マーケティング/マーケティング事例

ペニオクの波紋!ステマに騙されない防衛策とは?

ペニーオークションを舞台とした芸能人を利用したステルスマーケティングが社会問題化しています。本来の価値を偽って消費者に攻撃を仕掛けるステルスマーケティングに防衛策はあるのでしょうか?解説していきます。

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

今、問題となっているペニーオークションって何?


ペニーオークション

驚くほど低価格で商品を落札できるペニーオークションが問題に!

ペニーオークションを舞台にした詐欺事件に、知らずに多くの芸能人が関わったとして社会問題化しています。

ペニーオークションとは、低額からスタートして1円ずつ価格を上乗せしながら制限時間内でオークションを繰り広げていくタイプの販売手法です。

オークションに参加した人は驚くほどの低価格で商品を落札することもできますが、1回入札するたびにいくらかの手数料が必要で、落札できなければ手数料は返還されることのない仕組みになっています。

たとえば、ペニーオークションの主催者が今注目を浴びている商品をまず1円から出品すると、オークションの参加者の一人が50円の手数料を支払って入札します。

入札は通常のオークションと違って希望額ではなく1円刻みで、入札があれば落札価格が2円に上がったうえに制限時間が延長され、オークションが続けられることになります。この入札が繰り返され、制限時間で誰も入札がなくなった段階で落札となります。

1,000円まで落札価格が上がった場合、999回入札が繰り返されたということになりますので、主催者には手数料999回×50円=49,950円と落札代金の1,000円を足した50,950円が売上として計上されることになります。

一方でオークションの参加者は2人で競った場合には、落札者が500回、落札できなかった者が499回の入札を繰り返していますので、落札者は手数料500回×50円=25,000円と落札金額の1,000円を足した26,000円で商品を購入でき、落札できなかった者は手数料499回×50円=24,950円が丸々損失につながっていくのです。

ペニーオークションは、このようにギャンブル性が強く、一般的な販売手法でないうえに、コンピューターを利用して架空の入札を繰り返す一部の業者の存在など、詐欺的な活動が問題視されたのです。

ペニーオークション

ペニーオークションの簡単な仕組み(クリックで拡大)


 

芸能人を利用したステルスマーケティング


このペニーオークションの問題をさらに拡大したのが、芸能人を利用したステルスマーケティング。

ステルスマーケティングとは、宣伝の意図を隠して自社製品のプロモーション活動を行うマーケティング手法の一種で、ブログやSNSなどの爆発的な普及に伴って活用する企業が増えてきました。

“ステルス”とは、ステルス爆撃機のように、相手に気付かれないように目的を達成する手段であり、時としては顧客に大きな損害を与えてしまう場合もあります。

今年の初めには、グルメ関係の情報共有サイトで虚偽の口コミを掲載するステルスマーケティングの専門業者の存在も暴かれて大きな問題となりました。

今回のペニーオークションでは、多くの芸能人が落札してもいない商品を落札したとして写真入りでブログに紹介したことで被害が拡大し、社会問題化しているのです。

なぜ、企業は宣伝の意図を隠したステルスマーケティングに取り組むのか?そして消費者側からどのようにすれば企業の“ステルス攻撃”を防ぐことができるのか?次ページで解説していきます。

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