保健師/保健師の就職事情

保健師の就職事情

保健師の就職事情は楽観論で語れません。就職先が限られているうえ、新規採用が少ない現実があるからです。小さな自治体では数年に一度しかチャンスがないことも珍しくありません。どうしてもこの地元に近い場所でと考える人のなかには、学校卒業時に就職が決まらず、看護師として働きながらチャンスを待つ人たちもいます。

西内 義雄

執筆者:西内 義雄

保健師ガイド

保健師の数

忙しい学生生活を乗り切り、年に一度の国家試験をパスしてやっと手にする保健師の資格。あとはこれを生かすことができれば万歳! となるわけですが、保健師の就職事情は決して良いものではありません。

厚生労働省が発表した平成22年衛生行政報告例(就業医療関係者)結果の概況によると、平成22年10月末時点の保健師の数は約4万5000人。毎年わずかずつ増加してはいるものの、よく比較される看護師の数(約95万2000人)に比べてると圧倒的に少ないといえます。また、保健師の男女別内訳では女性が98.7%と圧倒的な比率で、女性の職場という認識が多いのも頷けます。
*参考までに看護師の女性の比率は94.4%。

保健師の就職先

就職先は市町村が多い

就職先は市町村が多い

次に保健師の就職先も見てみましょう。先ほどの厚生労働省のデータによると、最も多いのが市町村で約56.6%。次いで保健所(15.8%)となり、全体の70%以上を占めています。つまり、公務員の比率がとても高いわけで、保健師として働くためには、保健師国家試験だけでなく、公務員試験を乗り越える必要があることがわかります。

大学なら3つ(看護師、保健師、公務員試験)、保健師学校や専攻科なら2つ(保健師、公務員試験)の受験が控えているわけですね。これだけでも、学生生活がとても忙しくなることがおわかりでしょう。

民間への就職は公務員試験を受けなくて済むものの、採用人数はかなり少なく、狭き門といわれています。学校を出たての新人よりも、ある程度経験を積んだ保健師を採用したいという企業も多いようです。大きな健康保険組合でない限り、定期的な採用も望めないため、産業の少ない地方の就職事情は厳しいと思っておきましょう。

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