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実は97%が養殖。海から食卓まで、ワカメの道のり

日本のほとんどの海岸で生息するワカメ。実は私たちが食べているワカメのほとんどは養殖です。どのように育てられ、食卓にのぼるまでにどのようなプロセスがあるのかをご紹介します。

南 恵子

執筆者:南 恵子

NR・サプリメントアドバイザー / 食と健康ガイド

ほとんどは養殖されているワカメ

ワカメ,陸揚げ

舟でロープを回収し、岸から陸揚げするワカメ

ワカメは、秋から冬にかけて成長し、春に成熟し、子孫を残すために遊走子という胞子を放出し、夏には枯れてしまい、ワカメは1年で一生を終えます。

放出された遊走子は、岩などにくっついて芽を出して成長し、これが天然ワカメです。日本では、安定的に供給するために、1955年ごろから養殖が行われ、今流通しているワカメのほとんどが養殖されています。

ワカメをどのように養殖するかというと、細いヒモ(種糸)に種となる遊走子を付着させて、海や陸上水槽などでワカメの芽が2~3センチ以上の大きさまで成長させた後に、親縄に種糸を巻き付け、海で育て、早春の2月から、東北や北海道では4月まで収穫されます。

1つの株から、ワカメ、茎ワカメ、メカブができる

ワカメ,茎,

巻き上げながら、ワカメ、茎を切り落としていきます。

一般に、三陸地域では主に船上で刈取る方法ですが,鳴門地区では、養殖ロープごと船に取り込み、岸壁で陸揚げしながら刈り取ります。

今回ガイドは、よつば連絡会関西の産地交流会でお世話になり、鳴門市の粟田漁港を訪ねました。

写真のように、機械でロープを巻き上げていき、陸揚げしたワカメを、巻き上げる課程で、ワカメとなる葉体の部分と、茎ワカメの部分を手作業で切り分けます。

最後に茎やメカブの部分(元茎)が残り、もったいない気がしますが、製品化するには作業工程が多く労働力が必要となる割に安価でしか取引されないため、廃棄されてしまうのが一般的なのだそうです。

湯通し塩蔵されて製品化

ワカメ

水揚げしたばかりのワカメは褐色。

水揚げされたワカメは、一般的に湯通しして冷水洗いされた後、水切りし、塩漬けされ、さらにその後、芯抜き(中心の芯を抜いて葉脈だけにする)や先枯れなどの劣化部分を除去したり、脱水、等級分けなどの選別をした上で製品となります。

芯抜きなどの処理や選別は、昔は女性の役割とされるなど、人力でなければできない手間のかかる作業です。

こうしたできあがったものが、スーパーなどでもよく見かける塩蔵ワカメです。カットワカメなどは、洗浄脱水し、乾燥後切断処理されたものです。

水揚げされたワカメを茹であげて、褐色から鮮やかな緑色になったワカメを手早く処理して、食べさせていただくと、歯触りがよくいくらでも食べたくなるおいしさでした。

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