対象のマンションは、JR山手線の駅から徒歩3分という好立地の物件です。好立地を反映してか賃貸需要は旺盛のようです。賃貸需要が旺盛な割には、新築後30年が経過しているため物件価格は安めとなっています。このため、不動産投資の利回としては良好なのですが、建て替えに問題を抱えた物件でした。

現在、建物が建っている土地(黄色い部分)と隣地(赤い部分)とは、分筆された別の土地です。
登記簿によると、各マンションの部屋の所有者は、建物が建っている土地(黄色い部分)に対する持分は持っているものの、隣地(赤い部分)に対する土地の持分は与えられていません。
隣地は、現在、対象マンションの居住者のための賃駐車場として使用されており、外見上は、一体の敷地のようにも見えます。
建物を建築する際には、「建築確認」という行政上の許可が必要となりますが、このマンションの場合、「建築確認」だけは隣地と合わせて一体敷地として取得したようです。
その後、建物が完成してしまうと、隣地に関しては元の所有者の名義のままとし、建物が建っている土地(黄色い部分)のみを分譲の対象としたようです。
~いずれも、現在の資料からの推定したものです~
建て替えられない土地なんです...
建物が建てられている土地を単独で見てみると、形状が間口の狭い「袋地」です。
東京都には、東京都建築安全条例という建築をする際に守らなければならない条例があり、この条例によると「袋地」の土地にはマンションの建築ができない決まりとなっています。
つまり、単独の土地のみでは、マンションの建て替えができないのです。
また、建物を建築する際には、容積率の制限というものがあり、敷地の大きさに対して、建築可能な建物の床面積の上限が決められています。
もともと一体だった敷地を基準に容積率の規定をクリアしている建物のため、単独の土地だけでは、現在と同じ大きさのマンションを建たてることができないのです。
もちろん、建て替えの際に、隣地の所有者の協力が得られ、一体の敷地としてマンションを建て替えれば、問題が解消します。
しかし、隣地の所有者が一体建設に協力するという保証は、どこにもないのです。
販売時に分譲業者がどのような説明をしたのかは不明ですが、現在は、こうした状況にある物件となっています。
悪徳商法と言っても言いすぎではないのですが、世の中にこうした物件は珍しくないのです。(不動産業務に従事している人には、常識的なことですが......)
中古マンションを宅建業者の仲介により入手する際には、「重要事項の説明」という法律上の義務が宅建業者に課せられています。このため、消費者が、説明なしにこうした物件を入手することはあまり考えられません。
しかし、「説明は聞いたものの意味が良く分からなかった」と言うことでは、取り返しがつきません。古いマンションを購入する際には、十分に注意してくださいね。
[関連CloseUp!]
大学生が希望する賃貸間取りは?定期借家は普及しているのか!