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赤ちゃんは高所恐怖症ではない! 怖がるポイントが違う!?

赤ちゃんは「高い所」をどう感じているのか? アメリカの大学のレポートをお届けします。育児をしていると、大人と子どもは視点が違うと感じることは多いですよね。子ども達も成長とともに、大人の視点へと変化していきますが、今の視点を大事にしてあげましょう。

佐藤 めぐみ

執筆者:佐藤 めぐみ

子育てガイド

<目次>

赤ちゃんは「高い所」をどう感じる?赤ちゃんと大人の怖がるポイント

赤ちゃんは「高い所」をどう感じる?

赤ちゃんは感じ方が違う!

公園で、お子さんに、
「そんな高いところに登らないのよ!」
「危ないから降りていらっしゃい!」
と注意したことありませんか?

もちろんその子によって違いはありますが、往々にして、赤ちゃんは高いところが好きですよね。親は冷や冷や、でも当の本人はケロリ、そんなシーンもあるのではないでしょうか。

実は、赤ちゃんにとって、「高さ」は恐怖感を引き起こすものではないのです!

アメリカの大学が行った実験で、赤ちゃんと大人では、高い場所で違うものに恐怖を感じることが分かりました。大人が高所で感じる恐怖は、間違いなく、「どれくらい高いか?」ですよね。でも、赤ちゃんは違ったのです。小さな子が高さ以上に怖いと感じるものとは? その実験で分かった結果をご紹介していきましょう。

その実験には、生後11~14ヶ月の赤ちゃんが参加。まずはじめに、37人の14ヶ月の赤ちゃんに、橋を歩いて渡ってもらいました。その橋は、途中、広くなったり、狭くなったりと幅が変化しており、広いところと狭いところの幅差は、最大76cmありました。そして、高さは2種類。高い橋は71cm(赤ちゃんの身長くらい)、低い橋は17cm(赤ちゃんの膝の高さくらい)でした。

橋を歩き始めた赤ちゃん達は、幅が狭くなってくると用心深くゆっくりと進み、さらに狭くなると、進むのを拒んでしまいました。これは、橋の高さに関わらず見られた傾向。幅が広ければ、高い橋でもスイスイ進めるのに、狭くなると、低い橋でさえもストップしてしまったのです。つまり、赤ちゃんが抵抗を感じたのは、幅の狭さであって、高さではありませんでした。

次に、まだハイハイをしている11ヶ月の赤ちゃん達に同じ実験を行いました。そこでも結果は同じでした。

赤ちゃんが怖がるものとは、幅。落ちるかもしれないのが怖いからです。落ちるのはイヤ、でも高さは怖くない、というわけです。


*出典:Developmental Science 「No bridge too high: Infants decide whether to cross based on the probability of fallig not the severity of the potential fall.」より
 

赤ちゃんの見解もごもっとも!

大人ならドキドキのこんな吊り橋も、赤ちゃんならへっちゃらです。

大人ならドキドキのこんな吊り橋も、赤ちゃんならへっちゃらです。

深い渓谷に架かる吊り橋を目の前にしたら、大人なら、きっと皆、足がすくみますね。それはどうしてでしょう?高いからです。でも平均台だったら、幅が片足分しかなくてもスイスイ渡れます。なぜなら、低いからです。
 
  • 「高い=怖い、危ない」と感じるのが大人
  • 「狭い=怖い、危ない」と感じるのが赤ちゃん
なのですね。

大人の見解、赤ちゃんの見解、純粋に下に落ちる確率を考えれば、赤ちゃんの判断の方が正論です。高いからといって落ちるわけではありません。足元が狭いから落ちるのです。

大人は、長い人生で経験を積み、実際に落ちるリスク以上に、落ちたときのダメージの大きさを心配してしまいがちですが、赤ちゃんの見解もごもっとも! 人間が持つ本能の賢さに改めて感心してしまう結果です。
 

行動の理由が分かると、見え方が違ってくる

だからと言って、公園で高いところに登っていってしまう我が子を傍観してはいられませんが、少しだけ、見方が変わってくるのではないでしょうか?

我が子が歩んでいる足場に視線を向けたら、ちゃんと落ちるリスクを避けて遊んでいる臨機応変さに気づけるかもしれません。どこまでならOKで、どこからが危険なのかを本能的に判断している賢い姿を見られるかもしれません。

この実験で分かった「高所」のほかにも、大人と子どもで感じ方が違うものはたくさんあります。大人の見方だけだと理解不能な行動も、子どもの感じ方、見方を分かってあげることで、我が子の行動はグンと理解しやすくなるはずです。

見方を広げてあげる、感じ方を理解してあげる。これは、子どもに「ママは分かっているわ!」を伝えられます。そして、ママ自身も寛大になれたり、叱らずに見守ってあげられたり、という嬉しいおまけもついてくるかもしれません!

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。

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