ワイン/ワイン産地と生産者のレポート

函館元町にワイン醸造所&ショップ「農楽蔵」オープン

昨年9月、函館山の麓の街にワイン醸造所「農楽蔵(のらくら)」が生まれた。和洋折衷の魅力あふれる函館市元町に溶け込む小さなワイナリーで、2013年1月13日には醸造所2階にショップもオープンした。蔵と人とその味わいをご紹介しよう。また、飲める店買える店も合わせてご紹介。

友田 晶子

執筆者:友田 晶子

日本酒・焼酎ガイド

和洋折衷、クラシックな函館元町にワイナリー「農楽蔵」オープン

函館山昼

函館山からの雪の街全容

例年よりいくぶん多めの雪に包まれた2013年1月の函館。それでもミシュラン三ツ星の夜景と新鮮な海の幸を求めて、大雪にもめげず国内外から人がやってくる人気の観光地だ。とはいえ、ここにワイナリーがあることはまだあまり知られていない。

名前は「農楽蔵」。「のらくら」と読む。場所は観光のメッカ函館山の麓に広がる元町。和洋折衷のクラシックな雰囲気に溶け込むような小さな2階建ての建物がワイナリー「農楽蔵」だ。

看板はなくうっかり通り過ぎてしまいそうな建物だけど、よく見ると、1階は2012年9月に設立されたワイン醸造所。2階は、2013年1月13日オープンのショップになっている。この日も「ひっそりオープン」という手書きの張り紙と「農楽蔵」の名前とオープンスケジュールが書かれた小さなプレートが、あ、ここがワイナリーねと知らせてくれるのみだった。

ワイナリー1

ワイナリー全景。クラシックでかわいい。1階が醸造場、2階がショップだ

ワイナリーは、佐々木賢さん(34歳)と奥様の佳津子さんの若い夫婦がオーナー。すべての仕事をこの二人が行っている。「野良仕事」「のらりくらり」をイメージさせる楽しげなワイナリー名は、「曲がって振って農を楽しむ」からきているのだとか。さらに、「どこにも属さず自分たちの理想を追うこと」、「身の丈にあった収入と最大限の幸せを感じられる生活」が彼らの基本哲学だという。


若き夫婦二人のみで運営するワイナリー

プレート

ワイナリーということがこのプレートで分かる。

佐々木賢さんとはどんな人なのだろう。プロフィールはこうだ。
北海道室蘭市生まれの千葉育ち。高校卒業後、ソムリエスクール東京校に入学したがソムリエよりもワイン醸造へ興味を持つ。その後、フランスで計4年、山梨ルミエールで3年、栃木ココファームで数か月と経験を積み、2009年北海道ニセコ町でワイン造り、その後「農楽蔵」を開設した。フランス国家認定農業上級免状(BPA)やブルゴーニュ大学認定醸造技師(DTO)の資格も取得しており、Domaine Leflaive(ブルゴーニュ)、David Leclapart(シャンパーニュ)、Domaine Binner(アルザス)での仕込み経験をもつ。ワインファンなら垂涎の人気ワイナリーばかりだ。「のらりくらり」の言葉のイメージとは違う実に豊かな経験を持っている醸造家であることがわかる。

発酵タンク

1000リットルの発酵タンク。フォークリフトで持ち上げられる。

「僕は白ワイン、シャルドネが好きなんです。たとえばルフレーヴのようなタイプとか」と発酵タンクからグラスに注ぎ試飲させてもらった白ワインは熟成途中ながらもアロマティックで軽やかな旨味が感じられる味わいだ。

奥様の佳津子さんもこれまた経験豊かだ。
東京農業大学農学部醸造学科、ブルゴーニュ大学醸造学部卒業、フランス国家認定醸造技師(DNO)を取得。神戸ワイナリーでながらく醸造を行っていた。Domaine Parent(ブルゴーニュ)、Chapoutier(コートデュローヌ)、Domaine Sylvain Pataille(ブルゴーニュ)での仕込み経験を持つ。醸造ももちろん行うが「農楽蔵のお笑い担当」でもある。関西在住の経験が生きてるネ!


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