倒産・民事再生/倒産・民事再生の基本

ヒト・モノ・カネに見る倒産する会社の前兆(2ページ目)

株式会社をはじめとする企業が倒産する原因は各社各様ですが、何らかの前兆が見られることが一般的です。今回は会社資源として重要な要素と言われている「ヒト」「モノ」「カネ」の三つの側面から、どのような事象が見られると倒産の危険信号なのかを解説します。

執筆者:榊原 正治朗


「モノ」に見る倒産の前兆

納期が遅れだしたら用心しましょう

納期が遅れだしたら用心しましょう

1.納期遅れの発生

取引において納期の遵守は極めて重要です。その納期が守られないというのは、会社の生産や仕入管理面に問題があったり、資金や人手不足などの要因が考えられます。納期遅れとは無縁だった会社が、納期を次第に守れなくなっているようなケースでは用心しましょう。

2.採算度外視の安売り

集客、知名度アップや在庫商品を処分するのために安売りのキャンペーンをすることは取引上あります。しかし、主力商品について採算度外視の安売りを恒常的にしている等、安売りの理由がはっきりとしない会社については要注意です。資金繰りのために、商品の投げ売りや赤字受注をしている可能性があります。

3.重要な会社財産の売却

資金繰りを改善するために会社財産を任意に売却することがあります。保養所やゴルフ会員権等の業務に直接関係しない財産のうちはまだ良いのですが、本社や工場といった業務に直結する会社財産を手放すようになったら資金繰りが相当厳しいと考えて良いでしょう。

「カネ」に見る倒産の前兆

1.支払期日の延期(手形のジャンプ)等の依頼

支払期日の延期の依頼は、会社の信用にかかわりますから、よくよくの事情があるはずです。相当危険な倒産の兆候ですので、必ずその理由を確認しましょう。

特に、支払方法に手形を利用している会社の場合、複数の取引先が手形のジャンプに応じなければ、結局、銀行取引停止処分につながる危険性があることに留意しましょう。

納品前の入金(前払い)の依頼も、同様に資金繰りが厳しいことの現れですので注意が必要です。

2.税金や社会保険料等の滞納や差押

資金繰りに行き詰まると、事業継続するうえで必要不可欠な経費や懇意にしている関係者にまず支払いたいというのが心情です。そのため、往々にして顔の見えない税金や社会保険料等を滞納しがちになります。

だからと言って、税金や社会保険料等の支払いを甘く見てはいけません。税金等の徴収については「滞納処分」という特別な手続きがあり、裁判所の強制執行手続によらないで財産の差押等をすることができるからです。

3.広告宣伝等の経費削減

税金等と同様の理由で、チラシ、新聞や看板等の広告宣伝費も最初に削減されがちな経費の典型です。それ以外では、ゴルフ等の接待交際費、業界団体や親睦会の会費なども挙げられますので、あちこちに露出していた会社や社長に露出の機会が減ってきたときは要注意と言えるでしょう。
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