電子書籍/電子書籍の問題点

セルフパブリッシングはなぜ初音ミク足りえないか?

初音ミクを利用して自作の曲を世の中に発表し、それが商用セールにつながるという現象があります。しかし、電子書籍では世の中に問う敷居が高いと思います。その辺りを考えてみましょう。

執筆者:上村 充弘

「セルフパブリッシングは読者不在」 再度危機感を持って警鐘

紙の本

紙の本が衰退していく中……

以前、セルフパブリッシングについて、読み手不在で供給過剰という記事を書きました。各電子書籍プラットフォームでのセルフパブリッシング発のヒットが出ていません。もともと有名だった方のコンテンツが売れているという状況です。

昨今、紙の書籍の市場統計が発表され、紙の書籍の市場が減っていく中で、電子書籍が期待されています。しかし、全くもって市場規模が拡大して行かない中、このままではセルフパブリッシング共々、電子書籍市場が消えていくのではないかという危機感さえあります。

何故セルフパブリッシングは発展しないんだろう?

初音ミク1

CM起用や企業タイアップ等で活躍する初音ミク    illustration by KEI        (C)Crypton Future Media, INC.www.piapro.net

そんな中、ガイドがTwitterで紙の書籍1兆円割れと、電子書籍市場が立ち上がって行かないという話をしていました。

そこへ、数年前より電子書籍を調査をしている、通信、インターネット、コンテンツ業界担当のBNPパリバ証券株式会社 山科 拓アナリストから、「Amazon等での電子書籍セルフパブリッシングはなぜ初音ミク足りえないか、的な視点はどうですかね」と、ガイドへ専門化としての意見を求められてしまいました。

 

バックグラウンドとしてのコミュニティの存在が「有る」か「無い」か

すごく昔話をしてしまうと、1995年からのインターネット1.0の時代(いわゆるweb1.0)に日記猿人というサイトが有りました。

日記猿人はリンク集+ランキングというサイトで、自分のweb日記(日記だけではなくコラムやポエム、小説なども)を掲載しているサイトを登録するという仕組みです。日記猿人経由で日記を読んだ際、面白かったら投票ボタンを押して投票を行い、日記猿人のサイト上に得票数順のランキングで掲載される仕組みでした。また得票数もわかるので、自分に何人のファンがいるかも可視化されていました。

その日記猿人の中で「ちゃろん日記」という日記が登録されており、作者のななゑさんの書くテキストの面白さは圧倒的。そのため常に得票数1位で、ななゑさんのファンが多数いました。

また、日記猿人の投票ランキング機能という「面白さの可視化」により、「ちゃろん日記」以外でも、見ず知らずのネットユーザーの日記を安心して読むことが出来ました。

今、セルフパブリッシングで売れている人は、ファンが付いている人なのではないでしょうか? 彼らは、面白さを紹介するレビュー機能とソーシャルサイトで、ファンとの交流をしている人なのではないでしょうか?
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