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不動産価格を導く方法 DCF法

収益還元法において、主として用いられる2つの手法のうち、「直接還元法」については前回お話を終えましたので、今回は、「DCF法」の具体的な内容についてお伝えします。

佐藤 益弘

執筆者:佐藤 益弘

不動産にまつわるお金ガイド

収益還元法において、主として用いられる2つの手法のうち、「直接還元法」については前回お話を終えましたので、今回は、「DCF法」の具体的な内容についての説明に入りたいと思います。

○DCF法は・・・

不動産鑑定評価の拠り所となる統一的基準である「不動産鑑定評価基準」の平成15年の改正により、改正前は直接還元法のみだった収益還元法の手法が、直接還元法とDCF法の二本立てとなったことからわかるように、ここ数年の不動産ファンドの進展により多用されるようになった新手法です。

また、DCF法は、直接還元法の短所である、初年度の年間の純収益が次年度以降も永遠に得られるということを前提とし、不動産を投資対象として一定期間(有期)保有することにより収益をあげることは想定していないという点を補った、より精密度を高めた手法と言われています。

具体的に説明すると、DCF法(Discounted Cash Flow法)は、不動産の保有期間(数年間)に得られる純収益を現在価値に置き直したものとその期間終了時の不動産の売却によって得られると予想される価格(売却予測価格)を現在価値に置き直したものを合計することにより、不動産の収益価格を求める手法です。
では、DCF法による収益価格の求め方を手順に沿って説明していきましょう。

1.1年ごとの純収益を精密に査定する

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1年ごとの純収益を精密に査定します
まず、投資対象となる不動産の保有期間における、1年ごとの純収益を査定していきます。この現金による受け取りと支払いがどの程度行われているか純収益を査定していく作業は、“キャッシュフロー分析”とも呼ばれています。

直接還元法と違い、1年ごとの査定を行うことにより、経過年数に合わせて発生が予想される諸費用(例えば、大規模修繕費用など)が査定に盛り込まれ、純収益の増減を正確に把握することができます。

2.保有期間中の純収益の総額を割り引き計算する

この割り引き計算とは、将来生み出すであろうと期待される純収益を現在価値に置き直す作業のことを言います。

例えば、車を10万円で毎月貸していたとすると、1ヶ月後に入ってくるお金も、1年後に入ってくるお金も10万円となり同額となります。

でも同じ10万円なら、今もらった方がいいに決まっています。なぜなら、銀行に預けておけば1年後には10万円+利息分になるからです。(昨今の金利では雀の涙ですが・・・。)

このことから、将来もらう10万円を今(現在)の価値におき直しても「10万円+利息」でしかありません。この「10万円+利息」が、現在価値に割り引く作業によって算出される価格となるのです。
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