食と健康/乳児・幼児・子供の食事・レシピ

子どもの力を引き出す「弁当の日」

買物から後片付けまで、こどもが一人でつくるお弁当。大人は手を出さず、ただ見守るだけ。「弁当の日」の提唱者、竹下和男氏のお話を通じて、子どもの本来持っている力を引き出し、よりよい社会をつくるためのヒントをご紹介します。

南 恵子

執筆者:南 恵子

NR・サプリメントアドバイザー / 食と健康ガイド

親が子どもにできることとは?

竹下和男,弁当の日

元綾川町立滝宮小学校校長 
元高松市立国分寺中学校校長
「弁当の日」提唱者 竹下和男氏
(画像提供/大阪ガス株式会社)

2012年12月9日、相愛学園(大阪市中央区)にて、大阪ガス株式会社・相愛大学共催『子育てと食育セミナー 台所に立つ子どもたち 弁当の日』が行われました。

「弁当の日」の提唱者、竹下和男氏の講演やセミナーから、「弁当」を作ることで育まれる子どもの能力、心、家族の絆についてご紹介します。

平成13年当時綾川町立滝宮小学校校長であった竹下和男氏は、「弁当の日」をスタートさせ、その後転任した高松市立国分寺中学校でも実施し、食育を実践されてきました。退職後は、講演や執筆活動を通じて「弁当の日」を提唱され、現在1,000校超の小中学校が取り組むほど広がりを見せています。

世の中への扉undefined弁当づくりで身につく力,竹下和男

『世の中への扉 弁当づくりで身につく力』
竹下和男著

当日竹下氏は、「台所に立つ子どもたち『弁当の日』」をテーマに、様々なエピソートを紹介しながら、子どもや家族、学校が育っていくお話をされました。

まず講演は、テレビ番組にも取りあげられた『はなちゃんのおみそ汁』という書籍に登場する女の子と、その家族の生活の様子を綴ったスライドからスタート。

余命の限られたお母さんが、自分の命がつきた後も娘がきちんと生きてゆけるように、3歳から洗濯や洗濯物のかたづけ、掃除等の家事のやり方を教えました。つい包丁や火を使う料理は後回しにしてしまったけれど、食は命の要なのだからと、5歳からはおみそ汁を作れるように教え、その5ヶ月後、お母さんは亡くなりました。

女の子は、お母さんとの約束を守り、毎朝鰹ぶしを削り、おみそ汁をつくります。毎朝お父さんに「おいしいよ、ありがとう」とほめてもらって保育園に出かけます。小学生になった女の子は、今では、お父さんのために晩ご飯も作っているそうです。

親は大切なことを伝えるのに、今は勉強が大切な時期だからと、
高校に受かったら・・・
大学に受かったら・・・
社会に出たら・・・
と、ついつい先延ばししてしまいがちです。

では、大切なこととは、何でしょう。
それは、スライドに登場した女の子のように、おみそ汁を作れば家族が喜んでくれることや、まるで大人のように料理を作ることができることで、成長過程の子どもにとっては大きな喜びにもなります。
しかし、大人は、「火や包丁は危ないから」、「自分がやった方が早いから」と、ついつい、子どもを育つ機会から遠ざけてしまうのです。

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