不動産売買の法律・制度/キーワードでみる土地・住宅選びのポイント

私道

私道に面した敷地では、静かな住環境を得やすい反面で、その維持、管理、整備などをめぐって面倒が増える場合もあります。利用にあたり特に支障のない私道も多くありますが、何らかの問題を抱えていることもあるため、私道を避けたいという住宅購入者も少なくありません。そのような私道についての注意点などを考えてみましょう。

執筆者:平野 雅之


物件の現地見学に行ったとき、あらかじめ不動産業者から渡された資料などで、敷地の前面が私道か公道かが分かる場合も多いでしょうが、周辺の道路がどうなっているのか、なかなか判断が難しいこともあります。まずは私道の見分け方を確認しておきましょう。

私道

私道の表示があればすぐに分かるが…


ときどき、私道であることが明示されている場合があります。このようなときは一目瞭然です。

私道

道路の真ん中にポールなどが立てられている私道もある


道路の真ん中にポールが立てられたり、コーンが置かれたりして、車が進入できないようになっている場合も、そのほとんどが私道です。ただし、公道でも先が細くなっていて進入すると引き返せないなど、特別な事情があるときには通行止めの柵などが設けられている場合もあります。

私道

道路の真ん中に植木鉢などが置かれた私道も


道路の真ん中に柵だけでなく植木鉢などが置かれているようなこともあります。上の写真の場合は、一体の私道の中で植木鉢の位置を境に手前と向こう側で路面の整備状況も異なるため、私道の所有者が違うことも推定できます。

このような私道では、敷地の購入者自身も車を使えないばかりでなく、建築時に工事車両も入れなければコストアップの要因にもなります。住民同士でどのような取り決めがされているのか、事前にしっかりと確認することが必要です。

私道

公道との交差部に段差があれば私道の可能性が高い


車の通り抜けができる道路の場合には、公道との交差部の様子を見ることで判断できることがあります。段差があったり、側溝や縁石で仕切られていれば、私道の可能性が高いでしょう。路面の整備状況が明らかに異なる場合も同様です。

私道

公道との交差部に「すみ切り」があるときも私道の場合が多い


公道との交差部に「すみ切り」がある場合も、位置指定道路、開発道路など、法律の規定に基づいて造られた私道のことが多いでしょう。ただし、過去に区画整理が行なわれた土地の公道部分、あるいは狭い公道同士が交わる場所では、他の規定に基づいてすみ切りが設けられている場合もあります。すみ切りの存在だけでは私道だと判断できないため、他の要素と組み合わせて考えるようにします。

私道

私道ではマンホールの蓋も違う


下水道が整備された地域では、マンホールの蓋にも注目してください。市章などを使った自治体独自のデザインの蓋が使われるのは、一般的に公道です。何の印もない蓋であれば、そこが私道であることが多いでしょう。ただし、私道でも自治体の助成などを受けて下水道が整備され、一部に自治体の蓋が使われている場合もあります。その反対に、公道面に古い無印の蓋が残っている場合もあります。道路全体を見渡したときに、無印のマンホールの蓋が多ければ私道である可能性が高い、といった感じです。

私道

私道では路面の整備状況にも注意


私道では路面の整備状況にも注意しなければなりません。整備や維持、管理をするのは私道の所有者、共有者など住民自身です。費用負担の問題も絡むため、傷んだ路面が長年にわたって放置されたままになってしまうことも少なくありません。側溝などが十分に整備されていない場合もあるでしょう。

私道

舗装されていない私道もある

私道

未舗装の場合は雨の日のチェックもしたい


大都市の住宅地でも未舗装の私道がいくつかみられます。雨が降ったときにも歩きやすいように、真ん中にブロックを敷き詰めている場合もありますが、できれば雨の日に路面の様子を確認しておきたいものです。

私道

水溜りが長く残る未舗装の私道も


雨が降った後、2~3日は水溜りが残るような私道もあります。路面の一部だけならまだしも、全体が水溜りになるようなら革靴で歩くことも躊躇してしまうでしょう。

私道

ほとんど整備されていない私道もある


さらに、ほとんど整備されていないような私道もあります。雨が降ったときの歩行の問題だけでなく、衛生上の問題も生じかねません。

私道

夏場には草に覆われてしまうような私道も…


ちなみに、このような私道の整備状況と、それが建築基準法上の道路か否か(建築確認を受けられるかどうか)はまったく別の問題です。

ここでは問題のある私道の例を中心に見てきましたが、全体的には何ら問題のない私道のほうが多いことでしょう。物件概要などを見て「私道ならダメ」と即断せずに、しっかりと現地を確認することが大切です。


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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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