
戦時中の負傷兵の為にデザインされた成型合板の‘添え木’が、後の名作椅子を生むとはミッドセンチュリーの巨匠、Charles & Ray Eames(チャールズ&レイ・イームズ)も想像していなかった。が、その後、軍の注文で飛行機の操縦席やら様々なパーツ等の試作をくり返すうちに、技術開発と新素材の接着剤を手にし、合板を熟知した彼等にとって大量生産の手法で椅子を生み出すことは、ごく自然のコトだったのかもしれない(皮肉なことに、当初Eames は座・背・脚を一体成型で考えていたのだが・・・)。
『ファニチャーをパーツ化し、デザインする』・・・今日では当たり前の手法が、Eames椅子原点、プライウッド(合板)シリーズDCW(Dinig chair Wood)、LCW(Lounge Chair Wood)を生んだのである。

↑(左)各パーツはプラスビスで固定・・・パーツで輸送し、Shop、Showroomで組み立てられた。 (右)DCWの脚、座、背がパーツ構成されている。合板の厚さは各々、背・座:9mm、背骨:18mm、脚:15mm
当初、これらの椅子は一体になった座と背、それを支える脚(2パーツ)部分、計3パーツの構成であった。後に座、背、脚(2パーツ)、背骨の5パーツに細分化され、強度、製作精度の向上とコンパクトな梱包(このことは輸送コストの軽減につながる・・・広大なアメリカでは、この意識は当たり前かぁ)を可能にした。

↑背骨と背のジョイントには、W:45mm、D:10mmのゴム製パッドを使用している。背を支持する背骨板が(左)DCWより幅広の(右)LCW
この椅子のもっとも特徴的な点は、別々に作った各パーツの接点なのである。そこには「ショックマウント」という丸いゴム製のパッドを合板に接着して、強度と適度なクッション性を持つ椅子を完成した。この方法はクライスラー自動車が開発した電子溶接技術が応用されたと聞く。実際、この椅子に座って体を左右前後に揺すってみるとわかるが、合板の持つ弾力とショックマウントの弾性のあるクッションはしっかりと身体をサポートして心地よい。