- 対面キッチンはリフォームだからこそ陥りやすい失敗がある
- 対面キッチンのメリット1:キッチンにいる時間が楽しくなる
- 対面キッチンのメリット2:子育てがしやすい
- 対面キッチンのメリット3:カウンターと壁で使い勝手をコントロールできる
- 対面キッチンの後悔1:キッチン幅が小さくなり収納が減って片付かない
- 対面キッチンの後悔2:調理スペースは最低45cm無いと使いにくい
- 対面キッチンの後悔3:通路幅が確保できずお尻や腰をぶつけてしまう
- 対面キッチンリフォーム成功のコツ1:アイランド収納で対面式にできる
- 対面キッチンリフォーム成功のコツ2:オープキッチンは臭いなどデメリット対策をする
- 対面キッチンリフォーム成功コツ3:吊戸棚は無いほうが良いという声が多い
- 複数で料理する場合に向くレイアウトは?
対面キッチンはリフォームだからこそ陥りやすい失敗がある
キッチンが対面かどうかで分譲住宅やマンションの売れ行きが変わるほど、対面キッチンは人気のレイアウトです。もちろんリフォームでも大人気で、閉鎖的な壁付けのキッチンを、明るく広々とした対面式にしたいという人は多いことでしょう。
しかし対面キッチンへのレイアウト変更は意外に難しく、リフォームだからこその失敗も見られます。せっかくリフォームしたのに、狭い、使いにくいといった後悔の声を聞くことも少なくありません。
そこで今回は、陥りがちな失敗事例とその理由、対面式のメリットとその良さを活かすために知っておきたい大事なポイント、またオープンキッチンにした時のデメリットをカバーする方法など、リフォーム成功の秘訣をご紹介します。
対面キッチンのメリット1:キッチンにいる時間が楽しくなる
対面キッチンとは、ダイニング側を向いて炊事をするレイアウトのことを言います。壁付けのオープンキッチンや独立式のキッチンの場合は、壁に向かって料理や後片付けを行うため、ダイニングにいる家族と会話をしようにも、声が聞こえてくるのは背中から。なんとなく孤独感があるという人が少なくありません。
その点、対面キッチンなら、ダイニングやリビングにいる家族の顔を見ながらコミュニケーションを取ることができ、何より視界が開けるため解放感があります。このように対面キッチンの大きなメリットの1つは、キッチンにいる時間が楽しくなることにあります。
対面キッチンのメリット2:子育てがしやすい
対面キッチンは特に子育て世代に人気のプランです。炊事をしながらでも、ダイニングやリビングにいる子供の様子を確認したり、宿題を見てあげることができるため、子育てがしやすいというメリットがあります。
ちょうど小さな子どもがいる30代~40代が購入のメイン層となる新築の分譲住宅やマンションのプランでは、多くが対面キッチンを採用しています。
またキッチンへの出入り口を1か所に絞れば、そこにベビーゲートを取り付けておくことで、揚げ物など高温の油を扱う時に、小さな子供たちがキッチンへ入ってこないよう出入りのコントロールがしやすいというメリットもあります。
対面キッチンのメリット3:カウンターと壁で使い勝手をコントロールできる
対面キッチンのメリットは他にもあります。キッチンのカウンター形状や、背面に作る壁の高さを調節することで、オープンキッチンに近付けたり、独立キッチンに近付けたり、暮らし方に合わせて使い勝手をコントロールですることができます。例えば、オープンキッチンのデメリットに、生活感が出やすい手元がダイニングやリビングから丸見えになりやすいことがありますが、対面スタイルなら背面に「サービスカウンター付きの腰壁」を取り付けることで、開放的でありながら手元は隠せる便利なキッチンになります。このようなプランをステップ対面式キッチンと呼びます。
サービスカウンター付きのステップ対面式キッチンなら手元を隠せる(トクラス)
より開放的にしたい場合は、この壁を無くし、キッチンのカウンターをダイニング側にまっすぐ伸ばせば、広々とした空間となり、また反対側から調理の手伝いがしやすくなります。このようなプランをフラット対面式キッチンと呼びます。
キッチンカウンターがダイニング側にまっすぐ伸びたフラット対面式キッチンなら解放感があり、反対側から手伝いがしやすい(LIXIL)
対面キッチンづくりの肝は、このカウンターの形状や背面の壁の高さにこだわるところにあります。雑多な手元を隠したいなら壁を高く、オープンにしたいなら低く、高さは自由自在です。我が家の暮らし方に合わせたリフォームプランを立てましょう。
対面キッチンへの後悔1:キッチン幅が小さくなり収納が減って片付かない
このように新築でもリフォームでも人気の対面キッチンですが、リフォームの場合は注意をしないと、以前より使い勝手が悪くなってしまうことがあります。特に多い後悔の声は、リフォーム前より狭い、キッチンが小さくなったというものです。この失敗は、壁付けのオープンキッチンから対面キッチンにプラン変更した時によく起きます。
失敗の原因は、壁付けオープンキッチンと対面キッチンでは、必要な面積が違うところにあります。対面式は壁付け式より広い面積が必要なのですが、ギリギリの面積でも対面キッチンにリフォームしたいという要望は多く、無理に押し込んだせいで、以前よりキッチンが小さくなったというケースは少なくありません。
キッチンが小さくなれば収納も減ります。例えば対面にするためにキッチン幅を15cm小さくすれば、収納もその分だけ小さくなります。たった15cmと思いがちですが、幅45cmと30cmの引き出しでは使い勝手が異なり、30cmの引き出しと15cmのスライド収納では収納できる物も変わります。
このようにたった15cmであっても、設置できるキャビネットの種類は変わり、収納量にすると大きな差になってしまうこともあるため、片付けがしにくくなったというような後悔をしてしまうことがあるのです。
対面キッチンの後悔2:調理スペースは最低45cm無いと使いにくい
キッチンが小さくなると減るのは収納だけではありません。特に犠牲になりがちなのが調理スペースです。調理スペースとは、料理の下ごしらえをしたり、まな板を使ったり、盛り付けをしたりする場所のことを言い、中心となるのはシンクとコンロの間のカウンター部分です。一般的な国産のシステムキッチンの場合、シンクのサイズは幅60cmか85cm程度、コンロのサイズは幅60cmか75cmで、コンロは壁から15cm離して設置するなどの必要な寸法を追っていくと、残るのが真ん中の調理スペースになり、そこで寸法調整をすることになります。
しかし調理スペースが狭いキッチンは、図面上はキレイに収まっているように見えても、実際の使い勝手は悪く、例えばまな板が置けないのでシンクの上に突っ張り作業台を渡してスペースを確保している、お皿が並べられないので盛り付ける毎にテーブルに運ぶといったような苦労をしているケースもあります。
使いやすいキッチンにするためにはシンクとコンロの間に最低45cm以上、できれば60cmの調理スペースを確保することが必要です。対面キッチンにしたせいで調理がしにくくなったということが無いよう、調理スペースの寸法チェックを忘れずにしておきましょう。
対面キッチンの後悔3:通路幅が確保できずお尻や腰をぶつけてしまう
面積が狭いところに無理に対面キッチンを押し込むと、通路幅が狭くなってしまうことがあります。そのせいで、炊事の時に身体がぶつかって作業がしにくい、移動の際に腰をぶつけて痛い思いをするといったような後悔をしてしまうことがあります。もちろん広ければ広いほど良いというわけではなく、使いやすい適当なサイズであることが大切です。例えばキッチンセットと背面の壁や食器棚との通路幅は、1人で使うキッチンなら85cm程度、2人で使う場合は1m20cm程度を確保しておくと使いやすいキッチンになります。
しかしリフォームの場合は面積の制約が厳しいことが多く、通路幅の確保ができずに、引き出し式収納を開けようとしてしゃがんだら後ろの収納にお尻をぶつけてしまった、すれ違う時に体がぶつかってしまったというようなことが起きてしまうことがあるのです。
キッチンからダイニングに通じる通路幅に注意。狭いと配膳する時に身体をぶつけてしまう危険がある(パナソニック)
注意をしたいのが、キッチンとダイニングの間をつなぐ通路幅です。これまで壁に向けて設置していたキッチンを180度回転させてダイニングに対面させる場合は、キッチンからダイニングへ抜ける通路を確保する必要があります。
この通路は熱い汁物を持って移動することもあるため、体をぶつけることが無いよう余裕を持った寸法で計画することが必要です。75cm幅でプランすることも多いのですが、できれば90cm幅を確保し、カウンターなどの出っ張りがないよう気をつけましょう。
実際にあったケースで、75cmの通路幅を確保していたのですが、サービスカウンターが出っ張っていたため、そこに腰をぶつけてしまい、持っていた料理を落としてしまったケースがありますので注意しましょう。
対面キッチン成功のコツ1:アイランド収納で対面式にできる
このように対面キッチンへリフォームをする際には、面積や間取りに細かい注意が必要です。面積が足りない時や、使いやすいレイアウトにできない場合は、対面キッチンにすることばかりにこだわらず、アイランド型の収納カウンターやワゴンを使って対面風の演出をするなど、本当に使いやすいキッチンリフォームを考えましょう。壁付けオープンキッチン+アイランドタイプの収納カウンターで対面風のレイアウトにできる(TOTO)
最近また壁付けオープンキッチンの人気が盛り返しています。というのもキッチンデザインと収納が進化し、見えてもおしゃれで片付けがしやすく、いつもキッチンを美しく維持しやすくなったからです。
キッチンデザインと収納が進化したので、壁付けオープンキッチンでも美しさを維持しやすくなっている(パナソニック)
壁付けオープンキッチンのデメリットを克服してメリットを生かす、さらに素敵にするリフォーム技を下記で詳しくご紹介していますので、ご覧になってみて下さい。
対面キッチン成功のコツ2:オープンキッチンは煙や臭いなどのデメリット対策をする
キッチンはどんどんオープンになっています。対面キッチンでも人気になっているのは吊戸棚が無く、フラット対面式のより開放的なスタイルです。そうなると気になるのが、調理の際の煙や臭い、そして水音です。オープンなスタイルの対面キッチンにリフォームする場合は、これらのデメリットを理解し、しっかり対策しておくことが大切です。
揚げ物や炒め物の調理の際の煙には油が混じっています。その煙がダイニングやリビングに流れてしまえば、家の中にニオイが残り、壁や照明器具がベタベタするようになります。
油煙と臭いの対策には、排気能力が高い換気扇を選ぶ、排気がスムーズに行えるよう吸気口を確保する、煙をカットしてくれるグリルを選ぶなどがあります。コンロの周辺を壁で覆うのも効果があり、油料理の際の油はね対策にも有効です。
水音が静かなサイレントシンク。キッチンとダイニングの距離が近付いたら、シンクの音にも対策をしておきたい(クリナップ)
忘れずに対策しておきたいのが音の問題です。キッチンがオープンになると、意外と気になるのが水音です。シンクで水を出しているとうるさくて会話ができない、テレビが聞こえないということもありますので、水音が響かない静音シンクやシンクマットで対策しておきましょう。
対面キッチン成功のコツ3:吊戸棚は無いほうが良いという声が多い
対面キッチンで悩みの種となりがちなのが吊戸棚です。吊戸棚は狭いキッチン内で収納スペースを確保するためのものですから、他に収納が確保できていれば取り付ける必要はありません。対面キッチンの上部の吊戸棚は、無いほうがスッキリしてよかったという感想が多い。引き出し式や壁面収納でスペースを確保して(TOTO)
最近は吊戸棚が無いリフォームプランが増えています。頭の上の吊戸棚が無くなったらスッキリした、解放感が生まれた、明るくひろびろとして気持ちがいいという声をよく聞きます。またエアコンの効きがよくなるのもメリットのひとつです。
吊戸棚が無いとなんとなく不安という方もいますが、イマドキのシステムキッチンはあらゆるすき間を活用していて、引き出し式になっているため収納効率が高く、昔の観音扉のキッチンに比べて2倍以上の収納力を持つ製品もあります。
食器や家電の収納に関しては、壁面収納を取り付けるリフォームをすれば、置き型の食器棚に比べて効率が各段にアップします。
吊戸棚で悩んだら、下記に吊戸棚を徹底解剖した記事がありますのでご覧になってみて下さい。吊戸棚が不用品置き場になるワケ、意外に大きい吊り戸棚の収納力、弱点を克服して便利な収納にするアイデアをまとめています。
対面キッチンは子育て向き、複数で料理する場合に向くレイアウトは?
対面キッチンは様々な可能性を秘めた使い勝手のいいレイアウトです。ただし夫婦2人で、親子でなど複数で料理をする生活スタイルの場合には、また別のレイアウトが向いています。2人で使いやすいキッチンのレイアウトについては下記でご紹介していますので、ご覧になってみて下さい。【関連記事】