理」から来ているという説がある。        
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蕎麦法度


せいろ蕎麦

締めはせいろ蕎麦。埼玉県久喜産常陸秋そばを端正に切り揃えた細打ちの見事な蕎麦。ふわりと蕎麦の香りがうれしい。蕎麦の存在感がしっかりしていて、そのままで美味しい。添えられた藻塩を付けながらいただくのもおすすめ。お代わりは、田舎蕎麦が用意されている。玄蕎麦の星がところどころに散る、濃い色のお蕎麦。辛み大根の入った汁によく合う。
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蕎麦



【お店情報】
■そば工房 玉江
・住所:文京区本駒込5-34-6
・電話:そば工房03-5814-0955/予約専用03-5814-0977/事務局03-3828-0654
・営業時間:完全予約制 概ねお昼の時間~夜の時間までをご相談にて。
・定休日:不定
・アクセス:JR駒込駅 東口徒歩9分、東京メトロ南北線 駒込駅 徒歩10分
・蕎麦打ち体験教室:完全予約制 
※材料費共3500円二八のそばを5人分打って持ち帰り。試食もできる。
・手打ち蕎麦用具販売:こね鉢・麺棒・のし板・小間板・切り板・包丁・ブラシ
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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