怪我・外傷/骨折(疲労骨折・剥離骨折・圧迫骨折)

鎖骨骨折の症状・診断・治療

鎖骨骨折は上肢を伸ばして転倒したり、肩を下にして転倒したり、また直接鎖骨に外力が働き受傷します。事故、運動などで発生します。診断はX線により容易に診断がつきます。治療としては、保存治療と手術治療の2つがあります。時間をかけて保存治療という選択をすることの多い骨折です。時として手術療法を選択します。

井上 義治

執筆者:井上 義治

形成外科医 / 皮膚・爪・髪の病気ガイド

鎖骨骨折とは

鎖骨は体幹にあり上肢の付け根の部分に位置する骨です。
鎖骨

                    鎖骨は胸骨、肩甲骨と関節を作っています。

上肢を伸ばして転倒したり、肩を下にして転倒したり、また直接鎖骨に外力が働き受傷します。事故、運動などで発生します。

鎖骨骨折の年齢、性差

運動、事故などに伴い発生する骨折ですので、あらゆる年齢層に発生します。しかしながら10歳までに発生することの多い、小児によくみられる骨折です。男性に多い骨折ですが、もちろん女性にも発生します。

鎖骨骨折の症状

骨折した部位の腫脹と疼痛です。通常初期から激痛となることが多く、救急車で病院に搬送されることも多いです。

鎖骨骨折の診断

●単純X線
単純X線写真は放射線被爆量も少なく、費用もわずか。その場で撮影も終了し当日説明をうけられるので、整形外科では必ず施行します。
鎖骨

     鎖骨単純X線写真。鎖骨中央部に骨折が認められます。



●CT
単純X線で診断がつかない場合でもCTであれば診断可能です。
CT

       鎖骨3次元CT像。断層写真から計算で3次元画像を作成できます。



鎖骨骨折の治療法

鎖骨骨折の治療として保存療法、手術療法の2つの治療法があります。

●保存治療
ほとんどの鎖骨骨折は手術なしで治療が可能です。鎖骨固定バンドなどで患部の安定性を確保して、時間をかけて骨折した部位の骨癒合を計ります。長期間の固定が必要となりますので、運動、仕事の制限があります。
鎖骨

     鎖骨固定用バンド。鎖骨を固定することで疼痛も軽減します。



■鎮痛薬
ボルタレン、ロキソニンなど非ステロイド消炎鎮痛薬(NSAIDと省略されます)を用います。

・ボルタレン…1錠15.3円で1日3回食後に服用。副作用は胃部不快感、浮腫、発疹、ショック、消化管潰瘍、再生不良性貧血、皮膚粘膜眼症候群、急性腎不全、ネフローゼ、重症喘息発作(アスピリン喘息)、間質性肺炎、うっ血性心不全、心筋梗塞、無菌性髄膜炎、肝障害、ライ症候群など重症な脳障害、横紋筋融解症、脳血管障害胃炎。

・ロキソニン…1錠22.3円で1日3回食後に服用。副作用はボルタレンと同様。
どちらの薬でも胃潰瘍を合併することがありますので、胃薬、抗潰瘍薬などと一緒に処方されます。


●手術治療
骨片が多数あるもの、鎖骨の短縮が強い場合、皮膚に損傷が及ぶ開放骨折の場合、腕神経損傷や血管損傷が疑われる場合、遠位端骨折、保存治療で癒合しない骨折などが手術の対象となります。
鎖骨。

       遠位の鎖骨骨折。骨癒合が難しい骨折です。



手術。

       手術で鎖骨を金属のワイヤーと棒で固定しました。




■抜釘術
術後に骨折が治癒した後に固定具を除去します。抜釘術(ばっていじゅつ)と呼ばれます。
固定具。

  術後に固定具を除去します。



鎖骨骨折の予後

保存療法であっても、手術療法であっても、早期に治療をうければ、鎖骨骨折の予後は良好です。ですので、早期に整形外科専門医を受診して下さい。
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