法務省は、信託法をおよそ80年ぶりに前面改正する方針を固め2005年度中に改正法案の国会提出を目指すことを明らかにしました。
信託法の歴史は古く、大正12年1月1日に施行された法律で不動産や金銭の管理、処分などを第三者に委ねる制度(信託制度)においての基本ルールとして長年活用されてきました。近年において、企業の資産管理や資金調達、個人遺産管理など、更なる活用範囲の広がりに対応できる様、古い法律を現状にあわせて全面的に見直すこととなりました。
信託法はいったいどのような法律なのでしょうか? |
| 信託法はいったいどのような法律なのでしょうか? |
信託法は、資産運用の一手段として預貯金よりも(リスクをともなうものの)高金利との理由から運用需要が高まりつつある「不動産投資信託」や「公社債投資信託」などの生活に身近なものになり始めた“信託”についての最も基本的な法律です。まずは“信託”についての歴史を覗いてみましょう。
“信託”の発祥は中世のイギリスといわれ、古くからイギリス国民は信仰心が厚く、死後自分の土地を教会に寄進する風習がありました。教会はこれにより富強となり独立権力を持つことになりましたが、封建領主は力が及ぶことが出来ない教会からは地代や税金が取れなくなることを問題としてこれを禁止する法律を制定しました。
そして、人々は、この法律を回避するために、土地を直接教会へ寄進せずに信頼できる人に譲渡し、譲渡を受けた人がその土地からあがる収益を教会に寄進する方法をとりました。
(信頼できる人に)信じて(土地などの財産を)託す・・・『信託制度』の始まりでした。
イギリスで生まれた信託制度は、その後アメリカへと移り弁護士などの信頼力のある人が遺言や遺産の管理を行なう際に利用され始め、その後、信託の引き受けを会社組織により行なうものが現われ1890年には“信託”の文字が初めて入った“ニューヨーク生命保険信託会社”が設立されました。
その後、貯蓄手段としての信託が行なわれるようになり信託会社は金融機関としての性格を強めるようになり、現在の営業としての信託は銀行(の信託部)が行なう流れとなりました。
そして日本においては、イギリスからアメリカと渡った『信託制度』が日本では野放し状態にあり問題を多く抱えていました。そこで日本においての信託の概念を明確にし、信託制度の健全な発展を図ることを目的とし、大正12年に“投信法が”施行されました。
信託法では、信託の定義や委託者、受託者、受益者の権利や義務などについて定め、投信についての最も基本的な法律として日本の信託制度の確立と発展の基礎となってきました。
そして、今では信託制度は、財産管理の一制度としてとても重要な制度といえるまでになりました。大正→昭和→平成と信託の社会における役割が変化しつつある中で経過年数とともに投信法の抱える問題も年を重ねてきました。施行からおよそ80年、ようやく見直し案が具体化されつつあるようです。