電気自動車・EV/電気自動車・EV基礎知識

電気自動車の歴史(3ページ目)

電気自動車は、歴史を遡ると1839年にこの世に初めて誕生しました。それ以後、電気自動車はガソリン車と並び、自動車としての歴史を作り上げてきました。近年、地球温暖化などにより注目を集めてきた電気自動車ですが、今電気自動車の新しい時代が形成されようとしています。

中島 徳至

執筆者:中島 徳至

電気自動車ガイド


電気自動車のこれから

電気自動車の普及が進まない大きな理由として二つ挙げられます。まず一つ目はリチウムイオン電池の価格低下と性能向上が必要です。NEDOが2010年に掲げた2030年目標では、1kw当たり今の約10分の1の5000円、重量エネルギー密度は実に今の7倍です。この目標が達成されれば、1充電当たり500km充分に走行でき、電池の価格は20kwhで10万円になります。この目標が達成できれば、十分にガソリン車両の代替が可能になります。

またもう一つの理由として黎明期の今は、環境面とエネルギー面で政府が政策目標を達成できるように、開発、製造、販売、と新産業創造を可能にする技術力のあるベンチャーを支援すべきだと思っています。電気自動車は市場が形成されていない段階です。戦前日本の自動車産業界は軍需の特需によって政府支援が得られたように、アメリカではビック3が崩壊して新星のテスラに注目が集まり赤字続きにもかかわらずエネルギー省からの300億円を超える低金利融資が得られその資金で、一番苦しい時期に各方面からの増資を成功させ米国ナスダックに上場を果たしました。

中国では電気自動車製造にかかわるレアアースの資源も豊富で、この分野で世界一を狙うために政府が積極的な支援をBYDを始めとする政府系大手、民族系大手、そして新興自動車メーカーに行っています。普及期に向けた、企業育成を各国は行っています。日本ではこんな小さな国に10を超える自動車メーカーがひしめき合っています。そんな中、既存の自動車大手を大切にするように、市場が形成されていない今、政府が主導して発注を行うなどして電気自動車ベンチャーをしっかりと育ててほしいと願っています。

また充電インフラ整備の問題が挙げられる方が多いですが、チャデモ方式による急速充電装置の設置以外に、安価な普通充電器の設置は必要不可欠です。今後は電池の性能向上により、スピードを売りとする業務用の急速充電器と、スマートグリット連動式の家庭用の普通充電器に分かれて普及していくと考えています。

こうした電気自動車普及に向けて、私企業はもちろん、国や教育機関、民間団体など様々な組織が取り組みを行っています。そしてそれら組織が、それぞれの立場で電気自動車の将来を見据えた投資を行っているという事実があります。先進国を中心として世界各地でこのような動きが活発になっている理由としては、社会の変化に応じて車の役割が変わってきていること、それに伴い、車に合わせた社会を作っていくのではなく、社会に合わせた車を作ることが必要になってきており、それらニーズを電気自動車が解決できると人々が認識し始めたことにあるのでしょう。自動車関連市場や社会インフラ、そして国の政策などを巻き込み、大きく変化させながら、電気自動車は走り出していくのです。

  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます