子育て/子育てに役立つ最新心理学

幼稚園の登園時に泣く子どもの特徴と心理学的対処法

幼稚園、保育園の登園時に泣く子どもの特徴と心理学的対処法をお話しします。登園時に泣く子どもを見送るのは本当にせつないですよね。子どもの涙を減らすためにママができる工夫をしてあげたいですね。子育て心理学から見たママができるおすすめのアプローチ・対処法をご紹介します。

佐藤 めぐみ

執筆者:佐藤 めぐみ

子育てガイド

 

幼稚園の登園時に泣く子の特徴……

幼稚園の登園時に子供が泣くか泣かないか心配

幼稚園の登園時に子供が泣くか泣かないか心配


新学年がはじまって3週間。新幼稚園生のママにとって、我が子が新しい環境に踏み込んでいく姿は、嬉しくもあり、ドキドキでもあり、不安でもあり……。日々、一喜一憂しながら過ごしている方も多いのではないでしょうか。

この時期のママが抱えやすいのが、「登園時、ママとの別れ際に号泣してしまうんです……。」という悩み。

「周りの子がスッと教室に入っていくのに、うちの子は泣いてしまう」そんな状況に、ママも落ち込んでしまいがちですが、新しい環境にスッと入っていけるかどうかは、その子の生まれ持った性分が大きく関わっています。
  • 新しい環境が好きな子にとっては「ワクワクのイベント」
  • 引っ込み思案の子にとっては「ビクビクのイベント」
「入園」という同じ出来事が全く正反対に感じられるのです。引っ込み思案の子は「教室に入っていきたくても入っていけない」のですね。その気持ちをしっかり受け止め、それをカバーする工夫をママの方でしてあげましょう。

ここでは、子育て心理学から見たママができるおすすめアプローチをご紹介します。まず、以前、私が実際に見た事例をお読みになってください。(フランスの幼稚園での出来事です)

■ケーススタディ:Cちゃんの場合
ある朝、子どもを幼稚園まで、送りに行ったときのこと。同じクラスのCちゃんが、ママとの別れ際に泣いていました。おとなしいけれど、静々と自分の世界を持っている女の子なのですが、少し前から、朝の見送り時に号泣する日々が続いていました。ママが別れ際に、色々な言葉で勇気づけしていたり、時に、「しっかりしなさい!」と声を荒げていることもありました。これは、新学期に起こったことではなく、学期途中に起こった変化。

それまで普通に通っていたCちゃんの突然の変わりように、ママはどう対処すべきか、色々模索しているようでした。あれこれやってみたけれど効果がない、そんな折、朝の見送り時に、ママだけでなく、パパもCちゃんの妹も一緒に来るようになりました。家族総出で、Cちゃんを見送りです。その後間もなく、Cちゃんの号泣はなくなり、朝からスムーズに通えるようになりました。

一見、家族総出で見送りに行ったら、余計、行きたくなくなるのでは? と思うかもしれません。短期的に見れば、そういうリアクションも考えられます。「パパもママも妹も一緒にいるのに、どうして私だけ?」と。ただ、長期的に見ると、このアプローチは正解なのです。
 

子どもが求める絆は日々変化している

パパとママは子どもの「もっと必要!」のサインを察知してあげよう

パパとママは子どもの「もっと必要!」のサインを察知してあげよう


親子の絆に関する数々の研究で、アタッチメントがしっかりしていると、親から離れている時も、安心して遊ぶ傾向があることが分かっています。アタッチメントとは、子どもがある特定の人に示す愛着のこと。親子の心と心の絆です。(アタッチメントに関してはこちらの記事をご参照ください)

アタッチメントは、これで100%ということがありません。あえて言うなら、子どもが満足するレベルが100%。子どもは、日々成長しているので、その必要度も日々変化していきます。昨日までは、そのアタッチメントでよかったものが、何かしらの変化で、今日はもっと必要ということが出てくるのです。

ケーススタディで出てきたCちゃんは、そのとき、「もっと必要!」な成長段階にあったのですね。そんなとき、「何を言っているの、今までOKだったんだから大丈夫よ!」と言うのは、突き放した対応になってしまいます。それよりは、家族の絆を、その時のCちゃんが満足するレベルまで持っていく方が、Cちゃんの心の成長にあった対応というわけです。共稼ぎが多いフランス、Cちゃんのパパ、ママも働いています。でも、朝、忙しいからといって突き放さずに、10分早起きして家族総出でお見送り。見ていて気持ちのいい解決策でした。
 

幼稚園の登園時に子供が泣くのを解消するためにできる3つの工夫

■ママの愛で貯金を作る
春は子どもが新しいことをスタートする時期。それは、同時に、子どもがいつも以上にアタッチメントを必要とする時期でもあります。これは、引っ込み思案の子に限らず、どんな子にも当てはまります。引っ込み思案の子は、欲するレベルが高いだけなのです。なぜなら、「教室に入る」ことで、ものすごくエネルギーを使うからです。使ってしまったエネルギーをどこかチャージしなくてはいけません。そのエネルギーをくれるのがママ。先ほど、引っ込み思案をカバーする工夫と書きましたが、アタッチメントの強化はそれに当たります。この時期は、ママとの絆を意識的に強化して、子どもの心に愛の貯金をしてしまうのです。その貯金が、外に一歩踏み出す勇気へとつながっていきます。
 

■担任の先生へのプレゼントを一緒に作り、翌朝に渡す
担任の先生に早くアタッチメントできると、子どもの園生活は豊かなものになります。とは言え、朝のママとの別れ際は子どもにとって名残惜しいもの。その橋渡しとなってくれるのが、先生へのプレゼント。折り紙やお絵かきなどで、ママと一緒に先生へのプレゼントを作り、翌朝、そのプレゼントを先生に直接渡すことで、気持ちの転換が園へと向きやすくなります。

■ママを感じられるお守りを持たせる
「いってらっしゃい」のときに、ズボンやスカートのポケットに小さなお守りを1つ。お守りといっても、それは小さな指人形であったり、ガーゼのハンカチであったり、ママからの絵手紙であったり……。その子が大切に思っているもの、ママと一緒に選んだもの、ママが作ったもの、など、あるとホッとするというものがおすすめです。落としてしまいそうなら、紐で結んだり、キーホルダーにしたりと工夫をしてみてください。普段はママがキープすると、「園にいるときだけ」の特別感が持続しやすくなります。

最後に、アタッチメントの強化は様々な形でできますが、Cちゃんの家族のように、一緒にいられる時間は、とことん一緒に過ごすというのはとてもいいアイデアです。「魔の2歳児の対処法は?子供のイヤイヤ期を乗り切る心がけ」にも書きましたが、子育てで困ったら、まずは絆の強化。心と心のつながりが、多くの問題を解決してくれるのです。ママとの別れ際に泣いてしまったら、一緒に過ごす時間をいつも以上に大切にしてみてください。

アタッチメントに関しては、 にくわしく書いてありますので、ぜひご参照ください。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。

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