骨・筋肉・関節の病気/その他の骨・筋肉・関節の病気

転移性骨腫瘍の症状・診断・治療

転移性骨腫瘍は骨に発生する悪性腫瘍のほとんどを占めます。中年以降の男性、女性に多くみられます。原因となる腫瘍として、肺癌、前立腺癌、腎癌、肝癌、乳癌、甲状腺癌などがあります。発生部位は脊椎に発生することが多く、骨盤、大腿骨、上腕骨、肋骨などに多くみられます。根本的な治療は難しい場合が多いため、疼痛除去が主たる治療となります。疼痛除去治療として、薬物、手術、放射線治療があります。

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転移性骨腫瘍とは

骨に原発する悪性腫瘍として骨肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫などがありますが、非常に珍しい疾患です。骨以外の悪性腫瘍が骨に転位した場合、転移性骨腫瘍と呼ばれます。骨悪性腫瘍の95%以上を占めます。
頚椎単純X線側面像

      頚椎単純X線側面像 頚椎椎体の骨破壊像を認めました。



転移性骨腫瘍の年齢、性差

中高年に多い腫瘍で、40歳代が17%、50歳代27%、60歳代29%、70歳以上19%と報告されています。男性1.05に対して女性1の割合で発生します。

転移性骨腫瘍の原因

男性と女性に分けて、原因となる腫瘍をみてみます。
男性:肺・気管支34%、前立腺17%、腎臓15%、肝臓11%、胃8%、小腸大腸6%、食道3%、膀胱3%、甲状腺2%などです。
女性:乳房46%、肺・気管支18%、子宮12%、甲状腺6%、胃5%、腎臓5%、小腸大腸5%、膀胱1%、食道1%などです。

転移性骨腫瘍の発生部位

脊椎が最も多く16%を占めています。その他では、骨盤、大腿骨、上腕骨、肋骨などの頻度が高いです。

転移性骨腫瘍の症状

腫瘍が発生する部位の腫脹と疼痛です。通常初期の痛みは軽度ですが、骨の強度の低下に伴い骨折を合併すると強固な疼痛が出現します。腫瘍の進行に伴い、激痛となります。


転移性骨腫瘍の診断

●採血
血清アルカリファオスファターゼ、血清カルシウム値が高くなることがあります。

●単純X線
初期には診断が難しい場合があります。X線像としては、溶骨型と造骨型に分類されます。溶骨型が全体の80%を占めます。
・溶骨型
頚椎単純X線側面像

      頚椎単純X線側面像 頚椎椎体の溶骨像を認めました。

・造骨型
前立腺癌の85%、乳癌の30%、胃癌の22%、肺癌の15%は造骨型となります。
腰椎骨盤単純X線正面像

腰椎骨盤単純X線正面像。前立腺癌の骨転移、多数の骨形成像を認めました。

 

腰椎単純X線正面像

     腰椎単純X線正面像。乳癌の骨転移、骨形成を認めました。


●MRI
MRIではより細かく腫瘍の性質、周辺の組織との位置関係、血管、神経と腫瘍の関係など多くの情報が得られます。
MRI

MRI 画像。腫瘍の内部の構造、周辺の組織との位置関係がより鮮明にわかります。


●病理
原発が不明な場合、転移組織の病理診断で、原発巣の診断がつくことがあります。


転移性骨腫瘍の治療法

可能であれば原発巣を含めた転移骨腫瘍を治療することが最善です。化学療法(抗ガン剤)、放射線治療、手術などを組み合わせた総合的な治療を考慮します。しかしながら転移を伴う悪性腫瘍の根本的治療は難しい場合がほとんど。その場合疼痛除去が治療対象となることが多いです。疼痛除去は薬でコントロールすることが可能なことが多いです。手術、放射線治療を行う場合があります。

●手術治療
手術後。

疼痛除去の目的で頚椎転移巣の除去と人工骨移植、金属プレート固定術が施行されました。

●放射線治療
放射線治療単独で転移巣を治療することも可能です。また疼痛除去目的で比較的少ない線量で治療を行うこともあります。
放射線治療

放射線治療の計画。上記の外科手術で残存した腫瘍に対して線量が多くなるようにプランニングを行いました。




転移性骨腫瘍の予後


転移性骨腫瘍そのものが生命予後を決定することは比較的稀です。骨以外の臓器である、肺、肝臓、腎臓などの臓器障害により生命予後が決定されます。

更新日:2012年12月24日

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