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色鮮やかなテキスタイル、マリメッコのアウトレット店

日本でも抜群の人気を誇るテキスタイルブランド、マリメッコの故郷はフィンランド。ヘルシンキ市内には、総本店やいくつかの大型店舗のほか、実際に生地を生産しているファクトリーに併設された、大規模なアウトレット店があるのです。フロア内には、一般開放もされているデザイナー御用達の社員食堂まで! フィンランド女性台頭の歴史の象徴とも言える輝かしいブランドヒストリーとあわせて、その魅力をご紹介します。

こばやし あやな

執筆者:こばやし あやな

フィンランドガイド

社会で輝く女性たちを象徴し、演出するテキスタイル・デザイン
Marimekko

布地コーナー

洋服やカバン、雑貨類なども数あまた販売されているけれど、マリメッコの原点であり真骨頂はやっぱり布地そのもの。布をメートル売りするコーナーには洋裁の好きなお客さんが絶えない

日本でもここ数年一大ブームを巻き起こしているテキスタイル・ファションブランド、マリメッコ(Marimekko)。現地の言葉で「マリちゃんのドレス」という意味を持つユニークなブランド名、さて「マリちゃん」とは誰のことなのでしょう?

実はMari(マリ)は、フィンランド女性に多い人気の名前。つまりフィンランドの女性たちの象徴とも捉えられるし、アルファベットを入れ替えれば、なんとマリメッコの創業者アルミ・ラティア(Armi Ratia/1912-79)の名前が浮かび上がります。

テキスタイル

当初、創業者のアルミ自身を驚かせた色鮮やかで大胆なデザインは、今日まで色褪せずに愛され続けている

アルミがマリメッコを立ち上げたのは1951年のこと。それ以前から彼女は、夫の経営するプリントファブリックの会社で働いていました。あるとき、とある製品用のテキスタイルデザインを知人デザイナーに委託したところ、思いもよらない色鮮やかで大胆なデザインが納品されてきたのに彼女は仰天します。そして、このような魅惑的な新時代のデザインこそを世に押し出してゆかねばと固く決意し、夫とともに新たに立ち上げたファブリック会社が、現在のマリメッコだったのです。

ちなみに、その革新的なデザインをアルミに提供したデザイナーこそが、かのウニッコ(Unikko)柄をはじめ、今日その作品の多くが復刻し愛され続けているマイヤ・イソラ(Maija Isola/1927-2001)。新たな活力を必要としていた世界大戦直後の社会で、こうして確かな先見の明を持って、失敗や反感を恐れずに新時代を切り開こうとした2人の強くたくましい女性が、今や世界が注目するファッションブランドの、そして社会貢献に意欲を示すフィンランド女性たち自身の、輝かしい歴史の扉を開けたのでした。

ヨカポイカ

「すべての男性へ」という意味の込められたストライプシャツ、ヨカポイカもロングセラー商品のひとつ

もちろん、功労者は彼女たちだけにとどまらず、その後も数多くの素晴らしいデザイナーがマリメッコの求心力に引かれて集い、その時代その時代を象徴しながら世代を超えたロングセラーを果たす、不朽のテキスタイル・ファッションデザインを提供してゆきます。

また、女性を輝かせる使命を担ってきたイメージの強いマリメッコですが、例えば1950年代にデザインされて以来人気の絶えないストライプシャツ「ヨカポイカ(Jokapoika)」シリーズはもともと、現地語で「すべての男性へ」という意味の込められた、れっきとしたメンズ商品。近年は特にメンズラインも充実してきており、外交の場で大臣がマリメッコのネクタイを着用し、国を代表するデザインをPRしたことなども話題に上りました。

さらに2012年からは、フィンランド航空と大々的にコラボレーションを果たし、なんとウニッコ柄の機体が世界を飛び回り始めたことでも注目を集めています。「暮らしのクオリティを導いてゆく文化現象」……それこそが、アルミみずからが定義し目指していたマリメッコというブランドのあり方。創業当初から揺るがない、新進気鋭なマリメッコの意欲とパワーは、まだまだとどまるところを知りません。

アウトレットは、希少な過去のシリーズに再会できるチャンス

内観2

路面店では見かけなくなった過去シーズンの商品がずらりと並ぶ店内。布地、衣服、日用雑貨とラインナップも充実している

ヘルシンキ郊外のヘルットニエミ地区にひっそりとたたずむ、外観は意外にも目立たないモノトーン色のファクトリー。デザイナーたちの作業場や、布地への印刷作業が着々と行われているプリンティング工場が集まった、まさにマリメッコの中枢とも呼べる建物の一角に、大規模なファクトリーショップが併設されています。

レストスペース

レジそばの遊び道具付きレストスペースには、子供たちだけでなく奥様の買い物終了を待つ男性客も少なくない!?

例えば布地売り場には、一昔前のテキスタイルなども豊富に揃っていて、現行品よりずっとお値打ち。デザイナーが使用した後の端切れを安く量り売りしていることもあります。

また、衣服やバッグ、ベッドカバー、日用品類なども、その時どきにしか出会えない全シーズン以前の品や廃盤品がずらりと並んでいます。割引率も、同じシリーズの商品であっても色やサイズによって異なっていたりもするので、じっくりと見定めを楽しみたいところ。現行品も隣接ブースで販売されていますが、こちらはすべて通常店舗で買うのと同じ正規価格での販売です。

 

社員食堂

ファクトリーショップと同フロアにあるカフェは、デザイナーも利用する社員食堂。クロスや食器類ももちろん自社製品

ファクトリーショップ訪問のもうひとつのお楽しみは、ショップと同じフロアの一角に併設されたカフェ「Maritori(マリトリ)」を利用できること(平日のみ)。マリメッコ一色のインテリアや食器を愛でながら、ランチや軽食とともに買い物疲れを癒すのにぴったり。実はここ、ファクトリー内ではたらくスタッフやデザイナーたちの社員食堂でもあるので、マリメッコの衣服を着こなしたスタッフのファッションチェックをさり気なく行なうのも楽しいですね!

マリメッコファンにとっての聖地とも呼べるファクトリーショップは、地下鉄最寄り駅からは15分ほど歩かねばならず、場所も少々わかりづらい立地ですが、滞在中にぜひとも立ち寄りたい、デザイン大国フィンランド有数のホットスポットです。

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外観

ファクトリーの外観は、ブランドイメージからはやや意表を突かれるモノトーン色

Marimekko-Tehtaanmyymälä
(マリメッコ・テヘターンムューマラ)

住所:Kirvesmiehenkatu 7, 00880 Helsinki
TEL:+358 9 758 7244
アクセス:地下鉄「Herttoniemi」駅Laajasalo方面出口を出て、右前方の交差点を渡り、高架橋の通り(Linnanrakentajantie)を直進。ガソリンスタンド手前を左折し、通り(Laivalahdenkatu)を直進。ヴォルヴォ社手前の歩行者道を右折すると、前方左手に見えてくる。駅から徒歩約15分、ヘルシンキ中央駅からタクシーで約20分
営業時間:月~金曜10:00~18:00、土曜10:00~16:00
定休日:日曜

Maritori(マリトリ)
営業時間:月~金曜9:00~15:00(ランチは10:30~14:00)
平均価格:日替わりランチ10ユーロ(数種類ある日替わりメインディッシュから1つ選択。パン、ミニデザートは取り放題)


※フィンランド発ブランドの、お得なアウトレット店情報はこちらにまだまだあります!

※上記データは記事公開時点のものです。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

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