窓・サッシ・玄関ドア/窓リフォーム[通風・採光]

家が寒い原因を知ろう!冬も暖かい家にするリフォーム

冷気は意外なところから侵入しています。まずは我が家の築年数をチェック、断熱性能を確認するところから始めましょう。赤ちゃんからお年寄りまで健康に快適に過ごせる、冬暖かい家にするリフォームをご紹介します。寒さの原因を知り、しっかり対策しておきましょう。(2017年改訂版、初出:2007年1月)

尾間 紫/Yuu

執筆者:尾間 紫/Yuu

リフォームガイド

寒い家は健康によくないというデータも!原因を知り対策リフォームを

家が寒い原因は断熱性能の低さ

家が寒い原因を知りしっかり対策をしておきましょう。暖かさのカギは住まいの断熱性能にあります。


暖房しているのに家の中が寒い!と感じていても、一戸建てはそういうものだから、北向きの部屋だから仕方がないと諦めていませんか?

ポイントは住まいの断熱性能にあります。最近の新築住宅は断熱性能が格段に進化し、ちょっと暖房するだけでも一日を暖かく過ごせるようになっています。

冬に家の中が寒いと健康に良くないというデータもあります。平成29年に国交省住宅局より発表された報告によると、冬に起床時の室温が低いほど血圧が高くなる傾向があり、断熱改修によってその血圧が低下する傾向があると確認されました。健康と室温には大きな関係があることがわかったのです。

冷気は意外なところから侵入しています。今回は、赤ちゃんからお年寄りまで健康に快適に過ごせる、冬暖かい家にするリフォームをご紹介します。寒さの原因を知り、しっかり対策しておきましょう。

<目次>

我が家の断熱性能をチェック!窓を制する者は冬を制す

冬の寒い日に、いくら暖房しても冷えを感じる場合は、ちょっと窓際に立ってみて下さい。きっと窓ガラスからヒンヤリとした冷気を感じるはずです。冬に家の中が寒く感じる原因の多くは、この窓からの冷気によるものです。

窓は光を取りこむ大切な役割がありますが、壁に比べて断熱性能が低いため、熱の出入りが大きいという弱点を持っています。特に築年数が古い家の窓は、アルミの枠に1枚ガラスが入っているだけということが多いので、いくら暖房しても熱がどんどん逃げてしまい、家の中は寒いまま。光熱費もかさんでしまいます。

冬の熱の流出割合

冬の暖房時に家から逃げていく熱の約半分は窓から。ちなみに夏の冷房時に家に入ってくる熱の70%は窓から。1992年省エネ基準の家の場合[数値データ/省エネルギー建材普及センター]


冬に寒さを防ぎ、暖かく過ごすためには窓から熱が逃げないよう工夫をしておくことが欠かせません。窓の対策リフォームは意外と簡単で、短時間でできて効果が大きく、冬に暖かい家になるのはもちろん、光熱費の節約もできるようになります。

そこでまずは我が家の断熱性能を確認してみましょう。家はその時代時代ごとに定められた省エネルギー基準に沿って建てられていて、新しい家ほど高い性能を持っています。

この断熱性能は、その家が建てられた年代によって異なり、最新の住まいは断熱性能が高く、小さなエネルギーで家全体を暖かく保つことができるようになっています。簡単に言えば、家は築年数によって快適さが異なるということです。

【我が家の省エネ性能をチェック】
  • ~1979年 : 無断熱、旧省エネ基準以前
  • 1980年~1991年 : 旧省エネ基準
  • 1992年~1998年 : 新省エネ基準
  • 1999年~2013年 : 次世代省エネ基準
  • 2013年~2020年 : 平成25年省エネ基準
  • 2020年~  : 省エネ基準の義務化予定

新しい基準になるに従って、使う断熱材の厚みや窓の性能が進化しています。しかしこの基準は今のところまだ強制力はありませんので、中には新築であっても性能が低い家もあります。この基準は2020年には義務化される予定ですので、今後は断熱性能が高い家が標準になっていくことでしょう。

古い断熱性能の家の場合、1999年の次世代省エネ基準を目指してリフォームをすると、かなり快適になります。そこで1999年の省エネ基準を満たしているかどうか、確認してみましょう。

地域によってこの基準は異なりますが、関東以西であれば、窓ガラスが1枚か2枚かでおおよそのところが判断ができます。冷気の侵入を大きくカットしてくれる複層ガラスの使用を基準としたのは、1999年の次世代省エネ基準以降です。

窓に結露が発生するのも、断熱性能が低いことが原因です。1枚ガラスの場合は、窓の断熱性能を上げるリフォームをすることで、部屋が暖かくなるのはもちろん、結露も軽減し、住環境が大きく改善します。では次に、窓の断熱リフォームの方法をご紹介します。

簡単な窓の断熱リフォームで、冬暖かい家になる

窓の断熱性能を上げるリフォームはどれも手軽にできるものばかりです。

  1. 窓の内側に断熱効果が高いスクリーンを取り付ける
  2. ガラスを断熱性能が高いエコガラスに交換する
  3. 窓の内側に内窓を取り付けて二重窓にする
  4. 窓ごと断熱窓に交換する

などの方法があります。
窓の断熱性能を上げる内窓

枠の結露も防ぎ、防音効果もある内窓。結露がひどい窓は断熱性能が低い証でもある(LIXIL


断熱スクリーンの取り付けは手軽です。脱着も簡単にでき賃貸住宅でも使えます。しかし閉めておかないと効果がありません。

手軽にできて風景が楽しめるのはガラスの交換リフォームです。ただしアルミは熱伝導率が高いので、ガラスの性能だけを上げても枠は冷えるので、そこに結露が集中する可能性があります。

結露もしっかり防ぎたいなら、枠ごと覆う内窓の取り付けか、枠も断熱されている断熱窓への交換リフォームが効果的です。内窓の取り付けは2時間ほどで完了し、防音効果が高いので、家の中が静かになるメリットもあります。

下記にそれぞれのリフォームの詳細をまとめてありますので、あわせてご覧下さい。

2階に比べて1階はなぜ寒い?床下の断熱材をチェック

古い一戸建てでは、2階は暖かいのに1階が寒いという声をよく聞きます。1階が寒い原因は、床下からの冷気と太陽光の恩恵を受けられないことによるものです。冬に2階が暖かいのは、日当たりがいい上に、屋根が受けた太陽の熱が輻射熱となって部屋内を暖めてくれるからです。

足元が寒い家

足元だけ寒い家も多いはず。そんな時は床下の断熱材をチェック。


そこでまずは、床下からの冷気の対策をしましょう。築年数が古い家は、床下に断熱材が入っていないケースも多く、床板の真下がすぐに冷たい地面ということも。これではいくら部屋を暖房しても、足元から冷気が忍び寄ってくるので底冷えがしてしまいます。

床の断熱に関して言えば、省エネ基準が無かった1980年より前に建てられた家は、床下に断熱材が全く入っていないことが少なくありません。また1992年~1998年の間に建てられた新省エネ基準の家でも、今の基準の半分以下の性能しかありません。

床下に断熱材を入れれば足元が暖かく、工事は1日で完成

床の断熱性能を上げるためには、床下に潜って断熱材をはめこむだけ、もしくは吹き付けるだけの手軽なリフォームがあります。工事は約1日で完成します。また厚手のカーペットを敷いたり、フローリングを二重張りにしただけで寒さが薄らいだ家もありますで、ぜひお試し下さい。

床下に断熱材を入れている様子

床下に潜って入れるだけの断熱リフォームなら工事は簡単。足元が暖かくなる(断熱リフォームの事例とポイント、住みながら簡単工事より


1階の日当たりをよくするリフォームも寒さ対策に効果があります。太陽光は光熱費0円のエコな暖房です。冬は部屋にたっぷり取り入れることで、室内の床や壁面が蓄熱し、輻射熱(ふくしゃねつ)でぽかぽかと暖かくなります。

日当たりをよくするコツは窓の位置を高くすることです。高い位置にある窓から入った光は、部屋の奥まで届くので、部屋全体が明るく暖かくなります。北側の部屋や日当たりが悪い部屋は天窓の力を借りるのもいいでしょう。ただし夏は暑くなり過ぎないように、日差しを遮ることができるよう工夫をしておきましょう。

高い位置にある窓は部屋に太陽光を取り入れ暖かい

日当たりが悪い部屋は天窓の力を借りる方法も。高い位置にある窓は部屋に光がたくさん入り、天然暖房で部屋が暖かくなる(LIXIL)


2003年より前の住宅は換気設備のチェックも忘れずに

このように家の断熱・気密性能を上げるリフォームをすれば、寒い冬でも暖かく過ごせます。しかしそれだけでは問題が起きてしまうことがあります。

最近の住宅は断熱・気密性能が上がったため、シックハウス対策として、新築では機械換気設備、いわゆる24時間換気システムの設置が2003年より義務化されています。

しかしそれ以前の家では、このような換気設備が取り付けられていないことが多く、断熱・気密性能を上げるリフォームをするだけでは、部屋は暖かくなっても、空気が汚れてしまいます。

断熱・気密性能を上げるリフォームをしたら、必ず換気設備の見直しを行い、家の中の空気をいつもキレイにしておくよう心がけましょう。断熱と気密と換気は必ずセットにして考えることが大切です。

断熱性能を上げたら換気も一緒に考えて

暖かくするだけじゃダメ!快適に暮らすためには空気もキレイに保つよう工夫を。


我が家が寒いと感じたら、まずは我が家の築年数をチェックして、断熱性能を確認。適切なリフォームで赤ちゃんからお年寄りまで、家族全員が快適に過ごせる冬に暖かく過ごせる住まいを目指しましょう。

カーテンの掛け方や、暖房器具の置き方など、インテリアの工夫でも冬を暖かく過ごすことができます。すぐできる手軽な寒さ対策は下記でご紹介していますので、あわせてご覧下さい。
またマンションの場合も、自分の住戸内だけのリフォームで寒さ対策をすることが可能です。一戸建ては冬に寒い、マンションは暖かいとよく言われますが、実はそうでもありません。

断熱性能が低いマンションの北側の部屋は、冬になると冷え切ってしまい、結露の悩みもあります。マンション暮らしがもっと快適になる、断熱リフォーム事例は下記にご紹介しました。どうぞご覧下さい。
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