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東横線、副都心線乗入れで何が変わる?

2013年3月16日、東急東横線の代官山~渋谷間が地下化、渋谷駅が地下で東京メトロ副都心線と相互乗り入れを開始、横浜方面から都心を経て埼玉方面が結ばれました。それで何が変わるかを見て行きます。

中川 寛子

執筆者:中川 寛子

住みやすい街選び(首都圏)ガイド

交通の利便性がアップ
神奈川、都心、埼玉方面の最長88.6キロが直結

渋谷駅

渋谷駅が地下化される直前はその姿を記録に残そうとカメラ片手の多くの人が押し寄せた渋谷駅。いかにも終着駅らしい風情のある駅がひとつ消えた(クリックで拡大)

2013年3月16日、東急東横線の代官山~渋谷間の1.4キロと東急渋谷駅が地下化、東京メトロ副都心線と相互乗り入れが始まりました。これによってみなとみらい線、東急東横線、東京メトロ副都心線、東武東上線、西武有楽町線・西武池袋線が1本でつながることになります。駅で言うとみなとみらい線の元町・中華街駅から西武池袋線の飯能駅、東武東上線の森林公園駅まで。沿線にある観光地、商業施設はこれまでより、広い範囲から集客が見込めることになりますし、住宅選びも乗換え無しで行ける範囲が広がったことになります。

 

相鉄線

相鉄線沿線はまだまだ開発されていないエリアも多く、住宅供給適地も少なくない(クリックで拡大)

さらに東急東横線は2019年4月に相鉄線との相互乗入れをする予定。これはJR東海道貨物線横浜羽沢駅付近と東急東横線日吉駅間に連絡線(約10.0km)を新設、相鉄線西谷駅とJR東海道貨物線横浜羽沢駅付近間に連絡線(約2.7km)を新設することで、相鉄線と東急線が相互直通運転を行うというもの。横浜市西部から神奈川県中央部と東京都心部が直結されることになり、そこからさらに埼玉方面へと考えると、壮大な新動脈が作られることになるわけです。

 

東横線とJRの高架

東横線が地下化されたことでJRとの交差風景もなくなった。周辺住民は静かになったという(クリックで拡大)

こうした延伸、相互乗り入れによって1本の路線で行ける範囲は広がり、便利にはなりますが、一方で通勤時間帯の混雑状況の悪化、事故が遭った時に不通となる区間の拡大なども考えられます。関係する鉄道会社にはこうした不具合が発生しないよう、一段の注意、努力を期待したいところです。個人的には東急東横線の混雑がなんとかならんか、です。

 

横浜中華街

これで埼玉方面からの来訪が増えるだろうと期待する中華街。横浜の観光スポットはどこも皆同じ気持ちだろう(クリックで拡大)

ちなみに横浜から新宿、池袋などへは湘南新宿ラインも利用でき、見事にバッティングする路線ということになりますが、料金的には東横・副都心が有利で池袋~横浜間では170円安く、本数も3倍近く。ただ、時間的には湘南新宿ラインが3分ほど早いそうで、朝の通勤ラッシュ時には12分早く、さらにグリーン車で快適に座って通勤するという手も。時間帯、混雑具合、目的地、懐具合(?)などに合わせて使い分けるのが賢明ということになりそうです。

 

利便性向上に伴い、
住宅事情にも変化が起きる?

日比谷線線路

副都心線への乗り入れに伴い、日比谷線との乗り入れは中目黒までとなり、中目黒より先、菊名までの人たちは行先にもよるが、やや不便になった。写真中央が日比谷線線路(クリックで拡大)

交通の利便性は当然、住宅選びにも大きな影響を与えます。様々なデータから、交通の利便性の高い場所は資産価値を維持しやすいという結果も出ています。であれば、今回の相互乗り入れで影響を受ける場所はどこでしょう。

 

横浜方面、埼玉方面を結ぶハブとなる東急東横線、東京メトロ副都心線の存在意義は非常に高く、この2沿線の価値がこれまで以上に高まるのは自明の理ですが、この2沿線はすでに地価、住宅価格の高いエリア。予算のある方なら、この2沿線に買っておけば間違いはありませんが、なかなか手が届かないのが現実かもしれません。

 

池袋上空

駅周辺から東池袋にかけて開発計画目白押しの池袋。豊島区役所の移転に始まり、玉突き状態に計画が予定されている(クリックで拡大)

そこで目を向けたいのが西武池袋線、東武東上線沿線。まず、注目はこの2路線のターミナル、池袋。この街では区役所移転に伴い、玉突き状態で開発、整備の予定があり、この後が楽しみです。

 

西武池袋線沿線ではここ何年か、石神井公園、大泉学園、ひばりが丘その他、駅周辺の再開発、建て替えなどが行われ続けており、そこに利便性向上が加わるとなると、人気の上昇するエリアも出てきそうです。ちなみに同沿線が通る自治体としては練馬区、西東京市、東久留米市、清瀬市、東村山市から埼玉県所沢市、入間市、飯能市など。都心通勤を考えると所沢市あたりまでが中心になりそうです。

 

川越の街並み

東武東上線最大の観光地、小江戸川越は来訪者獲得のため、イベントを開いて認知度アップを図っている

同様に東武東上線が通る自治体としては板橋区、和光市、朝霞市、新座市、志木市、富士見市、ふじみ野市、川越市、鶴ヶ島市などが挙げられます。全国的にはあまり知られている街がないものの、西武池袋線同様地盤の固い地域を走る沿線だけに、変化の可能性があるかもしれません。個人的には複数路線の利用できる朝霞市、文教地区のイメージのある志木市が有利なように思います。

 

また、今後、相鉄線と東横線の乗り入れが完成すると、横浜市保土ヶ谷区、旭区、瀬谷区から海老名市にかけての相鉄線沿線エリアの利便性は大いに向上します。

 

渋谷駅地下化をきっかけに
渋谷全体が大きく変貌

銀座線

地上3階、東急東横店東館から発車する銀座線だが、この後、ヒカリエ方向に移動の予定(クリックで拡大)

渋谷駅周辺も大きく変わります。まず、鉄道関係でいえば、銀座線が現在よりも西側、ヒカリエ側に移動、島式のホームになります。これによってJR渋谷駅にスペースが生まれ、そこに埼京線ホームが移動します。渋谷駅と言いながら、遠く恵比寿方向に寄っていた埼京線が同じ駅構内に収まり、便利になるのです。

 

東急東横店東館

東急東横店は順次建替えの予定。モダンな外観の建物が消え、タワーに変わる(クリックで拡大)

さらに駅周辺の建物も変わります。すでに東急東横線渋谷駅1階の東急のれん街は2013年4月にマークシティ地下に移動することが決まっており、その上にある東急東横店も東館(ヒカリエ側)から順次建替えされます。最終的には今後14年をかけて地上46階建てを筆頭とする高層ビル群に替わる予定で、渋谷駅を挟んで2棟、国道246号を挟んだ駅の向かい側に2棟、東口側のバスターミナルに隣接したエリアに1棟と、現時点では5棟が計画されています。

 

渋谷川と東横線

現在はビルの谷間にあり、人が憩うような空間ではない渋谷川沿いを親水空間にという計画もあるそうだ(クリックで拡大)

同時に東西それぞれの交通広場や歩行者デッキの整備、国道246号の拡幅や渋谷川の整備なども計画されています。計画の全貌については渋谷区の渋谷駅中心地区基盤整備方針に詳しく紹介されていますので、興味のある方は参考にしてください。

 

池袋、新宿、渋谷、横浜などの駅間の
競争も激化する

渋谷駅を上から見たところ

今後大きく変わる予定の渋谷駅。現在東急東横店がある部分に駅を挟んで2棟、首都高、246号を挟んで2棟、そして駅の向こうに1棟の高層ビルが建つ予定だが、今の状態で見てもなかなか想像ができない(クリックで拡大)

もうひとつ、池袋、新宿、渋谷、横浜などの主要駅の駅力の競争も激化していくと思われます。これは簡単に言うと、これまで乗換えが不要だからと池袋で買い物していた西武池袋線沿線の住民が今後、どこで買い物をするようになるかということ。それによって各駅の集客力が変わり、人の流れが変わることになるかもしれないのです。もちろん、話は商業施設のみに限ったことではありません。集客力の強いターミナル駅を始発とする沿線はそれに影響を受けることは必至ですから、駅の栄枯盛衰は我が家の資産価値にも関わる話。関心を持って見て行きたいと思います。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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