フィンランド/フィンランド沿岸地域と群島

西の古都トゥルクのおすすめ観光スポット10選

スウェーデン統治時代の首都であり、ハンザ同盟の主要都市としてヘルシンキよりも長く歴史を刻んできたフィンランド南西の街、トゥルク。幾度も戦火にのまれ街並みは一変しましたが、スウェーデンの影響を色濃く受けた大聖堂や古城などが、今も中世の面影を残しています。また郊外には、息を呑むほど美しい近現代教会が点在。新旧の魅力あふれる、トゥルクおすすめの観光スポット10選をご紹介します。

こばやし あやな

執筆者:こばやし あやな

フィンランドガイド

ハンザ同盟都市として栄えた、長い歴史文化の香る古都トゥルク

トゥルク街並み

街の中心を流れるアウラ川は、冬には凍結して雪を被り、夏と違った表情を見せる。国教ルーテル教会の総本山でもあるトゥルク大聖堂は、古都の長い歴史を物語る街のシンボル

ヘルシンキから列車で2時間、フィンランド南西部のバルト海に面する港町トゥルク。1200年代にスウェーデンのフィンランド統治の拠点となってから、1812年にロシアがヘルシンキに遷都するまでの実に600年ものあいだ、フィンランド最古の街であり首都として、長い歴史を積み重ねてきた街です。

アウラ川

アウラ川の上流域は、街の賑わいから外れた静かな散歩道となっている

その中心部には、13世紀にローマ教皇がトゥルクに司教座を置いて以来、フィンランドの国教の総本山としての地位を築く大聖堂がそびえ立つほか、17世紀に国内初の大学もつくられました。

また中世には、バルト海沿岸の諸都市間で結ばれた交易同盟である、ハンザ同盟の主要都市としても賑わいを見せたといいます。港へと注ぐ穏やかなアウラ川の運河が街の中心部を貫いており、そのほとり界隈に今も昔も中心街が栄えています。現在では、川辺にいくつものレストラン船が停泊していて、緑の美しい夏場は日の暮れぬ夜まで飲食や日なたぼっこ、散策を楽しむ人たちであふれます。

路地

街を歩き回っていると、タイムトリップしたような路地に迷いこむことも

トゥルクの街には、これまで幾度も大火災や戦禍にのまれており、そのたびに古い名建築や街並みが破壊されてきた歴史的経緯があります。そのため今日の街に、歴史の重みや長さを感じられる場所は、残念なことにあまり多くは現存していません。

けれど、何度も修復を繰り返されながら今日まで守ってこられた大聖堂の荘厳な姿や、かつて重要な軍事要塞であったトゥルク城など、スウェーデンの洗練された社会文化の影響を直に受けた西部の古都ならではの高貴で美しい街並みは、今も顕在しています。トゥルクは観光者にとって、ムーミンワールドのあるナーンタリに行くための経由地になってしまうことも多いのですが、ヘルシンキとは一味違った歴史的観光スポットも多いので、ぜひじっくりと立ち寄る時間を設けたいところです。

市街移動の拠点は、露店で賑わう屋外マーケット広場

マーケット広場

ショッピングモールやロシア正教会などに囲まれた屋外マーケット広場は、各観光スポットへのバス・徒歩移動の拠点とするとわかりやすい。近くには屋内マーケットホールも

トゥルクの街は、ヘルシンキと違って鉄道駅が中心街から離れているのがやや難点。その代わり、市街移動の拠点として便利でわかりやすい場所にあるのが、街の屋外マーケット広場(Kauppatori)。広場までは駅から徒歩15分ほどで、駅前からバスも運行されていますので、駅に着いたらまずはこの広場を目指しましょう。

マーケット広場の周囲には、各方面行きのバスターミナルがずらりと並んでいるので、郊外の観光スポットや、ムーミンワールドのあるナーンタリに出向く際は、ここから目的のバスに乗車します(各バスの停車位置はばらけていて少々ややこしいですが、看板に明確に示してあります)。広場から少し歩けば、まもなく中心街を貫くアウラ川のほとりに出ることができ、そこから大聖堂までも徒歩移動が十分可能です。

なお、2017年8月にはこのマーケット広場周辺で無差別殺傷テロが発生し、数名の犠牲者がでました。広場は元の日常を取り戻しつつありますが、警備が強化され、また現在でもキャンドルや花を手向けにくる人が絶えません。

港のそばで歴史ロマンを語り継ぐ古城、トゥルク城

トゥルク城

アウラ川河口に佇むトゥルク城は、何度も増築や修復が繰り返されたので、見る角度によって建築素材や様相がまったく変わるのがおもしろい

アウラ川の河口そばに、なんとも素朴な表情の古城が港のほうを向いてたたずんでいます。これは、1200年代に軍事要塞としてこの地に原型が築かれて以来、増値や修復が繰り返されながら守られてきた、フィンランド三大古城のひとつに数えられるトゥルク城。

城内部

往時に礼拝堂として使われていた簡素な部屋も、雰囲気をそのままに公開してある

ある方向からみれば古びた石造りの壁がむき出しに、また別の方向からみれば白く塗り込められていて…と、角度によって別のお城のように雰囲気が異なって見えます。

内部は現在、ミュージアムとして一般公開されており、歴史を紹介する展示だけでなく、実際に利用されていた城内の各施設や部屋を、実際に隈なく歩いて見て回ることが可能です。きらびやかなイメージのお城とは一風異なった独特の暗がりの雰囲気と、歴史の重みを実感してみてください。

<DATA>
Turun linna(トゥルン・リンナ)
住所:Linnankatu 80, 20100 Turku
TEL:+358 2 262 0300
アクセス:マーケット広場から市バス1番で10分「Turunlinna」下車すぐ
開館時間:火~日曜10:00~18:00
休館日:月曜(夏季は毎日開館)
入場料:10ユーロ(学生5ユーロ)


次ページでは、国内教会の総本山である大聖堂と、その周辺の見どころを紹介!

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